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提案書07(1200頁~1401頁)医療技術評価・再評価提案書 (130 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項

・D285「認知機能検査その他の心理検査」は、てんかん患者を含め、認知機能の障害が推定される患者が対象となっている。
・区分番号「D285」認知機能検査その他の心理検査の「1」:「操作が容易なもの」とは、検査及び結果処理に概ね40分以上を要するもの:80
点、区分番号「D285」認知機能検査その他の心理検査の「2」:「操作が複雑なもの」とは、検査及び結果処理に概ね1時間以上を要するもの
(ベントン視覚記銘検査、WCSTウイスコンシン・カード分類検査など):280点、区分番号「D285」認知機能検査その他の心理検査の
「3」:「操作と処理が極めて複雑なもの」とは、検査及び結果処理に1時間30分以上要するもの(標準失語症検査、WMS-Rなど):450点
・留意事項として、「同一日に複数の検査を行った場合であっても、各カテゴリーの中で、主たるもの1種類のみの所定点数 により算定す
る。」という通則がある。


診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)

285

医療技術名

認知機能検査その他の心理検査
左側頭葉切除術では、術後に重度の言語記憶障害が22-63%に、言語表出の障害が29-54%に見られる、右側頭葉切除では、重度の言語記憶障害が
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 10-34%に、視覚記憶の障害が6-32%に術後に出現している(参考文献1)。認知機能検査を十分に行い、手術年齢や切除範囲を設定することで、
後等のアウトカム
術後認知機能障害の出現を最小限にできる。

③再評価の根
拠・有効性
ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

全国てんかんセンター協議会(JEPICA)で毎年てんかん外科治療の統計をとっている。2021年分を見ると990名の外科治療が行われていて、厚労省
てんかん支援拠点病院に認定されている病院は約30病院あり、500例が厚労省てんかん支援拠点病院でのてんかん外科手術症例と推測される。
現在、静岡てんかん・神経医療センターでは、 「1 操作が容易なもの」として、3つの検査をルチーンに来なっているが、1検査のみ通常保険適
応として認められている。「2 操作が複雑なもの」として、5つの検査をルチーンに行っているが、3つのみ算定となっている。「3 操作と処理
が極めて複雑なもの」として、5つの検査を行っているが、1検査のみ認められることが多い。

見直し前の症例数(人)

てんかん外科手術症例数:990人(2021年JEPICA集計)

見直し後の症例数(人)

てんかん外科手術症例数:990人(不変):ただし、500人(てんかん支援拠点病院分)が緩和対象

見直し前の回数(回)

てんかん外科術前評価として1回/各症例(延べ990回/年)

見直し後の回数(回)

てんかん外科術前評価として1回/各症例(延べ500回/年が緩和の対象)

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

国際抗てんかん連盟(ILAE)は、てんかん外科術前認知機能検査について、行動や心理のみ
ならず、認知機能に対する標準化された検査が必要で、すべての認知機能分類を評価する
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す ように勧告している(参考文献4)。認知機能検査を以下のように位置づけている:①術後
の認知機能変化の基礎値として、②発作焦点の局在を検討するためのデータとして、③外
る。)
科治療による認知機能低下リスクの推測、④術前カウンセリングのためのデータとして重
要である。

・てんかん外科術前検査の中で、認知機能検査は極めて重要な検査とされ、幅広く認知機能を検討するように国際抗てんかん連盟(ILAE)からも
推奨されている(参考文献4)。成熟した検査で安全性・信頼性は高い。
・ヨーロッパのてんかん術前検討に関するWGによると、心理士の要件として、通常の神経認知機能検査に2年の研修が必要で、てんかんに特化し
た6か月の研修をてんかんセンターで必要とする(参考文献5)。習熟の難易度は高く、専門施設での実施が望ましい。

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 厚労省指定のてんかん支援拠点病院(現在29病院)およびその全国拠点機関(国立精神・神経医療研究センター病院)を施設要件とする。
制等)
厚労省指定のてんかん支援拠点病院の要件は、以下の3つからなる。
① 一般社団法人日本てんかん学会、一般社団法人日本神経学会、公益社団法人日本精神神経学会、一般社団法人日本小児神経学会、又は一般社
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 団法人日本脳神経外科学会が定める専門医が1名以上配置されていること
② 脳波検査やMRIが整備されているほか、発作時ビデオ脳波モニタリングによる診断が行えること
性や経験年数等)
③ てんかんの外科治療のほか、複数の診療科による集学的治療を行えること
その他
医師が自ら、又は医師の指示により臨床心理士が自施設において検査及び結果処理を行い、かつ、その結果に基づき医師が自ら結果を分析し た
(遵守すべきガイドライン等その他の 場合にのみ算定する。
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

該当なし

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

該当なし

⑧点数等見直し
の場合
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

見直し前
見直し後
その根拠

該当なし



区分

該当なし

区分をリストから選択

番号
技術名




具体的な内容


減(-)

プラスマイナス

⑩予想影響額

予想影響額(円)

3,000万円

その根拠

・D285「認知機能検査その他の心理検査」について、保険点数は「1 操作が容易なもの」:80点、「2 操作が複雑なもの」:280点、「3 操作
と処理が極めて複雑なもの」:450点となっていて、現在は1例当たりそれぞれ1項目、3項目、1項目が算定されているので、1例あたり
(80+280*3+450)=1,370点/人の医療費となっていて、年間1,370点/人*990人=1,356,300点(1356.3万円)の医療費となっている。
・てんかん支援拠点病院分の500人について3つのカテゴリーを各々3項目算定すると、(80+280+450)*3=2,430点/人となり、年間2,430*500=
1,215,000点(1,215万円)、支援拠点以外の490例は既存の点数とすると年間1,370点/人*490人=671,300点(671.3万円)となり、年間1,886.3万
円となる。現行と比較すると1886.3-1356.3=530万円/年の増加となる。
・減少すると予想される医療費:てんかん切除外科の一つである左側頭葉切除では、術後に重度の言語記憶障害が22-63%に、言語表出の障害が
29-54%に起こっている(参考文献1)。今回申請の再評価により、てんかん支援拠点病院の術前認知機能検査を充実させ、重度の言語記憶障害が
50%から30%の発生率へ軽減できたとすると、年間約100名が後遺症を回避できることになる。リハビリが節減でき、脳血管疾患等リハビリテー
ション料(I)(1単位) 245点*18単位/週*8週として35,280点/人となって、3,528万円/年の節減となる。さらにリハビリが継続する場合もあり、
5,000万/年以上の節減となると推測される。
・予想影響額は、3,528万-530万=約3,000万円/年の減となる。

備考

⑫その他に述べたように、社会福祉費用を含めると、約3,000+15,540=18,000万円/年の節減となる。

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

該当なし

⑫その他

てんかん切除外科の一つである左側頭葉切除では、術後に重度の言語記憶障害が22-63%に、言語表出の障害が29-54%に起こっている(参考文献
1)。今回申請の再評価により、てんかん診療拠点病院の術前認知機能検査を充実させ、重度の記憶障害が50%から30%の発生率へ軽減できたと
すると、年間約200名が後遺症を回避できることになる。障害年金2級(77.7万円/年)、リハビリ医療費などの軽減につながり、年金のみで約
15,540万円/年の節減となる。てんかん手術年齢が30歳として30年間の障害者年金が節減できるとして、46.6億円の節減となる。

⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

特になし

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