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提案書07(1200頁~1401頁)医療技術評価・再評価提案書 (189 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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③再評価の根
拠・有効性

診断機器の進歩により心臓CT検査は、冠動脈のみならず心筋潅流画像も取得できる精度の高い総合的な診断が可能となっている。心筋潅流画像
は、血行再建の適応を決定する際に有用である。心筋血流はMRIや核医学検査でも測定できるが、これらの検査は冠動脈自体の描出はCTに劣る。
またカテーテルによる冠動脈血流予備能測定検査は侵襲的である。近年では冠動脈CTデータを用いて冠血流予備比を推測するFFR-CTが保険収載さ
れたが、ステント症例や石灰化が目立つ症例は適用とならず、核医学検査と同程度の高額な検査であるなどの課題がある。特に高齢患者では石灰
化が増加することが知られており、FFR-CTの適用とならない患者の割合が多くなる(Jinnouchi et al. Atherosclerosis 2020;306:85-95)。
従って、CTで包括的に冠動脈の形態的狭窄度・心筋の機能的虚血の両方を評価できる方が患者にとっても負担が少ない。
2018年に改訂された日本循環器学会・日本医学放射線学会などによる「慢性冠動脈疾患診断ガイドライン(2018年改訂版)」(添付資料1)にて
心筋潅流CTが心筋虚血の診断アルゴリズムに記載され、安定冠動脈疾患を疑う患者の虚血評価においてクラスⅡa、エビデンスレベルBの評価を受
け、2020年に米国心臓CT学会より心筋潅流CTを含めた包括的心臓CTの撮影・解析に関するガイドラインが出版されている(添付資料2)。
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 心筋潅流CTの虚血診断能を評価した無作為比較試験を含む22編の論文によるメタ解析が2019年に発表された(添付資料3)。この解析では、冠動
脈CTと比較した心筋潅流CTの虚血評価における感度は94%と89%でほぼ変わることなく、特異度が48%から81%へと大きく改善した。冠動脈CTは
後等のアウトカム
陰性的中率が高いが偽陽性が多いという欠点があったが、心筋潅流画像を取得することでこの欠点を克服することが可能である。
心筋潅流CTに関する複数の多施設共同研究が発表されている。まず、三重大学を中心とした2管球CTを用いた国際多施設共同研究(AMIPLIFiED,
添付資料4)では冠動脈CTに心筋潅流CTを加えることで、虚血評価の受信者動作特性曲線が0.65 (95% CI: 0.57, 0.72)から0.74 (95% CI: 0.66,
0.81)と有意に上昇している(p = 0.011)。次に、日本、欧州、米国の9施設が参加した国際多施設共同研究(SPECIFIC, 添付資料5)では、冠動脈
CTに心筋潅流CTを加えることで、虚血を診断する特異度が72% (95% CI: 66, 78)から89% (95% CI: 85, 93)に上昇した結果、正診率が78% (95%
CI: 73, 83)から88% (95% CI: 84, 92)まで改善している。
これらの新たなエビデンスから、安定冠動脈疾患が疑われる患者において、心筋潅流CTを加えることで、冠動脈CT単独よりも虚血診断能が向上
し、核医学検査や診断カテーテル検査を省略でき、医療費の削減に資すると言える。このため、冠動脈の再潅流療法の適応を決める際には心筋潅
流CTを行うことが推奨される。

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

慢性冠動脈疾患診断ガイドライン(2018年改訂版)(添付資料1)では、心筋潅流CTは推奨
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す クラスⅡa、エビデンスレベルBの評価を受けている(P58、表34)。その結果、安定冠動脈
る。)
疾患を疑う患者の診断アルゴリズムが改訂され、心筋潅流CTが追加された(P103、図
24)。

再評価によって当該技術の対象患者数は変化しないが、心筋潅流CTに点数が算定されることにより、一部の冠動脈CTや心臓核医学検査、カテーテ
ルでの冠血流予備比検査が包括的心臓CTに切り替わると考えられる。

見直し前の症例数(人)

300,000

(NDBオープンデータより)

見直し後の症例数(人)

300,000

(NDBオープンデータより)

見直し前の回数(回)

300,000

(NDBオープンデータより)

見直し後の回数(回)

300,000

(NDBオープンデータより)

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

心筋潅流CT検査による潅流画像は、得られる豊富な情報量により高い診断能を示すことから先進的な画像診断法として位置づけられている。その
ためには撮影や画像処理についての十分な知識と経験が必要であり、又、被ばく管理を含めたCT撮影に対する十分な理解、および適切な撮影条件
を設定するための経験が必要である。

施設の要件
放射線科を標榜している病院
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 画像診断管理加算2あるいは3、及び64列以上のCT装置
制等)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 画像診断をもっぱら担当する常勤の医師(画像診断管理加算2あるいは3)
性や経験年数等)
その他
心臓CT撮影の適応は日本循環器学会や日本医学放射線学会などが発行した「慢性冠動脈疾患診断ガイドライン(2018年改訂版)」(添付資料1)
(遵守すべきガイドライン等その他の を遵守する必要がある。撮影法や解析法に関しては米国心臓CT学会が発行したガイドライン(添付資料2)に準拠することが求められる。
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

通常のCT検査と同様、CT造影剤副作用に対する既往歴の確認、負荷検査に関する十分な知識と経験、CTプロトコルの適切な管理が求められる。適
切なプロトコルで行われれば、被ばくによる重大な障害はほとんど生じない。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

倫理性に問題はない。

⑧点数等見直し
の場合

見直し前
見直し後
その根拠

600点
冠動脈CTのみ行った場合:600点、心筋潅流CTも行った場合:900点(外保連試案の費用とは異なる)
負荷心筋核医学検査における断層撮影負荷試験加算900点(E101 注3)と同様

区分
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)



番号
技術名

200 注4
冠動脈CT撮影加算

具体的な内容

加算対象施設は画像診断管理加算2あるいは3の施設で同様。冠動脈CTに対しては従来通り600点、心筋潅流CTまで行った場合は900点を加算する。
減(-)

プラスマイナス
予想影響額(円)

3,690,000,000
現在冠動脈CTを行っている件数は30万件である。冠動脈CT撮影加算を算定かつ、画像診断管理加算2あるいは3を満たす施設は約1,000施設ある
(地方厚生局施設基準届出状況報告書より)。これらすべての施設で平均して週1件施行、実働50週とすると、年間1,000施設×1件/週×50週=5
万件の心筋潅流CTが行われることが予想される。この際に増加する医療費は5万件×300点=1.5億円となる。

⑩予想影響額

その根拠

現在心筋SPECT検査は16万件、カテーテルでの冠血流予備比検査は6万件実施されている。心筋潅流CTが実施された場合はこられの検査を省略する
ことができるため、実施件数をもとに減少件数を割り出すと心筋SPECTは3.5万件、カテーテルでの冠血流予備比検査は1.5万件減少する。このた
め、減少する医療費は3.5万件×10,708点+1.5万件×600点=38.4億円となる。
最終的には1.5億円-38.4億円=-36.9億円となる。

備考

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