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資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (88 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html
出典情報 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》
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れん

冠攣縮性狭心症は、冠攣縮(心臓の表面を走行する比較的太い冠動脈が一
過性に異常に収縮した状態)65を原因とする狭心症で、夜間~早朝、安静時に
発作(狭心痛)が出現することが特徴である。冠攣縮の機序として、血管内
皮細胞の障害(動脈硬化、炎症など)による一酸化窒素産生低下及び血管平
滑筋の過収縮が考えられている。
不安定狭心症は、重症・増悪型の狭心症で、最近急に出現した、狭心痛の
発作頻度が増加する、労作時のみだった発作が安静時や軽い労作でも生じる、
痛みが強くなる、持続時間が長くなるなど、症状が増悪(不安定化)した場
合に相当する。その病態は、冠動脈硬化病変のプラークの破裂やびらんに伴
う血栓形成で冠動脈内腔の狭窄が進行したことにより冠動脈血流は高度に障
害され不安定な状態である。


自然経過、治療、予後
発作の発現様式や症状に3週間以上変化がないものは、冠攣縮性狭心症を

除外して、安定狭心症と診断される。内科治療を基本とし、症状及び種々の
検査所見からリスク評価を行い治療方針を決める。一方、不安定狭心症は、
急性心筋梗塞や心臓性突然死に至る危険性があるため、早急な対処を要する。
治療として、労作性狭心症の場合は、身体的労作、精神的興奮、寒冷、過
飲、過食等の発作の誘因の除去又は制御、亜硝酸剤等の薬物治療による心筋
の酸素需要増加の抑制等により症状の軽減を行う。中長期的には、動脈硬化
危険因子である高血圧、脂質異常症、喫煙、糖尿病、肥満等の是正を行い動
脈硬化病変の進行抑制を目指す。症状の改善が不十分な場合は、冠動脈ステ
ントなどにより、冠血流量(酸素供給)を増加させるカテーテル治療も選択
肢となる。
冠攣縮性狭心症の治療では、薬物治療として血管平滑筋の収縮を抑制する
Ca 拮抗薬を投与し、かつ発作の誘因(喫煙等)及び動脈硬化の危険因子の除
去又は制御を行う。
不安定狭心症が生じた場合には、そのリスクの程度を評価し、症状に応じ
て、アスピリン等の抗血小板薬、ヘパリン(抗凝固薬)等の投与のほか、冠
動脈ステント植え込み等の血行再建治療の適応かを判断する。急性冠症候群
の病態は、通常、発症後2~3か月以内に安定化し、退院後の長期管理は、
原則として安定狭心症と同一で、二次予防のための治療を継続する。

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日本循環器学会ら. 冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン(2013 年改訂版). 2013; 2

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