令和4年度救急業務のあり方に関する検討会報告書 (88 ページ)
出典
公開元URL | https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-118/04/houkoku.pdf |
出典情報 | 令和4年度救急業務のあり方に関する検討会報告書(3/31)《総務省消防庁》 |
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病院等における NPPV の実施に係るゴール(効果)には、
「症状の軽減」、「呼
吸仕事量の軽減」など、救急現場においても応急処置等を実施することの効果・
メリットにあたる項目が含まれている一方、NPPV の合併症には、
「誤嚥性肺炎」
「気胸」
「低血圧」など、救急現場においても発生リスクに特に留意すべき「重
篤な合併症」が含まれている(図表2-17)
。
また、病院等における NPPV の実施においては、こうしたゴール(効果)とリ
スクを踏まえて、前述①から③のとおり、医療従事者による適切な判断や導入
前後のモニタリング等を前提とした十分な安全対策のもとに実施されている。
この点を踏まえて、救急現場における効果とリスクの関係性を整理すると、
病院前において現行の救急隊が用いる資器材、人員体制、教育体制等を考慮す
れば、病院等と同水準の十分な体制を確保することは困難であり、とりわけ
NPPV の実施に関しては、救急隊の現行体制下において「得られる効果」よりも
「重篤な合併症の発生リスク」が大きいと考えられる。このことに鑑みて、救
急隊員が応急処置として実施することは原則不可であると考えるのが妥当で
ある。
また、救急現場における「自発呼吸のある傷病者に対する自動式人工呼吸器
を用いた補助換気」が NPPV の定義の範疇である点を踏まえると、当該処置の実
施についても、同様と考えられる。
図表2-17
病院等における NPPV におけるゴールと留意すべき合併症(例)
【参考文献:NPPV ガイドライン(日本呼吸器学会 NPPV ガイドライン作成委員会)
】
■ NPPVのゴール〔短期〕 (参考)
症状の軽減
呼吸仕事量の軽減
患者の不安感を少なく
血液ガスの改善
患者・人工呼吸器の一体性
リスクは最小に
挿管を避ける
※救急現場においても
効果・メリットとして
考えられる項目
■ N P P V の 合併 症 ( 参 考 )
■
マ ス ク 関連
不快感
顔面の皮膚の紅潮
閉所恐怖症
鼻根部潰瘍
にきび様皮疹
■ 漏れ
■ 圧・流量関係
鼻のうっ血
副鼻腔・耳の痛み
鼻、口の乾燥
眼への刺激
腹部膨満
■
重篤な合併症
誤嚥性肺炎
気胸
低血圧
81
※救急現場においても
発生リスクに
特に留意すべき重篤な合併症