提案書07(1200頁~1401頁)医療技術評価・再評価提案書 (66 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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291201
提案される医療技術名
間歇的導尿 (1日につき) の適応・回数制限の見直しと高機能カテーテル加算
整理番号
申請団体名
日本脊髄障害医学会
24泌尿器科
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
30整形外科
関連する診療科(2つまで)
36リハビリテーション科
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した
医療技術の提案実績の有無
有
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
「実績あり」の
場合、右欄も記
載する
提案当時の医療技術名
平成28年度
在宅自己導尿指導管理料の改正による「高機能カテーテル加算」要望
有
追加のエビデンスの有無
J
診療報酬区分
診療報酬番号
再評価区分(複数選択可)
65
1-A
算定要件の見直し(適応)
1-B
算定要件の見直し(施設基準)
該当する場合、リストから○を選択
1-C
算定要件の見直し(回数制限)
○
2-A
点数の見直し(増点)
○
2-B
点数の見直し(減点)
該当する場合、リストから○を選択
3
項目設定の見直し
○
4
保険収載の廃止
該当する場合、リストから○を選択
5
新規特定保険医療材料等に係る点数
該当する場合、リストから○を選択
6
その他(1~5のいずれも該当しない)
該当する場合、リストから○を選択
「6
提案される医療技術の概要(200字以内)
文字数: 196
再評価が必要な理由
○
その他」を選んだ場合、右欄に記載
神経因性膀胱などによる尿閉のために、ほぼ全ての排尿を清潔間欠導尿で行う場合、尿道留置カテーテル抜去後に医療者による1日4〜6回程度の
清潔間欠導尿が必要となる。在宅自己導尿指導管理料の算定対象に含まれる病態を有する入院患者においては、尿路感染症の発生頻度を可及的に
低減させるために、親水性カテーテルなどの高機能カテーテルを入院中から積極的に使用し、在宅自己導尿に円滑に移行することが求められる。
清潔間欠導尿は、定期的にカテーテルを膀胱内に挿入することで、膀胱内の高圧環境や膀胱の過伸展を来すことなく膀胱内の尿を安全・確実に排
出させ、尿の排出後ただちにカテーテルを抜去する方法である。清潔間欠導尿は、自排尿による尿路管理法では、腎障害や症候性尿路感染のリス
クが高い患者において、そのリスクを低減させ、尿失禁に対しても定期的に膀胱内の尿を排出することで改善させることが出来る。
以下の申請書の記載内容は、1日の導尿回数が多く、高機能カテーテルの良い適応と考えられる神経因性膀胱、特に脊髄障害による神経因性膀胱
患者を想定して記載した。脊髄障害以外の中枢・末梢神経障害による神経因性膀胱、前立腺肥大症や尿道弛緩不全 (機能的尿道狭窄) などによる
尿閉患者に関しても、実臨床上は本申請書の記載内容に準じた対応が行われている。なお、現在、J065 間歇的導尿 (1日につき) の算定対象は、
脊髄損傷急性期や骨盤内手術後の尿閉であるが、入院中の排尿自立支援加算 (旧排尿自立指導料) が導入されたことで、脳血管障害や機能的 (各
種疾患による全身状態低下に伴う尿道弛緩不全など)・器質的 (前立腺肥大症など) 尿道狭窄などの患者に対して、早期のカテーテル抜去後に清
潔間欠導尿が実施される機会が増加している。このため、今回の提案を機に、J065の算定対象は、在宅自己導尿指導管理料と整合性を取り、「残
尿を伴う排尿困難を有する者であって導尿を行うことが必要と医師が認めた者とする: ア. 諸種の原因による神経因性膀胱、イ. 下部尿路通過障
害(前立腺肥大症、前立腺癌、膀胱頸部硬化症、尿道狭窄等)、ウ. 腸管を利用した尿リザーバー造設術の術後」とすることも必要である。ただ
し、本提案の対象となり、かつ1ヶ月以上の算定を要する入院患者は、実質的には脊髄障害による神経因性膀胱患者が大部分 (約90%) を占め、そ
れ以外の疾患の患者はごく少数 (約10%程度) であると想定される。
清潔間欠導尿に用いられるカテーテルは、脊髄損傷における下部尿路機能障害の診療ガイドライン[2019年版] 上、再利用型、使い捨て型 (非
親水性、親水性)、間欠式バルーンカテーテルの4種類に分類されている。医療者は、それぞれのカテーテルの特徴を把握した上で、患者や家族の
選好も十分に考慮してカテーテルを選択することが求められている。しかし、入院中のカテーテル費用は別途保険請求することが出来ず、経営上
の観点から安価な非親水性カテーテルのみを採用・使用している施設が多い。その結果、尿路感染症の低減効果、夜間多尿や外出時に導尿が出来
ないために生じる膀胱過伸展を回避する効果のある高機能カテーテル (親水性カテーテルや間欠式バルーンカテーテル) の普及が大きく妨げられ
ている。以上の事から、入院中においては、入院病棟の種別を問わず、退院まで、J065および高機能カテーテルの医療材料費を請求できる制度に
することが必要である。
【評価項目】
①再評価すべき具体的な内容
(根拠や有効性等について記載)
脊髄障害患者に対する間歇的導尿 (以下、CIC) に用いられる導尿用カテーテルとしては、従来から用いられている再利用型カテーテル、使い捨
て型の非親水性カテーテルの他に、高機能カテーテルとして使い捨て型の親水性カテーテルや再利用型の間欠式バルーンカテーテルがある。高機
能カテーテルは、尿路感染症、血尿などの頻度の低下、費用対効果の改善、膀胱過伸展の防止、QOLの向上につながる可能性があるものの、その
コストが普及への妨げになっている。現在、外来診療においては、2020年度の診療報酬改定に伴い、指導部分の在宅自己導尿指導管理料 (1,400
点) と材料部分の特殊カテーテル加算を組み合わせて算定することで、高機能カテーテル使用のハードルがかなり改善された。なお、ここでの特
殊カテーテルに含まれるものは、再利用型カテーテル (400点)、親水性コーティングを有するディスポーザブルカテーテル (60本以上: 1,700
点、90本以上: 1,900点、120本以上: 2,100点)、それ以外のディスポーザブルカテーテル (1,000点, 親水性コーティングを有するもの60本未満
の場合を含む)、間歇バルーンカテーテル (1,000点) である。一方、入院においては、導尿処置に非親水性のネラトンカテーテルを使用すること
が想定されているため、高機能カテーテル使用のハードルは高いままである。
特に一生涯CICを継続せざるを得ないと判断された神経因性膀胱患者では、尿路感染症の反復がCICのアドヒアランスに影響を与えることが知られ
ている。このため、尿感感染症の頻度を減少させる親水性カテーテル、夜間や外出時の膀胱過伸展を防止することで尿路感染症を減少させうる間
欠式バルーンカテーテルを入院中から使用できる環境が必須である。患者のカテーテルの選択には、医療従事者からの説明が大きな影響を与える
とされているが、現行の制度では、入院中は原則的に非親水性カテーテルの使用が想定されている。このため、非親水性カテーテルよりも高価な
高機能カテーテルに関する入院中の情報提供やその使用は、当該施設の財政状況によって左右される。つまり、尿路感染症を低減しうる高機能カ
テーテルへの患者の公正なアクセスが妨げられている状態である。我々が最近報告した地域在住脊髄障害患者を対象とした調査結果では、CICに
使用されているカテーテルの内訳は、再利用型が55%、非親水性が36%、親水性が9%、間欠式バルーン併用が18%と高機能カテーテルの普及は十分
とは言えない結果であった (参考文献3)。
以上の事から、間歇的導尿 (一日につき) に関して、外来診療同様、ア.脊髄障害、イ. 二分脊椎、ウ. 他の中枢神経を原因とする神経因性膀
胱、エ. その他の疾患に対して、医療者が高機能カテーテルによるCICを必要と認めた場合には、高機能カテーテルを退院まで保険請求しうる制
度への改正を求める。
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