提案書19(3602頁~3801頁) (32 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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拠・有効性
消化管粘膜下病変や膵腫瘤のEUS-FNB、EUS-FNAにおいてROSEの有用性を検討したシステマティックレビュー、メタアナリシスの報告はいくつか存
在し、検体の妥当性(参考文献1, 2, 4)や診断精度(参考文献2, 3, 4)をアウトカムとした検討が多い。検体の妥当性について2020年の報告(参考
文献1)では消化管粘膜下病変においてROSEを併用しないEUS-FNBとEUS-FNAでは検体の妥当性に差がみられるが(Odds ratio, 2.54; 95%CI,
1.29-5.01; p<0.007)、ROSEを併用すると2種の技術間での検体の妥当性に差異は認められなかったと報告し(Odds ratio, 1.60; 95%CI, 0.793.25)、2023年に発表されたアメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology:ACG)のクリニカルガイドラインにもその旨が記
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 載されている。参考文献2ではROSE併用群ではROSE非併用群に比し診断精度が向上したと報告している(Odds ratio=2.49、1.08-5.73; p
後等のアウトカム
=0.03)。参考文献3では多変量解析においてROSEは診断精度に関与する有意な予測因子であることが示されている(Odds ratio=2.60, 95 % CI:
1.41-4.79)。国内施設からの報告(参考文献4)においてもROSEを併用したEUS-FNAでは検体の妥当性(ROSE非併用期間: 80.0% vs. ROSE併用期
間:100.0%, p=0.03)や診断精度が有意に向上(ROSE非併用期間: 80.0% vs. ROSE併用期間: 100.0%, p=0.03)することに加え、 ROSE併用で
は穿刺回数が減少傾向を示した(Period 1, 5.9±3.8 vs. Period 2, 3.3±1.3, p=0.06)と報告している。ROSE併用による穿刺回数の減少につ
いては参考文献5においても穿刺回数の中央値が有意に減少することが示されている(ROSE併用群4回 vs.ROSE非併用群7回, p<0.0001)。
ガイドライン等での位置づけ
④普及性の変化
※下記のように推定した根拠
年間対象者数の
変化
年間実施回数の
変化等
【現在の回数】N003-2 迅速細胞診 2検査中の場合の算定回数は72回/月*(以下*は令和3年社会医療診療行為別統計による)
したがって現在の実施回数は年間で、72回/月×12か月=864回/年
【再検査を回避し、患者負担を軽減するために必要な迅速細胞診の回数】
EUS-FNA(D414-2)=2,444回/月*、EBUS-TBNA(D415-2)=1,187回/月*
一方で、検体採取不良等に伴う再検査率は約20%であり(学会データ)、上記件数は再検査を含む数値であることから、再検査回数は
EUS-FNA=2,444回/月-2,444回/月÷(1+0.2)=407回/月、EBUS-TBNA=1,187回/月-1,187÷(1+0.2)=198回/月
よって年間に必要な迅速細胞診(=迅速細胞診により再検査を回避)の回数は(407回/月+198回/月)×12か月=7,260回/年
さらに通常の内視鏡下でも、ブラシによる細胞診(例えば胆管狭窄部などにブラシを入れて細胞診検体を採取する)が施行される場合があるが、
この場合も迅速細胞診の対象となる。内視鏡下でのブラシによる検体採取回数は消化器内視鏡下で全国で約500回/年、気管支内視鏡下で約500回/
年(学会内部データ)の合計1,000回/年。これらは現在、算定されていず、迅速細胞診が必要である回数は7,260回/年+1,000回/年=8,260回/年
【患者数、回数の変化】
上記より、算定回数、患者数は、864回/年→8,260回/年に変化する。
見直し前の症例数(人)
864(人)
見直し後の症例数(人)
8,260(人)
見直し前の回数(回)
864(回)
見直し後の回数(回)
8,260(回)
⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)
2023年に発表されたアメリカ消化器病学会(ACG)の消化管粘膜下病変の診断と管理に関する
ガイドラインでは、充実性非脂肪腫性粘膜下病変からの検体採取時、ROSE非併用のEUS-FNA
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
よりもEUS-FNB単独もしくはROSEを併用したEUS-FNAを推奨している(ACG Clinical
る。)
Guideline: Diagnosis and Management of Gastrointestinal Subepithelial Lesions. Am
J Gastroenterol. 2023; 118(1): 46-58.)。
圧挫細胞診の手技は既に確立されている普遍的なものである。
迅速細胞診の実施にあたっては、高いレベルの技能や知識を有する下記記載の者により実施すべきものとする。
施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 EUS-FNA、EBUS-TBNAが実施可能であることに加え、術中細胞診を実施するにあたり以下の人的要件を満たす保険医療機関であること。
制等)
人的配置の要件
細胞診断を専ら担当する医師ならびに細胞診に専ら従事する臨床検査技師(細胞検査士であることが望ましい)が常勤として勤務していること。
(医師、看護師等の職種や人数、専門 さらに、本法を実施するための十分な人員が配置されていること。
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 特になし
要件)
⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度
問題ない
⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)
問題ない
⑧点数等見直し
の場合
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)
見直し前
450
見直し後
450
その根拠
適応する手技の拡大要望のため、点数見直しは要望しない
区分
D
番号
414-2、415-2、414、415-3、415-4、415
技術名
EUS-FNA、EBUS-TBNA、内視鏡下生検法、経気管支鏡下生検法
具体的な内容
迅速細胞診(検査中)を実施することで、検体不適正による再検査を回避できるようになり、医療費のみならず、患者負担も軽減できる。
減(-)
プラスマイナス
⑩予想影響額
予想影響額(円)
360,800,800(円)
その根拠
【迅速細胞診の増加に伴う増額分】適応拡大により、迅速細胞診の増額分は(8,260回/年-864回/年)×450点×10円=33,282,000円/年(ア)
【迅速細胞診の実施で再検査が回避できることによる減額分】
EUS-FNA、EBUS-TBNAでは、検体採取不適正などのため、全体の約20%で後日、日をあらためての検体再採取が必要となっている(内部データ、非
公開)。迅速細胞診の実施により、この「20%」の患者で再検査が不要となることから、
D414-2 超音波内視鏡下穿刺吸引生検法(EUS-FNA)4,800点(2,444回/月*)
D415-2 超音波気管支鏡下穿刺吸引生検法(EBUS-TBNA)5,500点(1,178回/月*)より平均算定額は
4,800点×(2,444/(2,444+1,178))+5,500点×(1,178/(2,444+1,178))=3,239点+1,789点=5,028点
D414内視鏡下生検は310点、D415-3,D415-4 経気管肺生検法は5,500点
より再検査回避により減額される医療費は、
5,028点×7,260回/年×10点+310点×500回/年×10円+5,500点×500回/年×10円=394,082,800円/年(イ)
ゆえに実際の医療費への影響は (イ)-(ア)=360,800,800円の減となる。
備考
⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬
特になし
⑫その他
なし
⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等
申請団体、共同提案学会以外は無し
なし
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