提案書09(1601頁~1801頁)医療技術評価・再評価提案書 (30 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
315104
ロボット支援下弁置換術(2弁)
日本胸部外科学会
15心臓血管外科
03循環器内科
関連する診療科(2つまで)
リストから選択
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無
有
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
「実績あり」の
場合、右欄も記 提案当時の医療技術名
載する
平成30年度
胸腔鏡下弁置換術、ロボット支援下弁形成術
追加のエビデンスの有無
無
提案される医療技術の概要
(200字以内)
ロボット支援下弁置換術(2弁)は、現在、保険収載されているロボット支援下弁形成術(K554-2 2)と同じシステムを用
いて人工弁置換術を行う方法であり、3Dカメラでの良好な視野のもと、精緻に運動できるロボットアームを複数駆使して実
施する。胸腔鏡下弁置換術(K555-3 2)に比べて視野が良く、精密に動くロボットアームにより弁輪への適切な運針が可能
であり、低侵襲手術の安全性を向上させることができる。
文字数: 200
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)
文字数: 275
弁閉鎖不全症・弁狭窄症
現在、ロボット支援下心臓弁手術(2弁)は「胸腔鏡下弁形成術(K554-2 2)」に限定され、人工弁置換術は適応ではな
い。一方で、技術的側面からは、既存の「胸腔鏡下弁置換術(K555-3 2: 2弁のもの)」に比べて、本術式の方が視野確保
やロボットアームの操作性に優れ、確実な手術操作が遂行できることから手術の確実性が向上する。さらに、ロボット支援
下弁形成術(2弁)が完遂できない場合にはそのまま弁置換術への移行が保険上認められていない。したがって弁逆流が制御
できずに終了せざるを得ない症例が散見され患者への不利益が生じることからも本術式が必須である。
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等
疾患:僧帽弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症、三尖弁閉鎖不全症、三尖弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、肺動
脈弁狭窄症、肺動脈弁閉鎖不全症が対象である。
②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)
全身麻酔下に右肋間小開胸を行い心臓へ到達。人工心肺、心停止下に心臓を切開して対象となる弁を露出。ロボットシステ
ムを術野に装着し、コンソール術者により弁手術を実施する。二つの自己弁を切除し、それぞれ弁輪に10-15針の固定用縫
合糸を全周にわたりかけて人工弁を固定する。手術手順は通常の胸腔鏡下弁置換術(K555-3 2)と同様であるが、3Dカメラ
の性能が良く、ロボットアームが精密かつ素早く動くため、手術操作が安定し正確な手術進行が可能である。創部が小さ
く、早期離床、リハビリテーションが可能であり術後10日前後で退院となる。
区分
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)
K
番号
医療技術名
554、554-2、555、555-2、555-3、559-3
弁形成術、胸腔鏡下弁形成術、弁置換術、経カテーテル弁置換術、胸腔鏡下弁置換術、経皮的僧帽弁クリップ術
既存の治療法・検査法等の内容
既存の胸部正中切開での弁形成術(K554)・弁置換術(K555)では、胸骨縦切開による心臓手術であり切開長さが25cm程度と長
く、胸骨断面からの出血も伴う。人工心肺装着はこの術野から行い、心停止下に心臓を切開して手術を行う。露出範囲が広
く出血のリスクがあり、胸骨切開部はワイヤーでの強固な固定を要する。術後リハビリテーション時に創部痛が強く、ADL
の回復に時間を要する。
一方、胸腔鏡下弁形成術(K554-2)、胸腔鏡下弁置換術(K555-3)は、右肋間小切開からの低侵襲手術ではあるが、ポートから
細い長尺の鉗子などの手術器具を用いて体外から手術操作を行うため、細かい手術操作(切開や運針など)に熟練を要し、
手術時間も長くなる。
また、経カテーテル的弁置換術や経皮的僧帽弁クリップ術は上記手術よりもさらに低侵襲的ではあるが、病変の摘出などは
できず人工弁などの固定が不安定になる可能性がある。
④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム
研究結果
⑤ ④の根拠と
なる研究結果等
ロボット支援下僧帽弁形成術が小開胸手術よりも入院日数が短縮できたとの報告(参考文献1)や、術後の心房細動や胸水
貯留が少なかったとの報告(参考文献2)や、僧帽弁の複雑病変への弁形成が多く重症症例への有用性が示されている(参
考文献3)。国内、海外でのガイドラインではロボット支援弁手術の適応拡大などを推奨するコメントはない。
3
ガイドライン等での位置づけ
⑥普及性
小開胸による胸腔鏡下弁膜症手術と比較したロボット手術の長所としては、1)より小さい創で美容的に優れ、術後の回復
が早い、2)高解像度の3Dカメラで良好な視野を得ることができるため複雑で細かい手技が可能、3)術者の手ブレによる
手技への影響がない、ことなどが挙げられる。
また現在、ロボット支援弁形成術のみが保険収載されているが、現行では弁形成術は術中に逆流が制御不能となっていた場
合にそのまま弁置換への移行が認められていない。弁置換になった場合にはロボット支援手術としての保険償還が得られな
い現状では、複雑で難易度の高い病変を有する患者はロボット手術の恩恵を受けられない、という不都合が生じている。
年間対象患者数(人)
国内年間実施回数(回)
ガイドライン等での記載なし(右欄にガイドライン等の
改訂の見込み等を記載する。)
30名
30回
※患者数及び実施回数の推定根拠等
2022年実績(ロボット支援下僧帽弁置換術):米国 200例(人口約3.4億人)、トルコ 100例(人口約0.9億人)をもとに本
邦人口 1.3億人として算出。最新の胸部外科学会の年次報告(2018年)での1弁手術数に対する2弁手術数の割合(約30%)を
考慮した(文献5)。
⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)
国内において、ロボット支援心臓手術は、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本ロボット外科学会が連携したロ
ボット心臓手術関連学会協議会にて30施設が施設認定をうけており、専門性の高い手術として位置付けられている。ロボッ
ト心臓手術関連学会協議会HP(https://racsc.jp)を参照。
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