令和5年度予算の編成等に関する建議 (12 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20221129/index.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 令和5年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》 |
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本年5月の建議でも指摘した、歴史的転換点となり得る世界的な環境
変化は、加速度を増している。ロシアによるウクライナ侵略は、軍事面の
みならず、世界経済にも大きな影響を及ぼしており、今なお終結が見通せ
ない状況にある。世界的にインフレが進行している。こうした中、持続可
能性を考慮せずに拡張的な財政運営を採用しようとしたことに対して市
場が鋭く反応し、政治が混乱、内閣交代に至った事例が生じた。当審議会
が、財政運営に対する市場の信認の重要性を繰り返し指摘してきたよう
に、市場の警告を軽視することは、決して許されないのである。
日本においては、少子高齢時代を迎え、社会保障関連の歳出拡大圧力は
依然として強く、将来世代への責任も重くなる一方である。加えて、安全
保障環境が厳しくなる中にあって、有事への備えとして、経済・財政・金
ぜいじゃく
融の 脆弱 性を解消し、財政余力を確保する必要性も高まっている。
令和5年度(2023 年度)予算は、我が国財政の長年抱えている問題と
世界的な環境変化で新たに生じた課題のいずれをも真正面から受け止め、
解決していく決意を示したものとしなければならない。そのことが、
「財
政に対する市場の信認」を維持し、
「将来世代への責任」を果たしていく
ために不可欠であることを、強く認識すべきである。
1.財政に対する市場の信認
(1)イギリスの混乱の教訓
ひとたび財政運営に対する信認が損なわれれば、市場は鋭く反応し、経
済社会に不測の影響を与えかねない。9月以降のイギリスの状況は、日本
にも重要な教訓を与えるものである。膨張する歳出を税収で賄えず、市場
からの資金調達に大きく依存した財政運営を余儀なくされている現状で
は、市場の信認を維持し続けることが不可欠であることが、改めて確認さ
れたと言える。
イギリスでは、年初来、金利上昇・ポンド下落傾向にあり、8月中旬以
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