令和5年度予算の編成等に関する建議 (117 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20221129/index.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 令和5年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》 |
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世界がパンデミックから立ち直ろうとしている最中に起きたロシアの
ウクライナ侵略によって、国際秩序の根本は大きく揺らいでいる。ウクラ
イナ情勢の先行きが見通せない中で、我が国は来年、G7広島サミットの
議長国として、国際社会と連携し、議論をリードしていかなければならな
い。ODA(政府開発援助)は、そうした歴史の岐路に立つ国際社会の中
で、我が国が積極的な役割を果たしていくための「戦略的資源」である。
外務省は来年前半を目途として、新たな開発協力大綱を策定することと
しており、ODA が今日果たすべき役割を明確にした上で、開発協力の新
たな方向性を示すことが求められている。
さらに、我が国が置かれた厳しい財政状況や、足元の円安もあって相対
的に低下している経済規模を踏まえると、
「物量」ありきの ODA は正当
化することができない。ODA を含む外交予算の原資である国民から預か
った税金も、円安により経済規模と同様に外貨建てでは縮小しているこ
とを認識する必要がある。ODA は、個別プロジェクトごとに開発効果の
測定が可能となる適切なアウトカムの設定・評価を通じて事業の「質」を
高めなければならない。併せて、分野や地域の重点化を含めた戦略的・効
率的活用を図りながら、引き続き国際社会の平和と安定に重要な役割を
果たし、国としてのプレゼンスの向上につなげていく必要がある。また、
ODA のみならず、途上国への民間投資も途上国の開発に寄与するもので
あり、民間資金の役割を我が国の開発協力政策の中で正面から位置付け
るべきである。
危機の中で、変化に機動的に対応できるよう、戦略的に「質」の高い予
算配分を行い、外交政策を展開していくことが求められている。
(1)変化する経済財政状況の中での開発協力の在り方
我が国の名目 GDP が世界の中で占めるシェアは、1990 年代前半のピ
ーク時には2割弱の水準にあったが、少子高齢化・人口減少が進む中、潜
在成長率の停滞などに加え、中国を始めとする新興国の台頭もあり、令和
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