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令和5年度予算の編成等に関する建議 (20 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20221129/index.html
出典情報 財政制度等審議会 令和5年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》
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ニマルスピリッツを発揮して、人、設備等への投資を積極的に行っていく
ことが望ましく、政府は、
そのための環境整備に努めていくべきである 17。
過去の建議でも指摘しているとおり、現状維持志向を乗り越え、行動変容
や適切な新陳代謝を実現するための、具体的な政策が求められる。
〔資料
Ⅰ―3―4参照〕
この 30 年間の状況は、財政政策を含む日本の政策対応の結果でもある。
この間、様々な財政措置を講じてきたにも関わらず、日本経済の成長力が
全く高まらなかったという現実を真摯に受け止め、必要な規制・制度改革
等とあわせて、歳出全体を通じて「アウトカム・オリエンテッド・スペン
ディング(成果志向の支出)」を徹底していくべきである。こうした発想
に立てば、危機対応のための手厚い支援をいたずらに長く続けることも
なくなるはずである。
(2)
「成果志向の支出」の徹底
日本経済の長期低迷の原因は、財政出動が不十分だったからだという
指摘も聞かれる。しかし、直近 30 年間のプライマリーバランス 18対 GDP
比で見ると、日本は単純平均で対 GDP 比▲4.6%と、日本よりも成長率
が高かった欧米主要国と比べて最悪の水準である。先ほど述べたとおり
名目 GDP で日本に並びかけているドイツは、最近では新型コロナ対策や
エネルギー価格高騰対策等によって財政状況が悪化してきているものの、
それまでは健全な財政状況を維持し続けていた。このように、財政の規模
と、経済の成長力とは、単純に結びつけられるものではない。
〔資料Ⅰ―
3―5参照〕
欧米諸国でもリーマンショックやコロナ禍のような危機時には赤字幅
を拡大させているが、その他の時期では財政状況は改善している。これに
対して日本では、この 30 年間、一貫して赤字が継続していることが特徴
17

円安によりコスト面で国内立地環境が改善していることや、地政学的な環境変化により世界の
サプライチェーンが不安定化する中で、日本企業の国内回帰の必要性も高まっている。
18 プライマリーバランスとは、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれ
だけ賄えているかを示す指標。税収・税外収入と、国債費(国債の元本返済や利子の支払いに充
てられる費用)を除く歳出との収支のことを表す。プライマリーバランスが均衡していれば、そ
の時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等で賄うことができていることとなる(た
だし債務残高の実額は利払費の分だけ増加する。)

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