提案書09(1601頁~1801頁)医療技術評価・再評価提案書 (75 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
整理番号
316201
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
自家脂肪注入の適応拡大
日本形成外科学会
33形成外科
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
16乳腺外科
関連する診療科(2つまで)
13外科
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した
医療技術の提案実績の有無
「実績あり」の
場合、右欄も記
載する
有
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
提案当時の医療技術名
令和4年度
自家脂肪注入
有
追加のエビデンスの有無
診療報酬区分
診療報酬番号
再評価区分(複数選択可)
K
019-2
1-A
算定要件の見直し(適応)
1-B
算定要件の見直し(施設基準)
1-C
算定要件の見直し(回数制限)
2-A
点数の見直し(増点)
該当する場合、リストから○を選択
2-B
点数の見直し(減点)
該当する場合、リストから○を選択
文字数: 139
○
3
項目設定の見直し
該当する場合、リストから○を選択
4
保険収載の廃止
該当する場合、リストから○を選択
5
新規特定保険医療材料等に係る点数
該当する場合、リストから○を選択
6
その他(1~5のいずれも該当しない)
該当する場合、リストから○を選択
「6
提案される医療技術の概要(200字以内)
○
該当する場合、リストから○を選択
その他」を選んだ場合、右欄に記載
自家脂肪注入は鼻咽頭閉鎖不全の機能改善を目的としてにR4年改定で適応されたが、同様に形態のみならず機能的・質的な改善を期待することが
できる乳房再建や顔面半側萎縮症等の頭頚部・顎顔面再建への適応拡大を要望する。これらの目的には1-3回の施行が必要であり、適用回数の増
加を要望する。
1.臨床エビデンスの集積によるガイドラインの更新、脂肪移植術の治療手順の発行
これまで集積された臨床エビデンスにより2022年に日本乳癌学会 乳がん診療ガイドラインで脂肪注入は推奨となった、また日本乳房オンコプラ
スティックサージャリー学会で「乳房への脂肪移植術の治療手順」が発行され、脂肪細胞定着率の向上に向けて実施手技の標準化が図られた。乳
房領域では1-3回程度の施行により、日本乳癌学会の乳癌診療ガイドライン2022年版では「FRQ6 乳房再建法としての脂肪注入は勧められる
か?」に対し、「 乳房再建法としての脂肪注入は細心の注意のもと行ってもよい。ただし,適切な手技の習得と,長期間の術後フォローアップ
が必要である。」と新規に記載された。日本形成外科学会や日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会では、実施に際する指針、手順書や
資格講習をすでに整備して公開するなど十分な準備がなされている。
再評価が必要な理由
2.脂肪注入による機能改善実証の進展
脂肪注入による形態的な改善のほか、上肢の運動※や疼痛※の改善、放射線照射後の皮膚の質の改善※が報告されている。本邦からも乳房への適
応により、満足感のほか精神的な健康度や自覚的な運動機能の改善を示す前向き研究が報告※されている。顔面半側委縮症や脂肪委縮等の顔面へ
の適応でも、従来法の皮弁術に比しての安全性が示されている※。
現在、K019-2自家脂肪注入は、鼻咽頭閉鎖不全の鼻漏改善を目的として行った場合に、原則として1患者の同一部位の同一疾患に対して1回のみ算
定できるとなっているが自家脂肪注入による有効性のエビデンスが集積されつつあることを鑑み、適応拡大、実施回数の増加につき再評価をお願
いする(※は追加エビデンス)。
【評価項目】
(ここから)外保連試案データ--------------------------外保連試案費用(人件費+償還できない材料等):279,631-473,920円
外保連試案2022掲載ページ:56-57
外保連試案ID(連番):S91-0011550, 0011560, 0011570
技術度:D 医師(術者含む):2 看護師:2 その他:0 所要時間(分):90-150分
------------------------------------------------------------------(ここまで)
自己脂肪注入術(Autologous Fat Grafting:AFG)は軟部組織の欠損や変形に対して、これを整容的あるいは機能的・質的に回復させるための比較
的簡単な外科的技法のひとつである.現在、自家脂肪注入術は全世界的に広く行われる標準的な手技であり、米国はじめ多くの国で公的保険適応
の術式である。この技術は安全かつ有効性も高いことが近年のエビデンス・レベルの高い多くの研究や症例報告において示されている。
①再評価すべき具体的な内容
(根拠や有効性等について記載)
乳癌術後の再建を目的とした有効性、安全性についてはKrastevらによる89文献、5,359名を含むメタアナリシス(資料2)や、Groenらによる43文
献、6,260名を含むシステマティックレビューにより、患者・術者ともに90%を超える高い満足度、5-7割の容量保持率、運動機能改善を含む患者
報告アウトカムの改善、腫瘍学的安全性、従来法と同等に低い合併症の発生率が示された。
これらのエビデンスをもとに、日本乳癌学会の乳癌診療ガイドライン2022年版では「FRQ6 乳房再建法としての脂肪注入は勧められるか?」に対
し、「 乳房再建法としての脂肪注入は細心の注意のもと行ってもよい。ただし,適切な手技の習得と,長期間の術後フォローアップが必要であ
る。」と新規に記載された(資料1)。
これらのエビデンスのほか、乳房再建領域では、放射線照射後の皮膚・組織の質の改善(資料3)や、疼痛の改善に関して、ランダム化比較試験
によって示されている。
国内では2022年にSowaらは乳房再建における脂肪移植術併用の有用性について国内で最初の前向き観察臨床研究(UMIN000033101)を行った。患者
報告アウトカム(PRO)評価を行い、通常の乳房インプラント単独の乳房再建に比較して脂肪移植術を加えることで患者の満足度・QOLが有意に向
上することを報告した(資料4)。
顔面半側萎縮症へのAFGについては、従来法である有形皮弁や遊離皮弁との比較を目的としたSinclairらによる38文献を含むメタアナリシスがあ
る(資料5)。これによると軽度から中等度の軟部組織の変形は、数回のAFGで修正することができる。AFGによる再建は遊離皮弁に比して有意に
合併症率が低く安全であった。
以上のエビデンスは、AFGの有効性を十分に証明している。日本形成外科学会や日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会では、実施に際
する指針、手順書や資格講習をすでに整備して公開するなど十分な準備がなされており、適応拡大につき再評価をお願いする。
1675