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提案書13(2402頁~2600頁) (176 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項

・K803-2 腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる場合) 1 全摘(腸管等を利用して尿路変更を行わないもの)、2 全摘
(回腸又は結腸導管を利用して尿路変更を行うもの)、3 全摘(代用膀胱を利用して尿路変更を行うもの)の対象は、主にステージ2もしくは3の
膀胱がん患者であり、一部のステージ1以下、あるいはステージ4の膀胱がん患者にも適用される。
・ロボット支援下に腹腔鏡アプローチで膀胱、および、多くの場合、前立腺、子宮、尿道といった隣接臓器も同時に摘除し、尿路変更を行う手術
である。
・腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる場合)は腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍手術と同じ点数であり、尿路変更の様式により点数
が異なり、K803-2 1: 86,110点、K803-2 2: 117,790点、K803-2 3: 120,590点と設定されている。主な施設基準として、腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍手
術(内視鏡手術用支援機器を用いる場合)を術者として5例以上実施した経験を有する常勤の医師が1名以上配置されていること、当該保険医療機
関において開腹、腹腔鏡(RARC含む)、あるいは腹腔鏡下小切開による膀胱全摘除を年間10例以上実施していること、泌尿器科において常勤の医
師が2名以上配置され、いずれも泌尿器科について専門の知識及び5年以上の経験を有すること、関係学会から示されている指針に基づき、当該手
術が適切に実施されていること、といった要件がある。



診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)

803-2

医療技術名

腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる場合)

RARCは開腹膀胱全摘除と比較して、手術時間が長いが、入院期間が短く、出血量が少なく、術後合併症が少ないとされている(参考文献2)。両
者を比較した無作為比較試験であるRAZOR試験(参考文献3)では、2年非再発生存率においてRARCの開腹膀胱全摘除に対する非劣性が明らかに
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 なった。体腔内尿路変向術を伴うRARCと開腹膀胱全摘除を比較した無作為試験であるiROC試験(参考文献4)では、RARCの術後90日間の入院不要
後等のアウトカム
の院外療養日数は有意に長かったという結果も報告されている。我が国のDPCデータベースによる解析では、RARCと開腹膀胱全摘除を傾向スコア
マッチングを行い比較した結果、RARCでは合併症が有意に少なく、入院期間も有意に短かったことが報告されている(参考文献1)。

③再評価の根
拠・有効性

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

DPCデータベースによる解析では2018年4月の保険承認以降、2018年323例(膀胱全摘除全体の11%)、2019年881例(29%)、2020年1293例(38%)
と急速に施行数が増加しており、3月までのデータであるが2021年にはRARCが238例で膀胱全摘除の中で最も多く行われていた(44%)。増加の割
合としては2012年に保険承認となったロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除と同等と考えられ、現在同手術が前立腺全摘除の80%以上を占めている
ことを考えると、施設基準が緩和されればRARCは少な目に見積もっても膀胱全摘除の60%以上を占めることになると思われる。

見直し前の症例数(人)

1,600人(膀胱全摘除全体の50%)

見直し後の症例数(人)

1,920人(膀胱全摘除全体の60%)

見直し前の回数(回)

1,600回

見直し後の回数(回)

1,920回

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

膀胱癌診療ガイドライン2019年版(日本泌尿器科学会編 Mindsガイドラインライブラリに
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す 掲載)に、RARCは推奨されるかというクリニカルクエスチョンに対して、RARCは開放膀胱
る。)
全摘除術よりも低侵襲で,同等の制癌効果が報告されており,考慮することが推奨される
と記載されている。エビデンスの確実性はB、推奨の強さは2である(参考文献5)。

膀胱全摘除は泌尿器科定型手術の一つであり、専門医申請の資料である手術症例一覧表の主な手術一覧にも記載される一般的手術であり、ほぼす
べての泌尿器科専攻医が経験する手術である。膀胱全摘除の一つである腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる場合)は外保
連試案では難易度Dに設定されている。

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 泌尿器科を標榜する施設。
制等)
腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる場合)を術者として、5例以上実施した経験を有する常勤の医師が1名以上、泌尿器科
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 について専門の知識及び5年以上の経験を有する常勤の医師が2名以上、常勤の臨床工学技士が1名以上が配置されており、泌尿器科、放射線科、
麻酔科を標榜しており、病理部門が設置され、病理医が配置されていること。
性や経験年数等)
その他
膀胱癌診療ガイドライン2019年版(日本泌尿器科学会 編)(参考文献5)
(遵守すべきガイドライン等その他の 泌尿器科領域におけるロボット支援手術を行うに当たってのガイドライン(日本泌尿器科学会・日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会)
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

出血量は200-400ml程度であり、多くの研究で既存の開腹膀胱全摘除よりも有意に少ないとされている。我が国のDPCデータベースによる解析で
は、データベースの性質上Clavien分類は不明ではあるが、既存の開腹膀胱全摘除よりも合併症は有意に少なかった(25.9% vs 33.5%, p<0.01)。
院内死亡率は1.1%であり、他の術式と比較しても劣ってはおらず(開腹膀胱全摘除 1.5%, 腹腔鏡下膀胱戦摘除 1.0%)、諸外国の報告と比較して
も劣るものではなかった(参考文献1)。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

上述の通り、現状の施設基準では標準術式と言えるようになったRARCが地域事情により受けられないという不均衡が生じ得ており、この施設基準
の緩和が妥当な地域医療の均てん化をもたらすものと考えられる。

⑧点数等見直し
の場合

見直し前
見直し後
その根拠
区分

⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

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番号
技術名

特になし
特になし

具体的な内容

特になし

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