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提案書19(3602頁~3801頁) (137 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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③再評価の根
拠・有効性

近年、遠隔転移を有する症例の原発巣および遠隔転移巣に対するIMRTの有効性が、メタ解析やランダム化比較試験で示されている(参考文献13)。上咽頭癌では化学療法の奏功例にIMRTを原発局所領域に追加することで、生存期間の延長が得られている(参考文献11)。前立腺癌の骨転移
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 数の少ない症例では原発巣への放射線治療の追加により生存期間の延長が示されている(参考文献2)。
IMRTは従来法と比較し、前立腺癌においては重篤な晩期消化管毒性発生頻度を約10%軽減でき、頭頚部癌全般において加療を要する口腔内乾燥症
後等のアウトカム
の発生を約20%軽減でき、また、他の多くのがん種において有害事象を有意に軽減可能であることが、大規模集団ベースのコホート研究やランダ
ム化比較試験等のメタ解析によって明らかにされている(参考文献4)。

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

・ 放射線治療計画ガイドライン 2020年版
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
・ IMRT物理技術ガイドライン2023
る。)
・ IMRT臨床的ガイドライン2023

令和3年社会医療診療行為別統計(令和3年6月審査分)から年間の放射線治療管理料(IMRT)は、46,944件であり、算定人数は47,868人であったた
め、これが見直し前の数値であると考えられる。また、多門照射の年間の2022年放射線治療管理料は、88,476件であり、算定人数は92,208人で
あった。適応拡大の結果、多門照射のうち、10%程度がIMRTの適応になると想定すると、
算定回数:46,944+(88,476×0.1)=55,792, 算定人数:47,868+(92,208×0.1)=57,089 となる。
また、体外照射料に関しては、IMRTの算定件数は年間で986,256件であり、多門照射の算定件数は1,366,920件であった。上記同様、10%がIMRTの
適応になったとすると986,256+(1,366,920×0.1)=1,122,948となる。

見直し前の症例数(人)

47,868

見直し後の症例数(人)

57,089

見直し前の回数(回)

放射線治療管理料:46,944, 体外照射料:986,256

見直し後の回数(回)

放射線治療管理料:55,792, 体外照射料:1,122,948

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

2000年に本邦に導入以降約23年が経過し、IMRT技術の成熟と経験・ノウハウの蓄積が進み、治療計画、照射技術、QA/QC、安全管理に関する各種
ガイドラインが整備され、IMRTに関する各種講習会も各地で開催されている。
IMRTの適応となる病態と、そうでない病態の場合の保険運用の考え方については、放射線腫瘍学会から発刊予定の「強度変調放射線治療臨床ガイ
ドライン2023」(参考文献5)において明記されているので、診療報酬上も「関連団体の示すガイドラインに沿った運用」と制限をかけるのも効
果的と考える。

1.放射線科を標榜している保険医療機関であること。
施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 2.IMRTを行うために必要な機器・施設を備えていること。
3.IMRTを年間10例以上実施していること。
制等)
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

1.①放射線治療専任の常勤医師が2名以上(うち1名は放射線治療の経験を5年以上有する)が配置されていること。
または、②1名の5年以上の放射線治療経験を有する常勤医と週に1日以上勤務する1名以上の専任の非常勤医師。
人的配置の要件
ただし、②の場合は非常勤医師の勤務1日/週につきIMRTは年間50例を限度として実施できる。
(医師、看護師等の職種や人数、専門 2.放射線治療を専ら担当する常勤の診療放射線技師(放射線治療の経験を5年以上有するものに限る。)が1名以上配置されていること。
性や経験年数等)
3.放射線治療における機器の精度管理、照射計画の検証、照射計画補助作業等を専ら担当する者(診療放射線技師その他の技術者等)が
1名以上配置されていること。
・根治性がない症例の場合は、IMRTが必要になった理由について症状詳記を添付すること。
【遵守すべきガイドライン】
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の ・ 放射線治療計画ガイドライン 2020年版
・ IMRT物理技術ガイドライン2023
要件)
・ IMRT臨床的ガイドライン2023

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

今回対象とする「近隣に危険臓器がある場合に、それを避けて目的線量を投与するためにIMRTが必要な固形悪性腫瘍」に対して、従前は危険臓器
を避けることができず、リスク回避が困難なことが多かったため、本技術の実施は、本質的に従前より副作用リスクが低い。ただし、技術的に安
全な手法で実施しないとリスクが発生するので、経験のあるスタッフにより関連団体によるガイドラインなどに沿った適切な実施が必要である。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)



⑧点数等見直し
の場合

見直し前
見直し後
その根拠





区分
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)



区分をリストから選択

番号
技術名




具体的な内容


増(+)

プラスマイナス

⑩予想影響額

予想影響額(円)

1,732,514,000円以上

その根拠

医療費増加分:17億3千万円/年間
従来多門照射で算定されていた患者(M000 3:4,000点、M001 2(3):1,800点)がIMRTで算定されることによって、その差分が医療費の増額分とな
る。
人数、件数は上述のものを採用し、
放射線治療管理料:(5,000点-4,000点)×(57,089-47,868人/年)×10円= 92,210,000円/年間
体外照射料:(3,000点-1,800点)× (1,122,948-986,256回/年)×10円= 1,640,304,000円/年間
*総額 1,732,514,000円/年間 増加する。

備考



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