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提案書07(1200頁~1401頁)医療技術評価・再評価提案書 (114 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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同種ドナー由来の造血幹細胞をそのまま移植した場合と、細胞調製及び凍結保存を行いその後に解凍して移植した場合の移植成績については差が
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 ないことが報告されている(Kanda et al, Transplant Cell Ther. 2021;27(8):664)。一方、必要に応じて、同種移植の場合でも、凍結保存を行
うことは、ドナーの都合に合わせたタイミングで幹細胞採取が行えるという利点のほか、今般のコロナ禍のような状況においては、患者およびド
後等のアウトカム
ナーのコロナウイルス感染により採取および移植を急遽中止せざるを得なくなるというリスクを回避できる利点がある。
③再評価の根
拠・有効性
ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

再評価によって対象患者や実施回数が変化するものではない。

見直し前の症例数(人)

変化なし

見直し後の症例数(人)

変化なし

見直し前の回数(回)

変化なし

見直し後の回数(回)

変化なし

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す 院内における血液細胞処理のための指針(日本輸血・細胞治療学会、日本造血・免疫細胞
る。)
療法学会)により、細胞調製及び凍結保存に係る指針が提示されている。

造血幹細胞の細胞調製及び凍結保存は、従来より造血幹細胞採取、移植の実施施設により行われてきており、すでに確立したものである。
一方で、参考文献2として添付のとおり、採取した造血幹細胞を含む細胞浮遊液を環境管理された細胞調製室で遠心、濃縮または希釈後に凍害保
護液を加えて調製し、凍結保存するという作業は、確実性の要求される専門性の高い技術である。

施設の要件
造血幹細胞の細胞調製及び凍結保存については、輸血・細胞治療学会及び造血細胞移植学会(現 造血・免疫細胞療法学会)により発行された
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 「院内における血液細胞処理のための指針」の対象となっており、細胞処理を行う施設の環境につき記載されている。
制等)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 細胞処理に係る施設の人的配置については、上記指針に細胞処理責任者、品質管理責任者をおくことの必要性等が規定されている。
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 特になし
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

細胞の調製作業においては、微生物の混入や細胞の生細胞率低下などの不具合が起こる可能性があり、あらかじめ定められた手順に従って、浮遊
菌や温度の管理がされた環境における速やかな操作が必要であり、熟練した技術を要する。細胞の凍結においても、適切に行われないと生細胞率
低下などの不具合が起こる可能性がある。
これら、細胞調製及び凍結保存における不具合は、患者における移植成績に影響を与える可能性がある。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

上記のとおり、造血幹細胞の細胞調製及び凍結保存は、特に現在のコロナ禍においては患者に対して有益であると考えられる。しかしながら、
K921では細胞調製及び凍結保存を行わなくても行っても同じ点数であり、細胞調製及び凍結保存に対する評価が行われていないという問題があ
る。
一方、キメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法のためのK921-3 末梢血単核球採取では、採取のみを行う場合(14,480点)と採取、細胞調製
及び凍結保存を行う場合(19,410点)が規定されており、細胞調製及び凍結保存に関して4,930点の差という形で評価されており、齟齬が生じて
いる。

見直し前

1 骨髄採取
イ 同種移植の場合21,640点、
2 末梢血幹細胞採取
イ 同種移植の場合21,640点、

ロ 自家移植の場合17,440点
ロ 自家移植の場合17,440点

注 1 同種移植における造血幹細胞提供者又は自家移植を受ける者に係る造血幹細胞採取、組織適合性試験及び造血幹細胞測定の費用並びに造
血幹細胞提供前後における健康管理等に係る費用は、所定点数に含まれる。
2 造血幹細胞採取に当たって薬剤を使用した場合は、薬剤の費用として、第4節に掲げる所定点数を加算する。
⑧点数等見直し
の場合

1 骨髄採取
イ 同種移植の場合21,640点、
2 末梢血幹細胞採取
イ 同種移植の場合21,640点、

ロ 自家移植の場合17,440点

見直し後


1 同種移植における造血幹細胞提供者又は自家移植を受ける者に係る造血幹細胞採取、組織適合性試験及び造血幹細胞測定の費用並びに
造血幹細胞提供前後における健康管理等に係る費用は、所定点数に含まれる。
2 造血幹細胞採取に当たって薬剤を使用した場合は、薬剤の費用として、第4節に掲げる所定点数を加算する。
3 造血幹細胞採取に加え、細胞調製及び凍結保存を行う場合は、4,930点を加算する。その場合の算定条件として、院内に細胞治療認定管
理師が少なくとも1名以上存在すること。また、同種移植の場合は、調製・凍結保存が必要な理由を記載すること。

その根拠

造血幹細胞採取では、細胞調製及び凍結保存に関しては評価されていない。

区分
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

ロ 自家移植の場合17,440点

なし

区分をリストから選択

番号
技術名




具体的な内容


増(+)

プラスマイナス

⑩予想影響額

予想影響額(円)

147,930,000円

その根拠

日本造血細胞移植データセンターの2021年度年次報告書によると、2020年には自家移植2174件、血縁者間末梢血幹細胞移植は1083件行われてい
る。輸血・細胞治療学会 細胞治療合同委員会より2021年に学会報告されたアンケート調査の結果では、血縁ドナー由来の末梢血幹細胞は、68%
の施設において原則凍結しているとのことであった。非血縁(骨髄バンク)ドナー由来の造血幹細胞の凍結保存については、現状コロナ禍におけ
る特別対応と位置づけられているため、今後の実施数の予測は困難である。
以上より、年間約3000件の細胞調製及び凍結保存が行われていると推測する。以上より、影響額は、49,300円 × 3000人=147,930,000円と予想
される。

備考

特になし

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