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令和4年度救急業務のあり方に関する検討会報告書 (61 ページ)

公開元URL https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-118/04/houkoku.pdf
出典情報 令和4年度救急業務のあり方に関する検討会報告書(3/31)《総務省消防庁》
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シミュレーション訓練では、通常の救急活動における情報収集の場合と、マイ
ナンバーカードを活用した情報収集の場合について、現場滞在時間を比較すると
ともに、同意を不要とした場合の時間短縮効果を検証した。
個人情報や傷病者の診療情報を収集することが困難な事案の場合、現状では傷
病者の状態を確認しながら、それと並行して、警察官や家族等の関係者と連携し
情報収集するなど、様々な手段を用いて可能な範囲で情報収集しているが、その
情報収集には時間を要すこともある。また、傷病者の観察結果から、緊急度が高
いと判断した場合は、情報収集は不十分なまましかるべく行動することもある。
シミュレーション訓練における想定元事案(過去の活動で実際に対応した救急
事案)は、顕著に活動時間が延伸した事案を元に検証したことから、やや限定的
な効果にはなったものの、傷病者情報が不足することが医療機関選定の妨げとな
るような事案においては、マイナンバーカードを活用した情報収集は、現場滞在
時間の短縮に一定の効果があることが確認できた。
また、シミュレーション訓練の終了後、救急隊員に対してヒアリングを行った
ところ、以下のような意見が挙げられた。
【救急隊員からのヒアリング】
・二次医療機関等に受入交渉を行う際に、個人情報や薬剤情報などの情報が不
足している場合、受入れに制約がある医療機関があり、それらの情報を提供
することで受入れてもらいやすくなる。
・情報収集困難な傷病者は現場滞在時間が長くなる傾向にあるので、このよう
なシステムがあれば非常にありがたい。
このように、地域の医療体制によっては、傷病者の医療情報等が医療機関の受
入判断に活用される場合もあることから、救急活動において、このようなツール
が活用できれば、結果的に現場滞在時間の短縮へとつながるものと考えられる。
一方で、緊急度が高い事案についてもシミュレーション訓練を行ったところで
あるが、心肺停止などの一刻を争うような事案では、何よりもまず、必要な救急
救命処置等を行った上で、早期に医療機関へ搬送することが最優先とされること
から、現場滞在時間の中では、情報を閲覧するために必要な時間が確保できず、
現場滞在時間の短縮効果は得られなかった。ただし、現場出発後の医療機関へ向
かう途中に、傷病者への処置や観察を継続しながら、情報閲覧を行い、搬送先医
療機関の医師へ追加情報を送るなどの工夫が見られた事案もあり、活用方法につ
いては、今後更なる検討が必要である。
これらのことから、本事業の活用には、救急隊が現場で傷病者の情報を確認す
る優先度や必要性を事案ごとに見極めることが必要であり、状況に応じて、本シ
ステムを柔軟に活用していくことで更なる有用性が見込める結果となった。
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