規制改革推進に関する答申 (116 ページ)
出典
公開元URL | https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/p_report.html |
出典情報 | 規制改革推進に関する答申(5/31)《内閣府》 |
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厚生労働省は、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(以下「ガイド
ライン」という。)及びモデル就業規則に、「副業・兼業を行う労働者に対し
て、禁止される競業行為の範囲や、自社の正当な利益を害しないことについて
注意喚起する」と規定されているが、「禁止される競業行為の範囲」や「自社
の正当な利益」が不明確であるがゆえ、企業における労働者の副業・兼業申請
に対する個別の許否判断が困難であったり、副業・兼業を広範に禁止又は制限
したりするおそれがあるとの指摘があること、また、不正競争防止法(平成5
年法律第47号)における営業秘密に関する法制の整備に伴って、営業秘密の不
正な利用については事後的な処罰規定が整備されていることを踏まえ、競業避
止義務の内容を明確化し、営業秘密の保護の要請等と両立する形で、副業・兼
業を円滑化するために次の①及び②の措置を講ずる。
① ガイドラインに記載されている「競業により自社の利益が害される場合」
及びモデル就業規則に記載されている「競業により、企業の利益を害する
場合」の内容について、副業・兼業を円滑化する観点から、営業秘密の保
護の要請及び裁判例も踏まえつつ、競業避止義務として適切でないと判断
され得る場合を示し、労使への周知を行う。その際、例えば、以下の場合
は、競業避止義務として原則として適切でないとの規制改革推進会議での
議論等を踏まえ検討するものとする。
-自社で労働者がその業務に関して知りうる具体的な営業秘密の存否やそ
の範囲を個別に特定せずに、他企業での副業・兼業を営業秘密漏えいのお
それを理由に一般的に禁止すること。
-自社で労働者がその業務に関して知りうる具体的な営業秘密が特定され
ていたとしても、(i)その利用が一般的に想定されない他社の業務における
副業・兼業を禁止すること、(ii)顧客名簿のダウンロードの禁止その他に
よって、その営業秘密の社外での利用が技術的に困難であるにも関わらず、
副業・兼業を禁止すること。
-現に競業関係にある企業などでの副業・兼業を、自社の具体的な利益侵
害のおそれが乏しいにもかかわらず、一般的に禁止すること。
② 各企業において副業・兼業の申請が行われた際、使用者と労働者が、①に
おいて示された具体例を基礎としつつ、各企業において保護の必要がある
正当な利益やそれを踏まえた競業行為の範囲等について、十分に協議して、
双方が納得感を持った上で、個別の申請に対する許否の判断が行われるこ
とや具体的な判断の蓄積を更なる副業・兼業の円滑化のためにいかすこと
が重要である旨をガイドライン等に明記する。また、各企業における副業・
兼業の円滑化のための具体的な取組を促す観点から、企業における正当な
利益及び競業行為の範囲に関する具体的な考え方や、競業避止義務への対
応についての運用方法等の事例を紹介する。
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