提案書09(1601頁~1801頁)医療技術評価・再評価提案書 (100 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
317101
手術部位感染予防対策加算
一般社団法人
日本外科学会
18消化器外科
13外科
関連する診療科(2つまで)
リストから選択
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
「実績あり」の
提案当時の医療技術名
場合、右欄も記
載する
無
リストから選択
追加のエビデンスの有無
有無をリストから選択
提案される医療技術の概要
(200字以内)
手術部位感染(Surgical Site Infection:以下SSI)予防にとって有用であることがエビデンスとして示されている対策を
複数組み合わせたSSI対策(SSIケアバンドル)を実施することにより、術後SSI発生率の低減を目指す。本提案は手術習熟
度や施設間格差に左右されづらく、特にSSI対策の介入による効果が高いとされる創部SSI予防に焦点を絞ったものである。
文字数: 185
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)
食道がん、結腸がん、肝胆膵腫瘍、腹膜炎、周囲膿瘍を伴う虫垂炎等の手術に伴う創部手術部位感染
厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業(以下JANIS)によると、本邦では手術全体でSSIが4.6%発生していると報告
されている。特に創汚染リスクの高い食道、肝胆膵、大腸手術では創部SSI発生率は(表層切開/深部切開創SSI)は6.4%で
ある。一方、消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン2018(参考文献1)が推奨する予防対策には手技料包括医
療材料があり、推奨技術導入が医療機関の負担となっている。患者の身体的・経済的負担、医療従事者の術後患者ケアの負
担軽減、医療費の効率化を促進する観点から、有効性が確立しているSSI予防対策技術の技術料としての診療報酬評価が有
用と考えるため。
文字数: 298
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等
■疾患:消化器外科手術において特にSSIリスクが高い下部消化管、食道、肝胆膵領域、膿瘍を伴う虫垂切除および汎発性
腹膜炎手術
■対象:上記領域のうち、開腹または内視鏡外科手術を受ける患者
②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)
「消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン2018」(参考文献1)で有用性が示されている対策を一塊にしたSSIケ
アバンドルを実施すること。ケアバンドルの内訳は本ガイドラインで参照された研究で有用性が示されている次の技術/製
品を対象とする。
1.術中保温:ディスポの加温ブランケット等を使用した術中の正常体温維持(中枢温 36℃を目標)
2.ダブルリング式創縁保護器具を用いた創縁保護
3.抗菌吸収糸を用いた創部閉鎖(筋膜、皮下/真皮 組織)
区分
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)
その他(右欄に記載する。)
以下の既存治療に記載
以下の既存治療に記載
既存の治療法・検査法等の内容
創部SSIの治療は一般的には創部開放、創部洗浄、ドレナージ、デブリードマンののちにドレッシング材交換等の創傷処置
(J000)を感染治癒まで継続する。創の状態によっては再縫合、全身状態によっては抗菌薬投与(G004点滴注射)を行うこ
ともある。またKusachiらの報告(参考文献2)では、腹部手術における125例の表層切開創SSI、13例の深部切開創の平均在
院日数はそれぞれ21.1日、30.1日であり、創部SSI発症例全体の平均在院日数は22.0日であった。非SSIの平均在院日数が
15.4日であるため、創部SSI治療のために6.6日の入院日数延長を要すると試算できる。同様にSSI発症例における医療費は
63万円(表層切開創SSI)と95万円(深部切開創SSI)であり、創部SSI発症例全体の平均入院医療費は66万円であった。非
SSIの平均入院医療費が43万円であるため、創部SSI治療に要する追加入院医療費は23万円であると試算できる。
④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム
研究結果
特になし
G, J
番号
医療技術名
SSIは最も予防可能な医療関連感染症であるが、いったん発生するとその治療のために患者には身体的、経済的負担が発生
し、医療従事者にはSSI発症患者の身体的・精神的ケアの負担が発生する。本提案の創部SSIが発症した場合には本邦で6.6
日の入院日数の増加と23万円の医療費の増加が報告されている(参考文献2)。エビデンスにより有用性が示されているSSI
予防対策をケアバンドルとして取り入れることにより、効果的・効率的なSSI対策を行うことが可能になり、SSI発生率の低
減、医療費の抑制に寄与することが期待できる。具体的には創部SSIが6.4%から3.2%に半減できる効果が予想され、多く
の患者で苦痛が軽減される。
エビデンスに基づく予防対策を組み合わせによる介入、いわゆるケアバンドルがSSI発生率を減少し、患者のアウトカムを
改善することはメタアナリシスでも示されている(参考文献3)。
大腸予定手術におけるケアバンドル導入前の298例と導入後の184例の比較研究では(①腹壁筋膜/皮下縫合に前期では非ト
リクロサンコーティング縫合糸、後期ではトリクロサンコーティング縫合糸を使用、②術前皮膚消毒に前期では0.5%のク
ロルヘキシジン、後期では2%クロルヘキシジンによる皮膚消毒、③腹腔鏡手術における気腹CO2を前期は非加温、後期は加
温の介入ケアバンドル)、SSI発生率がケアバンドル前は27.4% (N = 208)に対しバンドル後は 12.5% (N = 184)
(adjusted odds ratio 0.38; confidence interval 0.21–0.67; P<0.001)と有意にSSIが減少したことが示された(参考文
献4)。また、大腸手術における別のケアバンドル(2%クロルヘキシジンアルコールによる皮膚消毒、ダブルリング創縁保
護具、術後4時間後の抗菌薬再投与、トリクロサンコーティング縫合糸による腹壁縫合)によるSSI予防対策の研究ではSSI
発生率が20%から10%(P ≤ 0.0001)に有意に減少し、開腹手術(10.7% vs 3.7%; P = 0.0004)、腹腔鏡手術(8.9% vs 6.3%; P
= 0.0003)のいずれも有意な減少であったことが報告されている。(参考文献5)。
本提案に含まれる消化器外科領域における各SSI対策については、「消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン
2018」の中でそれぞれランダム化比較試験のメタアナリシスとして以下のような結果が示されている。
1.術中保温:対象RCT 2報のメタ解析 RR 0.37(95%CI 0.20-0.66)と有意にSSIリスクを抑制。
2.創縁保護:対象RCT 8報のメタ解析 RR 0.60 (95%CI 0.38-0.93)と有意にSSIリスクを抑制。しかしながら、このメタ
アナリシスではシングルリング創縁保護器具を使用した群では対象群と比較して有意な差は認めず。
3.抗菌縫合糸:対象 RCT10報のメタ解析 RR 0.68 (95%CI 0.48-0.95)と有意にSSIリスクを抑制
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