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提案書09(1601頁~1801頁)医療技術評価・再評価提案書 (168 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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【評価項目】
(ここから)外保連試案データ--------------------------外保連試案費用(人件費+償還できない材料等):892,289円
外保連試案2022掲載ページ:182-183
外保連試案ID(連番):S91-0192100
技術度:D 医師(術者含む):4 看護師:2 その他:0 所要時間(分):180分
------------------------------------------------------------------(ここまで)
以下の点を挙げて、本術式手術点数の増点再評価をお願いしたい。
①【日本の優れた脳死肺移植成績】
肺移植を受ける患者は、移植を受けなければ平均予後が2年生存率で50%以下と見込まれた呼吸不全患者である。この患者群を救命し高いQOLを
付与して社会復帰させるのが本治療である。日本の肺移植成績は、長期成績において諸外国に比較して大変優れていることは明らか(参考文献
1・2)であり、国民に対する与益は極めて大きなものである。
①再評価すべき具体的な内容
(根拠や有効性等について記載)

②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項

②【症例数の増加による施設負担】
死体肺移植の現状を知るため、2022年度に本術式に必要な外科医人員数と手術時間・拘束時間に関する実態を再調査した。その結果、1)必要
人員数(胸部外科医)=両肺移植の場合3.8名、片肺移植の場合3.2名、2)摘出班の延べ拘束時間(病院出発→帰着)=18.2時間、3)ドナー病院
滞在時間(手術時間・打ち合わせ時間・待機時間)=5.1時間、4)実執刀時間=2時間04分、であることがわかった。
本術式の経費は外保連試案(S91-0192100)において「人件費+償還できない費用 892,289円」と計算されているが、これは摘出班医師の総計
拘束時間は勘案されず、実執刀時間のみを元に計算されており、実際の実施者負担とはそもそも乖離したものである。更に、現実の保険点数は
K514-3移植用肺採取術(死体)(両側)=63,200点であり、外保連試案よりもさらに低価格に抑えられている。
従来のように、年間実施件数が全国で年間5-10件程度の試行的実施の範囲の実施数であれば実施施設においてその負担吸収は可能であった。
しかし、現在High Volume施設では年間20例以上の実施頻度となっている。今後長期的に本手術を提供してゆくには、本術式点数の大幅な増額を
頂き、これを以て人員増などに取り組む必要がある。これは、すべての実施施設から要望されている切実な希望である。

・対象患者:本術式は、K514-4 同種死体肺移植術を受ける患者に対し、移植用肺グラフトを採取する手術である。
・技術内容:移植用臓器(肺)を摘出する手術
・点数や算定の留意点:本摘出手術の要員(片肺摘出の場合2名、両肺摘出の場合4名)はK514-4同種死体肺移植術を実施する施設より派遣され
る。これらの人員は長時間の移動・待機時間を求められる手術であることを留意いただきたい(移動・待機を含む総拘束時間の平均=18時間、ド
ナー病院での作業時間(手術時間を含む)=5.2時間、実手術=2.1時間[2022年の新規実態調査に基づく(n=26)])


診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)

K514-3

医療技術名

肺移植用肺採取術(死体)(両側)
日本の肺移植は2018年末までに死体肺移植が447件、生体肺葉移植が221件実施されている。その長期生存率は 、国際レジストリで報告されてい
る脳死肺移植後の5年生存率が55%であるのに対し、日本の脳死肺移植は72%、生体肺移植は74%であり、いずれも極めて好成績である。肺移植を
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 受ける患者は、移植を受けなければ平均予後が2年生存率で50%以下と見込まれた呼吸不全患者であり、この患者群を救命して高いQOLを付与して
後等のアウトカム
社会復帰させるのが本治療であるが、前記のような好成績を以て実施されている日本の肺移植医療が国民に対する与益は極めて大きなものであ
る。

③再評価の根
拠・有効性

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

本術式の保険適応が決定された平成18年ころは脳死臓器提供数が極めて少なかったため、全国で年間の実施数は4-5件にとどまっていた。その
後、2009年の臓器移植法改正から臓器提供数は年次増加傾向が明確になり、昨年2022年はコロナ蔓延下であったのも関わらず年90件に増加した。
最近の年次増加傾向を見ても、以後当面は肺移植の全国実施数は増加傾向が維持されるものと考える。

見直し前の症例数(人)

4-5件/年 (1997-2005) *その後、臓器提供キャンペーン等の効果により脳死臓器提供は年次増加を続けた。特に、2009年の臓器移植法改正
後はその増加傾向が顕著となった。

見直し後の症例数(人)

94件

見直し前の回数(回)

4-5件/年 (1997-2005) *その後、臓器提供キャンペーン等の効果により脳死臓器提供は年次増加を続けた。特に、2009年の臓器移植法改正
後はその増加傾向が顕著となった。

見直し後の回数(回)

94件

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
移植学会肺移植実施ガイドライン(http://www.asas.or.jp/jst/pro/pro6.html)
る。)

(2022)

(2022)

・学会等における位置づけ
施設基準を満たし、関連学会による協議会が認証した指定施設のみで行われる手術。
・難易度
外保連試案術式技術度D

施設の要件
心肺移植関連学会協議会が認定した国内10施設
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 (東北大、獨協大、千葉大、東京大、京都大、藤田保健衛生大学、大阪大、岡山大、福岡大、長崎大)
制等)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 実施施設認定時の施設基準で明記されている。
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 移植学会肺移植実施ガイドライン(http://www.asas.or.jp/jst/pro/pro6.html)
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

日本肺および心肺移植研究会レジストリーレポートで年次公開されており、死体肺移植の手術危険性、安全性、治療としての有効性に関しては異
論は無い。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

我が国の肺移植成績は国際成績と比較して良好な成績を輩出しており、倫理的問題はない。

⑧点数等見直し
の場合

見直し前
見直し後
その根拠

63,200点
89,229点

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