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規制改革推進に関する答申 (22 ページ)

公開元URL https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/p_report.html
出典情報 規制改革推進に関する答申(5/31)《内閣府》
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の理由により、全く言い難い状況である。
第一に、運営主体がタクシー事業者に限定されている点である。既存のタクシ
ー事業者だけでなく、意欲があり、技術もある様々な企業が移動難民問題の解決
に向けて果敢にチャレンジできるフェアな環境を整備すべきである。業界目線で
なく、利用者起点での制度設計を行うべきである。安全性に関しては、ライドシ
ェア業を創設し適切な規制を課すことにより、運営主体をタクシー事業者に限定
しなくとも確保することが可能である。
第二に、ドライバーの確保の点である。ライドシェアのドライバーになる魅力
は、世界的にも、好きな時間に自律的に柔軟に働くことができる点にある。こう
した働き方を安全の管理と両立する形で実現するためには、タクシー事業者の営
業所でアナログな方法によりドライバーを指揮監督して安全を確保するという
昔ながらのやり方に加えて、デジタル技術により遠隔で乗客やドライバーの安全
を確保する方法にアップデートする選択肢を用意する必要がある。しかし、自家
用車活用事業は、デジタル技術の活用を必ずしも前提とせず、タクシー事業に関
する規制を準用した制度となっている。この結果、むしろ、タクシー事業者が車
両や正社員を持たずに、事業を展開可能とするためのコスト削減策にすら見える
という指摘を受け止める必要がある。
第三に、移動の制約への全国的な対応の点である。自家用車活用事業は、道路
運送法の根拠条文上「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合」に「地域又
は期間を限定して」実施するもの(同法第78条第3号)とされており、実際にも、
地域・時間帯・時期・台数等が限定された局所的な運用になっている。同事業に
ついて、事業者からは「人口密度が低い地域になれば、マッチングの効率が下が
り、マッチング率が低下するとサービス体系の満足度は下がるため、乗客、ドラ
イバー共に支持を得ることが難しくなることから、事業としては成立しづらくな
る。」といった採算性への懸念があり、また、1年ごとに運行可能な台数や地域
も変更され得る不安定さも指摘されている。特に人口数万人から数十万人程度の
中小規模の都市においては、自家用有償旅客運送の活用も困難な地域、時間帯等
が生じることが想定されるため、このような制度を全国的な移動の足の確保につ
なげていくことは根本的に難しいと考えられる。
(結論)
全国で住民、観光客の移動の足不足を速やかに解消し、飲食、宿泊など地域
経済の復活・発展、インバウンドの増大を図るため、今年度から開始された自
家用車活用事業等の効果を適切に把握し、不断のバージョンアップを順次実施
した上で、年内にも、全国各地域での移動の足が充足する地域の有無・程度を
可能な限りデータによって丁寧に検証すべきである。同時に、当該検証を踏ま
え、日本全国の移動の足不足の解消に向けて、次の段階に円滑に移れるよう、
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