令和5年度予算の編成等に関する建議 (73 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20221129/index.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 令和5年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》 |
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その大前提として経済・金融・財政面での安定が不可欠であることを改め
て強調しておきたい。特に、貿易や対外投資で依存度の高い周辺国と有事
が発生した場合には、経済制裁や社会不安の増大等から経済状況が一変
し、資本逃避や物価高などが生じる可能性がある。その際、資源等に乏し
い我が国においては、防衛装備品に加え、戦時に希少となる資源・エネル
ギーといった海外物資を大量調達せねばならない等、財政需要が大幅に
拡大する中で、国内外の金融市場から資金調達する必要がある。こうした
物資不足、物価上昇、経済悪化のリスクは軍事攻撃を受ける前段階から顕
在化する可能性も踏まえ、民間の社会・経済活動を維持しつつ、侵略に対
して国家として立ち向かうための財政余力が不可欠である。特に防衛費
は継続的な装備品の維持整備等を要するという特性上、経常的な経費で
あることから、その負担を先送りすることなく、歳出改革とともに安定財
源を確保しなければならない。
〔資料Ⅱ-3-6参照〕
諸外国の例を見ると、ドイツは 2021 年までに国防費を対 GDP 比 1.5%
まで増額しつつも、財政収支黒字を維持していた。今般のロシアによるウ
クライナ侵略に伴い近隣に戦場を抱えることになり、国防費を対 GDP 比
2%に増額することを表明したが、これは平時から国防費の増額と財政
健全化を図っていたからこそ可能となったと考えられる。また、スウェー
デンは、本年5月に NATO へ加盟申請し、国防費を増額する方針に転換
している。その財源については増税による歳入確保と社会保障費などの
歳出削減という双方の立場から議論が深められている。
〔資料Ⅱ-3-7
参照〕
各国の国防費は、税収配分を国防分野に重点化している国、あるいは高
い国民負担を求めている国など、財源の重点の置き方にはそれぞれ特徴
がある。我が国においても、防衛力の強化に当たっては、安定財源の確保
なしに実現することは出来ない。国民全体で広く負担することなどを含
めた国民負担の在り方について、実現方法を真正面から議論し、国民の理
解と納得を得ていくことが重要である。〔資料Ⅱ-3-8参照〕
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