よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


令和4年度救急業務のあり方に関する検討会報告書 (75 ページ)

公開元URL https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-118/04/houkoku.pdf
出典情報 令和4年度救急業務のあり方に関する検討会報告書(3/31)《総務省消防庁》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

(iv)地域の医療資源に応じた搬送指標の活用方法
学会からの新たな提案(図表2-1)において「機械的血栓回収療法の
適応となる主幹動脈閉塞の予測値」として6項目のうちの陽性数に応じ
て、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率が示され、「適切な医療機関
への早期搬送を目指す指標としての活用」が推奨された。そこで、地域の
医療資源や医療機関の治療・受入体制等の実情を踏まえて、全国で導入を
検討いただくための方策について検討した。
提案の趣旨は、令和元年度の提言を踏まえて、従来通りの病院前におけ
る評価法(FAST、CPSS 等)で脳卒中が疑われる場合に6つの観察項目を
加え、そのうち該当する陽性項目数に応じて、機械的血栓回収療法が常時
実施可能な医療機関への直接搬送を考慮するということであるが、救急
活動はプロトコルに則って行われることが基本であり、地域の実情に応
じて、都道府県 MC 又は地域 MC 単位で議論・検討を経たうえで、2項目又
は3項目をプロトコルとして設定することが望まれる。
学会では、令和2年度より t-PA 静注療法が常時可能な一次脳卒中セン
ター(PSC:Primary Stroke Center)
、さらに機械的血栓回収療法まで常
時可能な施設(将来的な血栓回収脳卒中センター(TSC:Thrombectomycapable Stroke Center)
)の認定を進めており、機械的血栓回収療法の適
応がある場合、PSC へ搬送してから TSC へ転院搬送する(drip & ship)
より、TSC に直接搬送(mother ship)した方が、治療開始までの時間が
短縮するとの説明があった。専門的医療機関の連携が重要であるが、詳細
な分析には病院前後の情報を連結する必要があり、具体的な搬送基準ま
で定まっていないのが実情であった。
的確な救急搬送とは、症状・地域・時間帯等に応じて刻々と変化する需
要・受入のバランスを鑑みて、適時適切な判断が行われるものである。機
械的血栓回収療法の適応となる傷病者も、網羅的かつ的確に救急搬送す
ることが理想であるが、医療資源や医療機関の受入体制が豊富な地域・期
間では、今回示された主幹動脈閉塞の予測値のうち「感度」を重視した搬
送指標の活用が考えられる。この場合、2項目に該当時点で、まずは、血
栓回収医療機関への直接搬送を考慮に入れるといった運用が想定される。
逆に、医療資源や医療機関の受入体制が相対的に不十分な地域・期間は、
「陽性的中率」を重視して、3項目に該当したら、直接搬送を考慮に入れ
ることも考えられる。
地域の医療資源や医療機関の受入体制等については、例えば、都市部・
郊外のような地域差も考え得るが、以下の参考指標が例に挙げられた。
 救急需要の指標:救急出動件数、受入照会回数、病院到着所要時間、
現場滞在時間
 地理的な指標 :血栓回収医療機関が、平均的な救急搬送圏にあるか
 受入側の指標

:地域における血栓回収療法の実施可能件数
68