資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (109 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html |
出典情報 | 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
わが国では、岩手県大迫町(現:花巻市)の住民 1,977 名(平均年齢
62.9 歳、男性 731 人、女性 1,246 人)を平均 7.76 年追跡調査したとこ
ろ、CKD は脳卒中の独立した危険因子となることが明らか にされ、クレ
アチニンクリアランス(Ccr)>70mL/min の場合と比較すると Ccr40~
70mL/分では脳卒中のハザード比が 1.9(95%CI:1.06-3.75)、Ccr<40mL/分
では 3.1(95%CI:1.24-7.84)となった。
また、日本人の健診者 91,414 例以上を 10 年間観察したコホート研究に
よれば GFR60mL/分/1.73 ㎡未満の心血管疾患のリスクは以上と比較して、
冠動脈疾患で男性 1.08 倍、女性 1.13 倍、脳卒中で男性 1.98 倍、女性
1.85 倍と報告されている。脳卒中病型別に CKD の寄与を検討したわが国
の報告としては、Circulatory Risk in Communities Study(CIRCS 研究)
で一般住民 12,222 例を 17 年追跡した検討で、CKD は男性で 1.63 倍、女
性で 1.51 倍脳卒中リスクを高め、特に男性では脳出血、女性では脳梗塞
の有意な危険因子であった。
2
(1)
虚血性心疾患等の危険因子
危険因子の概要
虚血性心疾患は、冠動脈粥状硬化が原因となって発症してくる。粥状硬化
は、短期間に発生するものではなく、長い年月をかけて徐々に進行する。そ
の形成、進行には、遺伝的体質のほか生活習慣や環境要因が影響を与えるこ
とがフラミンガム研究等から明らかにされてきた。発症危険度は、危険因子
の影響の強さとその期間に関連する。
複数の危険因子を有する者は、発症のリスクが高いことから、労働者の健
康状態を把握して基礎疾患等の程度や業務の過重性を十分検討し、これらと
当該労働者に発症した脳・心臓疾患との関連性について総合的に判断する必
要がある。
(2)
危険因子の各論
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」などに基づき、広く認知されている
危険因子は、次のとおりである。
99