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提案書09(1601頁~1801頁)医療技術評価・再評価提案書 (76 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項

現在本技術はK019-2 自家脂肪注入として収載され、「鼻咽頭閉鎖不全の鼻漏改善を目的として行った場合に、原則として1患者の同一部位の同
一疾患に対して1回のみの算定であり、1回行った後に再度行っても算定できない。」とされている。



診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)

019-2

医療技術名

自家脂肪注入

乳房に対するAFGの効能と安全性についてはこれまで多くの研究で報告されている。
2018年にKrastevの研究グループは乳房増大術を除いた乳癌手術による乳房変形に対する脂肪注入術の観察研究を中心とした89文献から5,350名の
患者を抽出(平均年齢は46.7歳、平均追跡期間は1.9年)しメタアナリシスを行った(資料2)。結果、患者および外科医の総合的な満足度は、それ
ぞれ94.3%と95.7%と非常に高く、代表的な乳房再建後の患者主観的アウトカム(Patient reported Outcome)評価ツールであるBreast-Qスコアに
よってもそのことが裏付けされた。下位尺度の一つであるPhysical Well-beingには、上肢の挙上や胸部の引き連れに対する評価が含まれてい
る。平均注入回数は1.5回、注入量が100ccで、注入した脂肪組織の1年後のボリューム維持率は52.4%であった。一方で臨床的合併症が発生した
施術はわずか5.0%であり、シリコーン乳房インプラントや一般的な自家組織による乳房再建法に比べ高い値ではなかった。2016年にはGroenらの
研究グループがAFGを伴う乳房再建における合併症、腫瘍学的および放射線学的安全性、注入後のボリューム保持、患者/外科医の満足度に関し
て計43の研究から6,260人の患者についてシステマティックレビューを行った。追跡期間は12-136ヶ月であった。結果、AFGによる乳房再建後の平
均腫瘍学的再発率は、局所再発率2.5%および遠隔再発率2.0%であり、生検の割合はやや高い値がみられるものの、全体の合併症発生率も8.4%
と他の乳房再建術の報告より低い値であった。平均容量保持率は平均76.8%であり、患者満足度は93.4%、術者満足度は90.1%であった。

治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予
後等のアウトカム
乳癌治療に伴う放射線治療は、既存の再建手術に対し不利に働く。乳房インプラント再建の場合はインプラント周囲に形成される被膜による被膜
拘縮の発生率が増加する。自家組織再建では術後の乳房変形(皮弁の萎縮)や遊離皮弁を行う場合のレシピエント血管のダメージを起こす。これら
は合併症の発生率を上昇させる。しかし、2007年に脂肪注入を行うことで放射線潰瘍の治癒が改善する報告(Rigotti)がなされて以降、放射線
治療に伴うこれらの問題が軽減されることを示すエビデンス・レベルの高い研究が増加している。Gentilucciらは2020年に放射線治療後60名の乳
がん患者を対象に無作為割付(RCT)でAFGを行い、乳房の量的・質的改善が得られることを報告した(資料3)。彼らは術後の脂肪移植部位で生検
を行い、脂肪層の厚みが肥厚しており、組織学的評価でも異常のない脂肪組織が再建されていることを証明した。
AFGの注目すべき効果の一つに疼痛の改善がある。これについては海外のRCTと多数の観察研究で疼痛軽減効果が得られることを報告している。

③再評価の根
拠・有効性

Sowaらの日本国内初の前向き研究(資料4)でも人工物再建に引き続きAFGが行われた群では、行われなかった群に比べ、乳房への満足度や心理的
健康観が有意に高かった。

日本形成外科学会
「再建を目的とした自家脂肪注入に対する適正施行基準(2017年版)」
鼻咽腔閉鎖不全やその他先天異常、変性疾患、外傷、乳癌の再建での脂肪注入の施行につ
いてその基準や留意事項を示している

ガイドライン等での位置づけ

日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
「乳房への脂肪移植術の治療手順」
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
乳房への脂肪移植術を行うにあたり、術者が最低限理解しておくべき内容、また推奨され
る。)
る標準的な“考え”と“方法”を示している
日本乳癌学会
「乳癌診療ガイドライン2022年版」
「FRQ6 乳房再建法としての脂肪注入は勧められるか?」において、「乳房再建法としての
脂肪注入は細心の注意のもと行ってもよい。ただし,適切な手技の習得と,長期間の術後
フォローアップが必要である。」としている

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

見直し前の症例数(人)

20

見直し後の症例数(人)

700

見直し前の回数(回)

20

見直し後の回数(回)

1,000

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)
施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体
制等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

鼻咽頭閉鎖不全のうち軽症から中等症のものに対して1回のみが現状の適応症だが、さほど頻度の高いものではないため年間の症例数及び実施数
は20程度と推定される。日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会脂肪移植WGで実施したアンケートより、2021年に本邦で実施された件数
は680件程度である。乳房症例の半分弱が半年おいて2回行った場合の件数が1,000件である。顔面半側萎縮も稀少疾患であり、誤差範囲と思われ
る。

技術度区分はDとされ、Subspeciality領域の専門医もしくは基本領域の専門医更新者や指導医取得者を要するとされる。
具体的には下記に示す資格および講習の受講を要する。

形成外科を標榜している施設であること。

・形成外科の経験を5年以上有する常勤の医師が2名以上配置されており、そのうち1名以上が形成外科について10年以上の経験を有しているこ
と。
人的配置の要件
・関係学会から示されている指針に基づいた所定の研修を修了し、その旨が登録されている医師が1名以上配置されていること。
(医師、看護師等の職種や人数、専門 ・鼻咽頭閉鎖不全への施行については耳鼻咽喉科の専門的な研修の経験を10年以上有している常勤の医師が1名以上配置されており、連携して手
性や経験年数等)
術を行うこと。
・乳房再建を目的とした施行については乳癌診療の専門的な研修の経験を10年以上有している医師と連携して手術を行うこと。

関係学会から示されている指針に基づき、自家脂肪注入が適切に実施されていること。
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 具体的には日本形成外科学会「再建を目的とした自家脂肪注入に対する適正施行基準(2017年版)」や日本乳房オンコプラスティックサージャ
リー学会「乳房への脂肪移植術の治療手順」があたる。
要件)

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