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提案書09(1601頁~1801頁)医療技術評価・再評価提案書 (137 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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医療技術評価提案書(保険既収載技術用)
整理番号

320201

※事務処理用

提案される医療技術名

寛骨臼移動術

申請団体名

日本股関節学会
30整形外科

主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科

36リハビリテーション科
関連する診療科(2つまで)
00なし

提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した
医療技術の提案実績の有無

「実績あり」の
場合、右欄も記
載する



過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)

令和2年度

提案当時の医療技術名

寛骨臼移動術

追加のエビデンスの有無



診療報酬区分
診療報酬番号

再評価区分(複数選択可)


141-2
1-A

算定要件の見直し(適応)

該当する場合、リストから○を選択

1-B

算定要件の見直し(施設基準)

該当する場合、リストから○を選択

1-C

算定要件の見直し(回数制限)

該当する場合、リストから○を選択

2-A

点数の見直し(増点)



2-B

点数の見直し(減点)

該当する場合、リストから○を選択



項目設定の見直し

該当する場合、リストから○を選択



保険収載の廃止

該当する場合、リストから○を選択



新規特定保険医療材料等に係る点数

該当する場合、リストから○を選択



その他(1~5のいずれも該当しない)

該当する場合、リストから○を選択

「6

提案される医療技術の概要(200字以内)

再評価が必要な理由

その他」を選んだ場合、右欄に記載

本邦に多い寛骨臼形成不全に対して、寛骨臼を移動させ、関節を安定化かつ荷重面の拡大により応力を分散させ関節温存を図る術式である。将来
的な関節症変化進行を予防し、人工関節置換術を回避することで医療コストの削減と、長期にわたる患者QOLの維持に貢献する。特に若年者の寛
骨臼形成不全症例では必須の術式である。近年、様々な術式の工夫により低侵襲性と安全性を高めた術式が提唱され、技術伝承の教育も行われて
いる。

寛骨臼移動術は寛骨臼不全症例において人工股関節置換術を回避し得る関節温存手術であり、感染および脱臼リスク、再置換術を含めたコスト面
などから人工関節置換術に対する優位性を認める。長期的な視点からも人工股関節を回避することは関節を温存するメリットに加え、医療経済的
観点からも有利である。K082 1 人工関節置換術(37,690点)と比較してもその技術的難易度は高く、手術所要時間も要するが、保険点数の差と
しては2,350点に留まる。一方で、高額な人工関節インプラント(約80万円)が不要であり、長期的なQOL維持が実現でき健康寿命の増進に繋がれ
ば、超高齢化が進む我が国における意義は大きい。
※近年、様々な手術手技、コンピューターナビゲーションを併用した手技による安全性の確保、学会主導でご遺体を用いた股関節骨切り術セミ
ナーなどが開始され、レジストレーションデータから将来的な技術認定制度を視野に入れ患者さんに安全な医療の提供が可能になる。手術として
の重要性、難易度、コスト面、成熟度など複数の観点より点数の再評価が必要であり増点を要望したい。

【評価項目】

①再評価すべき具体的な内容
(根拠や有効性等について記載)

②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項

外保連試案データ--------------------------外保連試案費用(人件費+償還できない材料等):729,310円
外保連試案2022掲載ページ:86-87
外保連試案ID(連番):S93-0076100
技術度:D 医師(術者含む):4 看護師:2 その他:0 所要時間(分):210
-----------------------------------------------------------------変形性股関節症診療ガイドライン(2016)では、関節温存術は青壮年期の寛骨臼形成不全に伴う前股関節症・初期変形性股関節症の症状緩和およ
び病期進行の予防に効果があり、まず考慮すべき手術療法であるとされる(合意率97%)。寛骨臼形成不全症に対する矯正手術としては寛骨臼移動
術が最も普及しており、術後10-20年における股関節機能スコア(JOA hipスコア)は平均90点以上が維持され、病期進行をエンドポイントとした関
節生存率は71-92%、その後に人工股関節置換術(THA)への移行をエンドポイントとした生存率は89-100%と安定した長期成績が示されている(文献
1)。THAを回避し関節を温存することの最大のメリットはスポーツ活動など高い活動性を伴うQOLを生涯にわたって維持できる可能性を有する点
である(文献2)。例えばジョギングなどハイインパクトスポーツを含む各種スポーツアクティビティへの高い参加率(72%)が報告されており
(文献3)、健康寿命の増進という観点においても我が国の超高齢化社会においては重要な意義を有する。医療経済面ではTHAと比較した場合、1
例あたり約80万円程度の人工関節インプラントが不要である点、若年者において将来的なTHA再置換術が不要になる点などで寛骨臼移動術は優れ
ており、その医療経済的効果については文献的にも示されている(文献4)。人工関節の耐久年数は20年程度であり、20-30歳代で初回手術が行わ
れた場合、高確率で将来的に少なくとも1回の再置換術を要することとなる。一方近年、寛骨臼移動術はその骨切り部位や進入路、各種デバイス
の工夫などにより、より低侵襲で安全性を高めた術式の工夫が行われており(文献5)、関節温存手術としての安定した術後成績のエビデンスの
構築がなされている。技術難易度、本邦における術式の重要性、近年の術式成熟度の高まり、人工関節と比較したコスト面での優位性など考慮
し、より高い評価が妥当であると考える。

対象は寛骨臼形成不全症例とする。寛骨臼全体を移動させ関節軟骨で骨頭の被覆度を高め、関節を安定化かつ荷重面の拡大により応力を分散させ
関節温存を図る術式である。寛骨臼回転骨切り術、寛骨臼球状骨切り術、ホフ骨切り術、ガンツ骨切り術、スティールのトリプル骨切り術、サル
ター骨切り術等を行った場合に算定する。移動骨片を固定、安定化するための医療材料にはキルシュナー鋼線、生体吸収スクリュー、人工骨など
があり技術料とは別に算定できることになっている。


診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)

141-2

医療技術名

寛骨臼移動術

1737