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提案書03(0399頁~0598頁)医療技術評価・再評価提案書 (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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研究結果

⑤ ④の根拠と
なる研究結果等

American College of Chest PhysicianとCanadian Thoracic Societyが合同で発表したCOPDの増悪防止に関するガイドライ
ン(Prevention of Acute Exacerbations of COPD, American College of Chest Physicians and Canadian Thoracic
Society Guideline. CHEST 2015; 147: 894-942,Mindsに基づいたもの)では,書面によるアクションプランを用いた教
育指導とケースマネジメントが入院や救急外来受診で評価した重度の増悪を防止する効果がある事が示されている。また
Cochrane Databaseにおいてもアクションプランを用いた短期教育プログラムが入院を減少させる事が示されている
(Cochrane Database Syst Rev, 2016 19;12: CD005074)。COPDの診断と治療に関する国際ガイドライン(Global
Strategy for The Diagnosis, Management and Prevention of Chronic Obstructive Pulmonary Disease, 2021 Report)
においても,専門職によって個別に行われた自己管理に関する介入は患者の健康状態を改善し,入院と救急受診を減少させ
ることが示されている。国内ではCOPD診断と治療のためのガイドライン(日本呼吸器学会, COPD診断と治療のためのガイド
ライン. 2018; 98-99)にセルフマネジメント教育が入院を減少させること、アクションプランによってセルフマネジメン
ト能力が向上することが示されている。いずれの報告でも単なる教育指導では基本的に無効であり,トレーニングを受けた
専門職によって実施された、対面式でアクションプランを含む書面を用いた指導が必須であるとされている。こうした重篤
な増悪の減少率は,カナダのグループの最新の報告(Eur Respir J 2018;51: pil:1701375)では64%,本邦の阿部らの報告
(日呼ケアリハ学誌 2016; 26:285-290)でも65%と示されている。
増悪による入院はCOPDの管理コストの50%以上を占めており、米国では2015年より、Hospital Readmissions Reduction
Program (HRRP)が導入され、30日以内に再入院した場合には、病院への支払いを減らすペナルティが課せられている。ペナ
ルティを避けるためにも、積極的に悪化防止プログラムが患者に提供されている。
増悪予防は慢性疾患プロセスの一部であり、問題の解決策は、連続ケアアプローチで病気の軌道全体に対処する必要がある
ことが報告されており、入院からスムーズに継続したフォローアップができることが重要とされている(Chronic Respir
Dis. 2020; 17: 1-12)。
日本では、このような増悪予防を目的としたセルフマネジメント教育を多くの病院や施設で実施できるよう日本呼吸ケア・
リハビリテーション学会が2022年に慢性呼吸器疾患患者のセルフマネジメント支援マニュアル(日呼ケアリハ学会誌 2022;
32: 1-244)を発刊した。
1a

ガイドライン等での位置づけ

⑥普及性

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)

年間対象患者数(人)

8,000-10,000人

国内年間実施回数(回)

4回/1人×8,000-10,000人=32,000-40,000回

1.COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライ
ン、2022年、日本呼吸器学会では、COPDの大きな管理目標の1つ
として増悪予防があげられており、目標達成のための管理計画を
立て、実施していくことが強く推奨されている。
2.慢性呼吸器疾患患者のセルフマネジメント支援マニュアル、
2022年、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会では、セルフマ
ネジメント教育が広く普及することを目標とし、学会誌の増刊号
としてマニュアルを発刊した。マニュアルでは、エビデンスに基
づいた具体的なセルフマネジメント教育方法が掲載されている。

※患者数及び実施回数の推定根拠等

COPDの患者数は、厚生労働省患者調査統計で平成29年度で22万人とされているが、わが国における大規模調査では、罹病率
は、40才以上の人口の7%(約530万人)と報告されて(Respirology 2004; 9: 458-465)おり、未診断の患者が多い現状で
ある。平成29年度、厚生労働省患者調査の傷病分類別にみた入院患者数では、COPD患者は8,200人と報告されており、肺炎
患者が35,600人と報告されている。COPDの増悪では、肺炎を起こす患者が多く、患者が肺炎入院患者にCOPDの増悪患者が含
めれている可能性は大きい。35,600人中に7%のCOPD患者が含まれると推定し、2,500人がCOPD患者の可能性があり、年間
8,200+2,500人=10,000人が対象となる可能性がある。これらの患者に対し、1人4回の患者教育が必要となるため、国内年
間実施回数は、32,000-40,000回と推定される。

⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

日本呼吸ケア・リハビリテーション学会から2022年に発刊された「慢性呼吸器疾患患者のセルフマネジメント支援マニュア
ル」において当該技術のエビデンス、実施方法が具体的に提示されている。
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会における呼吸ケア指導士、慢性疾患認定看護師は、患者教育内容の研修を受けてお
り、専門性が確立されている。

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体
制等)

呼吸器内科医が在籍している施設とする。
専用の外来診察室を準備することを施設の条件とすべきである。

人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門
性や経験年数等)

スタッフとしては、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会による呼吸ケア指導士の資格をもつ呼吸ケア指導士(医師204
名 看護師167名 理学療法士432名 作業療法士42名 薬剤師20名 管理栄養士5名)が妥当であると考えられる。また、
看護師については呼吸器疾患看護認定看護師(現在全国で350名)および慢性疾患看護専門看護師(同247名)、呼吸ケア指
導士(同162名)が当該技術についての専門教育とトレーニングをその養成課程で受けており,理学療法士/作業療法士につ
いては内部障害領域を中心に5年以上の経験を持った者が妥当であると考えられる。

その他
(遵守すべきガイドライン等その他の
要件)

セルフマネジメント教育に用いる資材については、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会より発刊された「慢性呼吸器疾
患患者のセルフマネジメント支援マニュアル」を用いる。または、この領域の先進地域であるカナダで作成され、エビデン
スが確立されており、世界12カ国で使用されてる「Living Well with COPD」の日本語版「COPDライフ」を用いるか、これ
に準拠した資材を用いる。

⑧安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

安全性に関する問題はこれまで指摘されていない。また技術内容から見ても安全性に問題はないと考えられる。

⑨倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

問題なし。

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