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提案書09(1601頁~1801頁)医療技術評価・再評価提案書 (138 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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寛骨臼移動術の医療経済効果について人工股関節置換術(THA)と比較した研究では、前股関節症または初期股関節症ではTHAに比べ有意に優れた
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 コスト性を有することが示されている(文献1)。また、QOLについてのメタ解析において、寛骨臼移動術はTHAに比べ有意に高い日常生活アク
後等のアウトカム
ティビティレベルを有することが示されている(文献2)
③再評価の根
拠・有効性
ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

変形性股関節症診療ガイドライン2016年版において、寛骨臼移動術は前・初期変形性股関
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
節症に対する関節温存手術として10年から30年の良好な成績が報告されている。
る。)
2024年変形性股関節症診療ガイドライン(改訂中)に掲載予定である。
社会医療診療行為別統計令和3年6月審査分における1ヶ月間の寛骨臼移動術総数は84例であり、1年間で1,008例と推計する。手術治療を要する寛
骨臼形成不全症例数は大きな変化は見込まれないが、新たに本術式の増点が実現され、その重要性が認知されると、これまで骨切り術の適応があ
るにもかかわらず、技術がないことで安易に人工股関節が施行されていた症例の一部に対して本術式が適応される可能性が高まる。特に若年患者
において、安易に施行された人工股関節置換術の成績は高齢者に比べ短いのは明らかであり、患者中心の医療を考慮すると看過することはできな
い。さらに近年、骨切り位置や進入法の工夫などが行われ、より低侵襲で安全性を高めた術式の工夫が盛んに報告されているため、学会などにお
ける注目度も高まっており、今後は適応症例数は漸増するものと予想する。以上より、見直し後の年間実施回数は1,200例程度と見積もる。

見直し前の症例数(人)

1,008

見直し後の症例数(人)

1,200

見直し前の回数(回)

1,008

見直し後の回数(回)

1,200

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

寛骨臼移動術は本邦において開発され、発展した術式であり、長い歴史的を有する。日本股関節学会においても特に重要とされる術式である。特
に日本において頻度の高い寛骨臼形成不全に対する関節温存手術として安定した長期臨床成績を有しその重要性は高くエビデンスも構築されてき
た。高度な技術を要し、限られた股関節専門医が施行すべき術式である。そのため、股関節骨切り術セミナー、股関節骨切り術レジストリーなど
が開始され、将来的な技術認定制度の資料作成を視野に入れている。さらに、より低侵襲で安全性を高めた複数の術式が考案されており、コン
ピューターナビゲーションを併用した手技による安全性の確保、骨切りノミやレトラクターなどのデバイスに工夫が加えられている。

・整形外科を標榜している。
施設の要件
・透視下に処置が実施できる設備があること。
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 ・血管損傷、骨盤内大量出血などの処置中の重大合併症発生時に対応可能な体制がとれること。
制等)
・術後リハビリテーションを行える設備及びスタッフを要すること。
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 医師3-4名、看護師2名、放射線技師1名。主たる実施医師は、当該技術を10件以上経験した整形外科専門医であることが望ましい。
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 主たる実施医師は当該技術に関する学会主催のセミナーなどへ参加経験を有することが望ましい。
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

他の股関節手術と同様に出血、手術部位感染、深部肺静脈血栓症、神経損傷などがあげられる。特に重篤な合併症としては血管損傷に伴う骨盤内
大量出血や移動骨片の壊死などがある。術後合併症と追加手術の発生率は、THA群とPAO群(寛骨臼移動術の1種)の間で有意差なし(文献2)。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

倫理性・社会的妥当性に問題点は認めない。

⑧点数等見直し
の場合

⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

見直し前
見直し後

40,040点
44,070点

その根拠

K055-2 大腿骨頭回転骨切り術(44,070点)と同等の難易度である。若年者における股関節温存手術であり、将来的な人工関節置換術を回避する
という点においてもK055-2 大腿骨頭回転骨切り術(44,070点)と同等が妥当である。

区分

特になし

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番号
技術名

特になし
特になし

具体的な内容

特になし
減(-)

プラスマイナス

⑩予想影響額

予想影響額(円)

189,667,200円

その根拠

・予想される当該技術増点に係る年間医療費増加分=新たな診療報酬点数を加味した寛骨臼移動術入院費請求点数概算(213,030点)×10円/点
・※予想される年間対象患者増加数(192人)×一人当たりの年間実施回数(1回)=409,017,600円
・当該技術の保険収載に伴い減少すると予想される医療費=人工股関節置換術に要する入院費請求点数概算(183,400点)×10円/点×予想される
年間対象患者減少数(192人)352,128,000+人工股関節再置換術に要する入院費請求点数概算(256,830点)×10円/点×192/2* 246,556,800=
598,684,800
・増加分ー減少分=409,017,600円ー598,684,800=-189,667,200円(医療費削減)
※192例に人工股関節置換術を行ったと仮定した場合、将来的な再置換術が少なくとも半数(96例)に必要であると仮定し算出

備考
⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

特になし

⑫その他

特になし

⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

特になし

⑭参考文献1

1)名称

変形性股関節症診療ガイドライン2016年版

2)著者

変形性股関節症診療ガイドライン策定委員会

3)雑誌名、年、月、号、ページ

P213-P223

4)概要

関節温存術は青壮年期の寛骨臼形成不全に伴う前股関節症・初期変形性股関節症の症状緩和および病期進行の予防に効果があり、まず考慮すべき
手術療法であるとされる(合意率97%)。寛骨臼形成不全症に対する矯正手術としては寛骨臼移動術が最も普及しており、術後10〜20年における股
関節機能スコア(JOA hipスコア)は平均90点以上が維持され、病期進行をエンドポイントとした関節生存率は71〜92%、その後に人工股関節置換術
(THA)への移行をエンドポイントとした生存率は89〜100%と安定した長期成績が示されている。

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