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令和4年度救急業務のあり方に関する検討会報告書 (68 ページ)

公開元URL https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-118/04/houkoku.pdf
出典情報 令和4年度救急業務のあり方に関する検討会報告書(3/31)《総務省消防庁》
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第2章

救急隊員等の行う観察・処置等に係る検討

近年、救急搬送人員は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による外出自粛
要請等による影響で令和2年に一旦減少に転じたものの、ほぼ一貫して増加傾向
が続いている。また、その内訳をみると、令和3年中の救急自動車による救急搬
送人員のうち、最も多い事故種別は「急病」で、360 万 5,179 人(救急搬送人員
全体の 65.6%)となっており、さらに、
「急病」による救急搬送人員のうち「循
環器系(心疾患、脳疾患等)
」に分類されたのは、59 万 1,694 人(急病による救
急搬送人員の 16.4%)と急病の中で最も多い分類となっている(
「令和4年版救
急・救助の現況」)

心臓病、脳卒中のいずれも、発症時、救急隊接触時からできるだけ早期の治療
介入により予後の改善が期待できる疾患であることは広く知られている。例えば、
脳卒中、特に脳梗塞については、平成 17 年から導入された rt-PA(アルテプラー
ゼ)の投与が急性期虚血性脳血管障害患者に対する標準的治療として我が国に定
着し*1、脳の大血管である主幹動脈閉塞(large vessel occlusion:LVO)に伴
う脳梗塞に対する機械的血栓回収療法といった新たな治療法も普及が進んでい
る。また、心筋梗塞では、JRC 蘇生ガイドライン 2020 において、カテーテル治療
等の再灌流療法は可能な限り迅速に実施されるべきとされている*2。
また、
「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係
る対策に関する基本法(平成 30 年 12 月 14 日法律第 105 号)」の公布・施行等を
受け、厚生労働省が策定する循環器病対策推進基本計画や、この国の指針に基づ
き都道府県が策定する医療計画等において、循環器病対策が推進されているとこ
ろである。このような社会的な関心の高まりも背景に、令和元年度には関係学会
から消防庁に対して心臓病、脳卒中に関する救急隊の観察・処置等について提案
がなされた。これを受けて、地域 MC 協議会等の連携のもと、救急現場での実践
や救急隊員の能力向上について、地域の実情に応じた検討が行われてきたところ
である。さらに令和3年度末には、最新の科学的知見に基づき、従来の内容を更
新した提案がなされたことから、救急業務や救急医療の観点から改めて検討を行
った。
病院前において、適切な観察・処置を行い、傷病者を適切な医療機関へ搬送す
ることは、救急隊にとって最も重要な活動である。一方で、保有している資器材
や行うことができる処置に制限がある「病院前救護」と、救急現場から医療機関
までの搬送という距離的・時間的な配慮が必要である「救急搬送」との両者を担
う救急隊の実情についても勘案する必要がある。本検討会における議論は、学会
からの提案に対して、そのような観点を十分に踏まえなされたものである。
*1
*2

脳卒中治療ガイドライン(http://www.jsts.gr.jp/img/rt-PA03.pdf)
JRC 蘇生ガイドライン 2020 オンライン版(https://www.jrc-cpr.org/wp-content/uploads/2022/07/
JRC_0279-0313_ACS.pdf)

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