提案書19(3602頁~3801頁) (85 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
723101
ヘリコバクターピロリ菌除菌療法前の抗菌薬感受性試験
日本ヘリコバクター学会
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
04消化器内科
01内科
関連する診療科(2つまで)
18消化器外科
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
「実績あり」の
ヘリコバクターピロリ菌の抗菌薬感受性試験
提案当時の医療技術名
場合、右欄も記
載する
令和4年度
有
追加のエビデンスの有無
提案される医療技術の概要
(200字以内)
有
ヘリコバクターピロリ菌の除菌療法に先立ち、内視鏡検査下生検組織からヘリコバクターピロリ菌の培養を行い、引き続
き、抗菌薬感受性試験を行い、除菌療法における適切な抗菌薬の選択に貢献する。
文字数: 91
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)
① 内視鏡検査又は造影検査において胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の確定診断がなされた患者、② 胃MALTリンパ腫の患者、
③ 特発性血小板減少性紫斑病の患者、④ 早期胃癌に対する内視鏡的治療後の患者、⑤ 内視鏡検査において胃炎の確定診
断がなされた患者のうち、ヘリコバクターピロリ菌が現感染である患者
適切な抗菌薬の選択による除菌率の向上、適切無駄な抗菌薬使用の回避のために抗菌薬感受性試験が必要である。近年HPの
クラリスロマイシン(以下CAM)耐性率が30-40%と高く一次除菌率低下の最大の要因である。また、最近の研究でCAM耐性の
場合にCAMを投与しないVPZとAMPCとの2剤療法の方が除菌率がよいことも明らかになり、事前の感受性の情報が適切な除菌
療法に極めて有用である。2022年11月に核酸増幅法によるCAM感受性試験が保険収載されたが、特殊な装置が必要であり、
一般への普及が困難であり、多くの施設が実施可能な培養法で感受性試験の保険収載が医療の均てん化の観点からも必要で
ある。
文字数: 294
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等
① 内視鏡検査又は造影検査において胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の確定診断がなされた患者、② 胃MALTリンパ腫の患者、
③ 特発性血小板減少性紫斑病の患者、④ 早期胃癌に対する内視鏡的治療後の患者、⑤ 内視鏡検査において胃炎の確定診
断がなされた患者のうち、ヘリコバクターピロリ菌が現感染である患者。年齢制限は無し。
②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)
方法:内視鏡検査時にHp感染が疑われた場合に、胃粘膜生検を行い、その組織からヘリコバクターピロリ菌培養検査を行
う。培養陽性の場合に引き続き、寒天平板希釈法にて、クラリスロマイシン(CAM)、アモキシシリン(AMPC)、メトロニダ
ゾール(MNZ)の薬剤感受性を検査する。MICを測定し、1以上であれば、耐性菌と判断する。
実施頻度:内視鏡検査時は生検可能な場合必ず行う。培養が陽性の時に感受性試験を行う。
期間:ヘリコバクターピロリ菌の除菌療法前
区分
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)
D
番号
D23
医療技術名
細菌培養検査・感受性試験
既存の治療法・検査法等の内容
ヘリコバクターピロリ菌の培養同定検査までは保健収載されている。そして、培養陽性であった場合の引き続きの抗菌薬感
受性検査は技術的には可能である。現状では自院の細菌検査室で行っている施設もあり、またSRLなどの検査会社に外注し
ても実施可能であるが、正式に保険収載となっていない。
④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム
研究結果
ヘリコバクターピロリ菌がCAM感受性の場合の除菌成功率は90%以上が期待できるが、CAM耐性菌の場合ではPPI使用レジメ
で40%、カリウム競合型アシッドブロッカーであるボノプラザン(VPZ)使用レジメで80%程度まで低下する。興味深いこと
にCAM耐性菌と判明した場合には、CAMを用いない、アモキシシリンとの2剤療法の方が除菌率が高いことが報告された。Hp
のCAM耐性菌でのCAMの併用は除菌に貢献しないどころか、アモキシシリンの抗菌作用に悪影響を与えて除菌率をさげること
が明らかになった。従って除菌率の低下を未然に防止するためにもCAMの感受性試験は必要である。
335名のHP陽性例をVPZ + AMPC + CAMの三剤療法とVPZ + AMPCの二剤療法に割り付け除菌率を比較し、CAMの耐性の有無で層
別解析を行った。CAM感受性菌では、三剤療法での除菌率は95.1%で、二剤療法は85.5%で有意差は認めなかったが、CAM耐性
菌では、三剤療法の除菌率は76.2%と感受性菌に比較して低下し、かつ、二剤療法の92.3%よりも有意に低下していた。即
ち、CAM耐性菌での除菌でのCAMの併用は、除菌率を低下させることが明らかになった。これについてCAMとAMPCとのあいだ
の薬力学的拮抗作用があることより説明可能とされている。
⑤ ④の根拠と
なる研究結果等
1b
ガイドライン等での位置づけ
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)
3686
日本ヘリコバクター学会のH. pylori感染の診断と治療のガイド
ライン2016改訂版において、抗菌薬感受性試験に基づく適切な抗
菌薬の選択をすることを推奨している。2023年の改訂予定のガイ
ドラインでも感受性試験を行って適切な抗菌薬の選択をすること
が推奨されている。