令和5年度予算の編成等に関する建議 (118 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20221129/index.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 令和5年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》 |
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ル建てでみた経済規模は、足元では急激な円安を受けて一層低下してい
る 145。
そうした中で、日本の ODA 対 GNI 比は令和3年(2021 年)に 0.34%
と、DAC(OECD 開発援助委員会)のドナー国合計 0.33%を上回ってい
る。一方、財政状況をみれば、我が国の政府債務残高対 GDP 比は世界で
も最悪の水準にあり、DAC 平均と比べても3倍以上に達している。この
ような経済と財政の状況に鑑みれば、
「物量」に頼ったインプットありき
の ODA を正当化することができないことは一目瞭然である。〔資料Ⅱ-
9-2参照〕
海外のドナー国を見れば、G7で1位・2位を争うドナー国であったイ
ギリスは、公的債務残高の急増などを受けて、将来の世代の借金を避ける
べく ODA を令和3年(2021 年)にバイ(二国間)
・マルチ(多国間)と
も大幅に削減した。我が国の財政状況はイギリスよりも遙かに厳しいこ
とも踏まえ、日本の対外援助を不断に見直す必要がある。
〔資料Ⅱ-9-
3参照〕
税収の使途について、政府に高い説明責任が求められることは国際協
力の分野においても当然である。開発協力についての国内世論は、現状維
持を望む声が過半数である。他方、国連や WHO などの国際機関に対す
る世論の評価は厳しい。国際機関が、その設置目的等にも照らして世界や
我が国の期待している機能を十分に発揮できているかといった観点を含
め、協力内容が最大限に効率的・効果的なものとなっているか、しっかり
と精査すべきことは言うまでもない。
〔資料Ⅱ-9-4参照〕
ODA が「物量」をターゲットにするべきではないことは、開発経済学
の研究からも示唆されている。ODA がマクロ的にみて必ず経済成長を促
進するとのコンセンサスは得られておらず 146、ODA の成果は、あくまで
IMF の見通しによれば、令和4年(2022 年)は 4.2%と更に大幅にシェアが低下し、世界第
4位のドイツ(4.0%)に接近する。
146 Burnside and Dollar(2000)
“Aid, Policies, and Growth,”
(American Economic Review,
vol.90, No.4, pp.847-868)の研究においては、被援助国における「政策の質」、即ち統治のガバ
ナンスが高ければ ODA が経済成長にプラスの効果を持つとしており、各国や世銀の開発政策に
影響を与えたとされるが、Easterly et al.(2004)“Aid, Policies, and Growth: Comment,”
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