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提案書03(0399頁~0598頁)医療技術評価・再評価提案書 (176 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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区分

③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)



番号

B001 14、D-244-2

医療技術名

高度難聴指導管理料、補聴器適合検査

高度難聴指導管理料:
高度難聴の患者に対して、耳鼻咽喉科の常勤医師が耳鼻咽喉科学的検査の結果に基づき療養上必要な指導を行った場合に算
定する。人工内耳装用者は月1回に限り、その他の患者は年1回に限り算定可能である(人工内耳埋込術後3か月以内500点、
それ以外420点)。
施設基準としては、厚生労働大臣が定める人工内耳埋込術の施設基準を満たす、または5年以上の耳鼻咽喉科の診療経験を
有する常勤の医師が耳鼻咽喉科に配置されている保険医療機関である。
既存の治療法・検査法等の内容
補聴器適合検査:
聴力像に対し電気音響的に適応と思われる補聴器を選択の上、音場での補聴器装用実耳検査を実施した場合に算定する。患
者1人につき月2回に限り算定可能である(初回1,300点、2回目以降700点)。
施設基準としては、厚生労働省主催補聴器適合判定医師研修会を受講した補聴器適合判定医が常勤しており、検査設備の施
設基準に適合している地方厚生局長等に届出をした保険医療機関である。
(ただし施設基準を満たす医療機関は限られており、ほとんどの病院、開業医療機関では算定できていない。)

④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム

研究結果
⑤ ④の根拠と
なる研究結果等

・高度難聴指導管理料では年齢と関係なく語音明瞭度が低く、聴覚の活用が特に重要であることから補聴器・人工内耳の装
用に関わらず全年齢を対象としているが、本指導管理料では高齢者のみを対象とする。高齢者の中等度難聴は、若年者と比
べて語音明瞭度が有意に低く、さらにばらつきが大きいことも示されており、語音明瞭度が低くコミュニケーションの低下
をきたした高齢者へは特に補聴器装用の必要性が高い。そこで、高齢者の中等度難聴において補聴器装用のために情報提供
が必要となる際の指導管理料を設定することにより、適切な聴覚管理を実現する。
・難聴による聴取の低下により音声でのコミュニケーションが困難となり、教育や就労をはじめとする社会生活の問題、う
つや孤独感といった精神面での不安定、記憶力や認知機能の低下等様々な問題が生じる頻度が高くなる。特に近年認知症と
難聴の関連が注目されており、2020年Lancetでは認知症のリスク因子として難聴が最も頻度が高く、8%を占めることが報
告されている。補聴器装用は難聴への対策として最も有用であり、補聴によりコミュニケーション能力のみならず、就労能
力の向上、収入の向上、ワーキングメモリや認知機能の向上、認知症の予防、うつ・不安の予防、けがを伴う転倒の予防等
多岐にわたる効果が報告されている。
・一方、本邦における補聴器装用の現状としては、自覚的難聴者における補聴器所有率は15%と非常に低く、難聴者が耳鼻
咽喉科やかかりつけ医を受診した場合に、補聴器装用に関するアドバイスがあったのは37%と非常に低い。つまり医療機関
に受診したにもかかわらず補聴導入に関する指導がされていない難聴者は63%にものぼり、耳鼻咽喉科医の補聴についての
適切な説明、補聴器適合状態のアドバイスに課題があることが示唆される。また、補聴器は各患者の聴力に合わせて調整
(フィッティング)を行う必要があり、インターネットや眼鏡店に販売されているフィッティングが行われていない補聴器
では満足度が低くなる。購入した補聴器に対して満足しているのは50%にとどまり、欧米諸国の70%台後半から80%台前半と
比較して非常に低い。認定補聴器技能者によるフィッティングを受けていても64%に留まっており、病院・医院等で専門家
である医師による指導のもとで認定補聴器専門店などで適切なフィッティングを進めることは聴取および満足度の向上に必
須である。
・現在補聴器装用判定から認定補聴器専門店に対する情報提供を行う「補聴器適合に関する診療情報提供書」は医療機関宛
てではないため文書料の算定が不可となっているが、詳細な説明や補聴器適合に関する診療情報提供書の記載において指導
料を加算することにより、適切な補聴器装用が実現する可能性が見込まれる。難聴者の生産性の向上、医療・介護費用の軽
減といった経済効果が期待でき、社会的にも意義がある。

・日本人2,755名(5,498耳)の最高語音明瞭度に関する検討において、中等度難聴では10歳から64歳までの中央値[25-75
パーセンタイル]は85%[70%-90%]、65歳から99歳までの中央値[25-75パーセンタイル]は75%[55%-85%]であった。同じレベル
の難聴であっても語音明瞭度が加齢により有意に低下(p<0.001)、加齢とともにばらつきが大きくなることも示された。
(Wasano K, 投稿中)
・中等度感音難聴121症例(平均50dB程度)において、60dB会話音による補聴器非装用時の語音明瞭度は平均60%であるの
に対し、補聴器装用後3ヶ月で88%、補聴器長期装用後(平均1年)で91%と約30%の改善が得られ、日常の会話が大幅に改
善している(斎藤ら,Audiology Japan, 2015)。
・米国の66歳以上の難聴者114,862人において補聴器装用者14,109人と非装用者100,753人を比較、認知症、うつ、不安、け
がを伴う転倒の発生が装用者において有意に低かった(Mahmoudi, J Am Geriatr Soc. 2019)。
・50歳以上の高齢者2,040人に補聴器装用前後での認知機能の低下率を検討した結果、補聴器装用前と比較し装用後の方が
低下が緩徐であり、早期補聴の認知機能低下予防への有用性が示唆された(Maharani, J Am Geriatr, 2018)。
・難聴者1,276人の補聴器装用の有無と認知機能についての検討において、補聴器装用者は非装用者と比較すると認知機能
の低下率が低く、難聴非自覚者との差をみとめなかった(Amieva, J Am Geriatr, 2015)。
・中等度から重度難聴者117人を人工内耳もしくは補聴器装用による介入群と非介入群に分類し、うつ病、不安および生活
の質の指標を比較した結果、介入群では聴覚機能の向上、不安、抑うつ、健康状態およびQOLへのプラス効果をみとめた
(Manrique-Huatre, Audiol Neurootol, 2016)。
・高齢の難聴者の孤独感を補聴前と補聴後4-6週間で比較した結果、補聴後に孤独感は大幅に軽減し、特に中等度から高度
難聴者で顕著であった(Weinstein, Am J Audiol, 2016)。
・聴覚障害の有無での退職率を比較した検討において、補聴者を除外した難聴者は正常聴力者と比較すると有意に退職率が
高かった(Fischer J Am Acad Audiol, 2014)。
・難聴者5,050人(補聴器装用者1,818人と非装用者3,232人)において、非装用者では難聴が中等度以上になると収入の低
下が著明になるが、補聴器装用によりその程度は明らかに軽くなる。(MarkeTrakⅧ,THE HEARING JOURNAL, 2010)

3

ガイドライン等での位置づけ

ガイドライン等での記載なし(右欄にガイドライン等の
なし
改訂の見込み等を記載する。)

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