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令和4年度救急業務のあり方に関する検討会報告書 (9 ページ)

公開元URL https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-118/04/houkoku.pdf
出典情報 令和4年度救急業務のあり方に関する検討会報告書(3/31)《総務省消防庁》
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現状の救急活動において、救急隊は傷病者を観察した結果、当該傷病者に適し
た医療機関の中から、最も搬送時間が短い医療機関を選定することを基本としつ
つ、地域の実情やかかりつけ医療機関の有無等も考慮しながら搬送先医療機関の
選定を行っている。その際、搬送先医療機関を選定するに当たり必要な既往歴や
受診した医療機関名などの情報は、傷病者本人又は家族等の関係者から聴取して
いるが、付近に関係者がいない場合は、症状に苦しむ傷病者本人から聴取するこ
ととなる。また、複数の基礎疾患を有する高齢者の救急事案等の場合、本人が病
歴や受診した医療機関名を失念していることや、関係者が傷病者の情報を把握し
ていないこともある。このような場合、救急隊員が情報収集に苦慮し、傷病者の
情報を十分に収集できないままに医療機関を選定する場面も少なくない。今後、
更なる高齢化の進展や、単身の高齢者世帯の増加に伴い、前述のような救急事案
は更に増加することが懸念される。
一方で、令和3年 10 月からは、マイナンバーカードの健康保険証としての利
用が開始され、オンライン資格確認が可能となった。また、マイナンバーカード
を用いた本人確認と本人同意の取得により、医療機関や薬局において特定健診等
の情報や薬剤情報等を確認できるようになり、よりよい医療を受けられるための
環境整備が進んでいる。
この仕組みを救急業務でも活用することができれば、救急隊が救急業務に資す
る傷病者情報を正確かつ早期に把握することができ、より迅速かつ円滑な救急活
動に資することが期待できることから、今年度は、消防本部等の協力のもと、実
証実験を行い、その結果から得られる効果や課題等について検討し、将来的な本
格運用を見据えて課題等を整理することとした。

心臓病や脳卒中が疑われる傷病者に対する救急隊における観察・処置等につい
て、
「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対
策に関する基本法(平成 30 年 12 月 14 日法律第 105 号)」の公布・施行等を背景
に、令和元年度に日本循環器学会及び日本脳卒中学会から消防庁に対して心臓病、
脳卒中に関する提案がなされ、地域の実情に応じた検討が行われてきたところで
ある。令和3年度末に、日本脳卒中学会より最新の科学的知見に基づく追加の提
言が示され、従来通りの病院前における評価法で脳卒中が疑われる場合に6つの
観察項目を加え、そのうち該当する陽性項目数に応じて、機械的血栓回収療法が
常時実施可能な医療機関への直接搬送を考慮する指標として、地域の医療資源に
応じて活用することが提案された。令和4年度は、上記提言の内容を踏まえて、
救急業務や救急医療の観点から改めて検討を行った。

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