令和5年度予算の編成等に関する建議 (119 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20221129/index.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 令和5年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》 |
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ことが必要である。
〔資料Ⅱ-9-5参照〕
(2)国際協力事業の評価と戦略的資源としての在り方
実際に個別の ODA 事業を見ていくと、計画の不備などにより、多額の
資金を投入しながらも、期待された成果を上げられていない事業が存在
している。我が国にとって財政負担の少ない円借款であっても、相手国側
の負担する総事業費の大幅な上振れや慢性的な赤字につながっている例
もあり、被支援国の国民に資金返済と併せて財政負担を生じさせている。
ひ え き
相手国への直接的な 裨益 のみならず、事業完成後も、被支援国の将来的
な自立に向けて中長期で見て相応しい事業になっているか、事業選定の
理由も含め、不断に精査していくことが必要である。
〔資料Ⅱ-9-6参
照〕
JICA(国際協力機構)も PDCA サイクルに沿って事業の評価を行い、
説明責任を果たすことの重要性は認識しており、2億円以上の事業につ
いて事後評価を行っている。しかし、これを見ると、事業期間の遅延や事
業費の上振れが生じている実態があり
147、適切な予算執行のためには継
続事業の進捗管理が急務である。また、PDCA の観点からは、評価の在
り方についても、総合評価の算出方法や効率性の評価などに改善の余地
がみられる 148。〔資料Ⅱ-9-7参照〕
こうした事業の遅延も背景として、無償資金協力については、当初予算
の他にも、国から JICA に交付済みの未使用資金が 1,783 億円存在して
いる。この資金は近年増え続けていたが、外務省・JICA は足元では執行
(American Economic Review, vol. 94, No.3, pp.774-780)が示すように、その後の研究では頑
健な結論は得られていない。なお、これらの研究は各国 ODA のデータを用いたグローバルな分
析である。
147 令和2年度(2020 年度)に評価が終了した報告書を集計すると、当初計画に比べ、無償資金
協力・技術協力ともに事業の多くで遅延が生じ、さらに技術協力では事業費の大幅な上振れも生
じている。
148 例えば、総合評価の算出方法については、相手国の開発ニーズ等を評価する「妥当性」の項目
はほとんどの事業で最高評価が付いており、これが総合評価の底上げにつながり、事業の相対的
な評価が見えにくくなっている。また、効率性の評価についても、JICA 現地事務所による内部
評価(2~10 億円の事業)では、具体的な遅延月数や事業費の増加額、遅延等の理由が不記載の
場合が多い。
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