提案書09(1601頁~1801頁)医療技術評価・再評価提案書 (1 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
314104
救命のための骨髄路確保
日本救急医学会
32救急科
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
03循環器内科
関連する診療科(2つまで)
22小児科
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無
有
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
「実績あり」の
場合、右欄も記
提案当時の医療技術名
載する
令和4年度
救命のための骨髄路確保
有
追加のエビデンスの有無
提案される医療技術の概要
(200字以内)
文字数: 152
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)
本技術は、心肺機能停止(CPA)傷病者等への静脈内輸液(IVI)における静脈確保が困難な患者に対し骨内注入用針を用い
て骨髄内輸液(IOI)やアドレナリン等の投与を行う技術である。実施に際してはパワードライバーの先端に骨内注入用針
接続し、動力により骨内へ穿刺することにより、一定速の穿刺と薬剤投与を実現する
(1)重度外傷及び非外傷性心肺停止、(2)ショック、(3)低血糖症・その他
心肺機能が停止もしくは危惧される重症外傷においては静脈確保による迅速な輸液、アドレナリンの投与が求められる。
ショックによる低血圧状態においては静脈確保が困難な場合があり特に小児においては更に困難である。本技術は確保困難
な静脈に代えて骨髄経路から輸液を実現する技術であり、静脈に比べて輸液路確保の成功率が高く、結果として救命率の向
上が期待される。一方本技術に対する保険償還は行われていないため、緊急に備えた輸液体制が不十分であると考えられ
る。本技術については適切な保険導入により輸液環境を整備することで重症外傷における救命率の向上が望まれる。
文字数: 270
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等
(1)心肺停止、(2)ショック、(3)低血糖症・その他の場合であって、かつ緊急で救命のために薬剤投与が必要な患
者。年齢においては、全年齢である。
②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)
当該医療技術は、(1)心肺停止、(2)ショック、(3)低血糖症・その他の場合であって、かつ緊急で救命のために薬剤
投与が必要な患者に対して末梢静脈路の確保が困難な場合に輸液路を確保するために実施されるものである。骨髄穿刺針を
専用の電動ドライバーを用いて脛骨端、上腕骨頭又は大腿骨遠位部等の骨髄腔に穿刺し、輸液類、薬剤、輸血を投与する。
当該手技は緊急時に用いられることから留置期間は最大24時間である。
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)
区分
G
番号
008
医療技術名
骨髄内注射
既存の治療法・検査法等の内容
静脈路輸液及び中心静脈輸液
④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム
研究結果
末梢静脈路確保、中心静脈路確保、骨髄路確保に要する時間はそれぞれ3.6分、15.6分、1.5分と報告されており、救急にお
いて骨髄路確保が極めて有効であることを裏付けている。また、末梢静脈路確保の成功率は73.7%と報告されている(参考
文献1)。末梢静脈路確保が不成功であった26.3%について骨髄路確保が試みられることになるが、骨髄穿刺全体の成功率は
91%と報告されており、末梢静脈路確保と比較して非常に高い成功率であった(参考文献4)。さらに、非外傷性心肺停止
患者112例(末梢静脈路(IV):90例、骨髄路(IO):22例)においてルート確保手技成功率及びエピネフリン投与成功率
はIO及びIVでそれぞれ100%:33%、100%:52%といずれもIOで高い成功率が得られた。また、エピネフリン投与までの時間は
5分後、10分後、15分後でIO及びIVでそれぞれ21%:4%、82%:43%、100%:51%とIOで著明に短時間でのエピネフリン投与が
達成されていた(参考文献5)。
末梢静脈路あるいは骨髄路確保により薬物投与経路を確保できた場合の30日後生存率は、英国での院外救急救命における大
規模ランダム化試験にてエピネフリン投与時と非投与時(プラセボ群)でそれぞれ3.2%と2.4%と有意に優れていた(p=
0.02)ことから、骨髄路確保により生存率の向上が期待できる(参考文献2)。骨髄路確保の実施回数が年間2,650回から
10,190回へ増加した場合(「⑥普及性」)、30日後生存者数は(10,190-2,650) x (3.2%-2.4%) = 60人増加すると推測でき
る。
末梢静脈路確保困難時の骨髄路確保については、外傷初期診療ガイドラインJATEC改訂第6版、JRC蘇生ガイドライン
(2020)だけでなく、アメリカ心臓協会ガイドライン(2020)、ヨーロッパ蘇生協議会ガイドライン(2021)、英国NICEガ
イドライン(2015)など広く推奨されている。
A Randomized Trial of Epinephrine in Out-of-Hospital Cardiac Arrest, The new England journal of medicine,
August 23, 2018 vol. 379 no. 8
1b
⑤ ④の根拠と
なる研究結果等
ガイドライン等での位置づけ
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)
1601
外傷初期診療ガイドラインJATEC改訂第6版:成人及び小児のいず
れでも輸液路確保において末梢静脈の確保が困難な場合、骨髄路
が推奨されている。
JRC蘇生ガイドライン2020:成人において静脈路確保が不成功あ
るいは確保困難であった場合、骨髄路が提案されている。また、
小児においては、迅速な静脈路確保ができない場合、もしくは困
難と予想される場合は骨髄路が推奨されている。
理由:心停止の際に静脈路と骨髄路(主に脛骨に留置)による薬
物投与を比較した2020年の ILCOR の系統的レビューは,5件の後
ろ向き研究で静脈路は良好な臨床転帰と関連していることを示し
ており,別の臨床的問題に重点を置いている RCT のサブグルー
プ解析は,薬物投与に静脈路または骨髄路を使用時の転帰が同等
であることを示している。静脈路が推奨されるが,静脈路の確保
が難しい場合は,骨髄路が妥当なオプションである。