提案書07(1200頁~1401頁)医療技術評価・再評価提案書 (78 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項
現在の「C005-2 在宅患者訪問点滴注射管理指導料(1週につき) 100点」の診療報酬上の取扱いに関して以下に示す。
・対象とする患者
指定訪問看護事業者等から訪問看護を受けている患者であって、当該患者に対する診療を担う保険医療機関の保険医の診療に
基づき、週3日以上の点滴注射を行う必要を認めたもの
・医療技術の内容
訪問を行う看護師又は准看護師に対して、点滴注射に際し留意すべき事項等を記載した文書を交付して、必要な管理指導を
行った場合に、患者1人につき週1回に限り算定する。
・点数や算定の留意点
(1) 在宅患者訪問点滴注射管理指導料は、在宅での療養を行っている患者であって、通院困難な者について、当該患者の在宅での
療養を担う保険医の診療に基づき、週3日以上の点滴注射を行う必要を認め、看護師等に対して指示を行い、その内容を診療録
あるいは在宅患者訪問点滴注射指示書に有効期間及び指示内容を記載して指示を行った場合において、1週間(指示を行った日
から7日間)のうち3日以上看護師等が患家を訪問して点滴注射を実施した場合に3日目に算定する。
(2) 点滴注射指示に当たっては、その必要性、注意点等を点滴注射を実施する看護師等に十分な説明を行うこと。
(3) 点滴注射を実施する看護師等は、患者の病状の把握に努めるとともに、当該指示による点滴注射の終了日及び必要を認めた
場合には在宅での療養を担う保険医への連絡を速やかに行うこと。なお、その連絡は電話等でも差し支えないこと。
(4) 在宅での療養を担う保険医は、患者、患者の家族又は看護師等から容態の変化等についての連絡を受けた場合は、速やかに
対応すること。
(5) 在宅患者訪問点滴注射管理指導料には、必要な回路等の費用が含まれており、別に算定できない。
(6) 「C104 在宅中心静脈栄養法指導管理料」又は「C108 在宅悪性腫瘍等患者指導管理料」を算定した場合には、当該管理指導料は
算定できない。
(7) 在宅患者訪問点滴注射管理指導料に係る薬剤料は別に算定できる。
(8) 週3日以上実施できなかった場合においても、使用した分の薬剤料は算定できる。
C
診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)
005-2
医療技術名
在宅患者訪問点滴注射管理指導料
③再評価の根
拠・有効性
海外では計画に基づいたよる適切な管理の下、在宅投与の実績が既にあることから、その報告を以下に示す。
イタリアでは、ムコ多糖症患者の在宅酵素補充療法の安全性の確保のため、病院からの移行を管理するための厳密なプロトコールが設定されて
いる(Scarpa M, et al. Orphanet J Rare Dis . 2011 Nov 7;6:72.)。また、11地域の85人のファブリー病の患者(45人男性、40人女性)の在
宅酵素補充療法に関する報告(累積投与回数4,269回)では、QOL評価( EQ-5 VASスケール)で、在宅酵素補充療法への移行によって58%の患者の
QOLが改善し、一方、有害反応は4件(0.093%)しかなかった。Fabry@Homeと呼ばれる主治医と看護師からなる専門治療チームによって計画的な管
理を行われたことが示されている。(Mol Genet Metab Rep. 2017 Jun 22;12:85-91.)。
アメリカでは、酵素補充療法を受けた421名のムコ多糖症患者のうち、92名(21.9%)が在宅での酵素補充療法の治療を受けていた。少なくとも
12ヵ月在宅での治療を受けた59名中2名に5回の点滴関連反応(Infusion associated reaction;IAR)が起きたが、専門施設への定期的な通院な
どで対処が可能だった(Burton K, et al. Molecular Genetics and Metabolism 101 (2010)。 123-129)。
イギリスからは、ムコ多糖症II型治療薬、VI型治療薬による在宅治療の安全性が報告されている(Bagewadi S, et al. J Inherit Metab Dis
(2008) 31:733-737)。さらに、ゴーシェ病患者49名、ファブリー病患者34名の自宅もしくは病院での酵素補充療法に対する満足度が調査され、
ゴーシェ病患者25名と、ファブリー病患者25名にアンケートが実施された。病院での治療は18人の患者(40%)がストレスであると回答したのに
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 対し、在宅酵素補充療法をストレスであるとしたものは4人(9%)に過ぎなかった。ファブリー病患者のほぼ全員(19人、95%)とゴーシェ病患者
(21人の患者、84%)に、在宅酵素補充療法が行われたが、家庭での治療は、より快適でストレスが少なく、より効果的であり、家庭生活への影
後等のアウトカム
響が少ないことが報告され、4名(9%)のみが病院での投与継続を選んだ。( Milligan A, et al. Br J Nurs . 2006 Mar 23-Apr 12;15(6):3303.)。
オランダからファブリー病の在宅酵素補充療法の報告があり、ファブリー病の在宅投与は安全で、患者の満足度の改善が示されており、酵素補
充療法の用量に関係なく、13回の投与後に在宅投与に移行するアルゴリズムを提案している。(Smid B.E, et al. Molecular Genetics and
Metabolism 108 (2013) 132–137)。
アルゼンチンからは、ファブリー病の患者87人(男性51人;平均年齢 30歳、女性36人;平均年齢34歳)への在宅酵素補充療法の安全性と忍容
性の後方視的研究が報告されている。5人の患者(5.7%)に対して、 5件(総投与回数5,229回に対して0.9%)のIARが認められたがいずれも重症度
は軽度であり,輸液速度の減速や抗ヒスタミン剤の使用により消失した。結果、在宅投与は、安全で、忍容性が高く、高いコンプライアンスが得
られたことが示された。(Kisinovsky I, et al. Medicina (B Aires) . 2013;73(1):31-4.)。
以上の各国の報告から、我が国においても在宅酵素補充療法を推進することは喫緊の課題であると考えられる。在宅患者訪問点滴注射管理指導
料の「週3日以上」「3日目に算定」の要件を撤廃することで、在宅酵素補充療法においても本指導料を算定することが可能となり、訪問看護師に
よる在宅酵素補充療法が促進されると考えられる。
ガイドライン等での位置づけ
④普及性の変化
※下記のように推定した根拠
年間対象者数の
変化
年間実施回数の
変化等
現在、日本先天代謝異常学会にて、今回共同提案学会になっている日本在宅医療連合学
会、日本循環器学会とともにプロジェクトチームを発足し、在宅酵素補充療法の学会方針
ガイドライン等での記載なし(右欄にガイドライン等
を作成中である。専門医、かかりつけ医(在宅医)及び訪問看護師が連携を取りながら、
の改訂の見込み等を記載する。)
在宅酵素補充療法を行っていく環境を整備し、対象患者選定のための基準等も明示してい
く方針である。
2021年1月に施行した患者会のアンケート結果の事実を踏まえて、病院を始めとした診療機関以外(クリニックや、在宅など)での酵素補充療法
が希望が70%程度ある。また、どうアンケート調査では、約60%程度が単独通院が困難である。ただし、重症度の有無にかからわらず、永続的に酵
素補充療法が必要である。
見直し前の症例数(人)
0人
見直し後の症例数(人)
40~50人程度
見直し前の回数(回)
0回
見直し後の回数(回)
1,040回〜2,600回程度(週2回40人〜週1回50人の間と考えられる)
⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)
医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
疾患特性上、専門医によって診断され、患者は専門医療機関に通院し酵素補充療法が行われることがが中心である。海外においては
前述の通りである。学会としては、在宅酵素補充療法の普及を目指している。
・難易度(専門性等)
医療技術そのものは通常の点滴と同じで容易であるが、点滴関連反応(Infusion associated reaction;IAR)に関しては注意が
必要である。なお、日本国内においては、一部の重篤度が高い患者においては、既に通院が困難であることから、在宅訪問医に
よって在宅での酵素補充療法が行われることがあるが、いまだ少数である。
施設の要件
先天代謝異常学会の医師が所属する施設と連携が取れる施設であること。
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 点滴関連反応(Infusion associated reaction;IAR)などの処置中の合併症発生時に対応可能な体制が取れること
制等)
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)
先天代謝異常学会が定める指針に則り、ライソゾーム病の専門医療機関に所属する医師、またはそれら医師と連携して治療ができる医師のよって
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 指示が行われること。また、難病医療情報センター等に在籍してる医療コーディネーターを活用することで、ライソゾーム病の患者、ライソゾー
ム病の専門医、酵素補充療法を実際に行うかかりつけ医(在宅医)や訪問看護師をうまく調整することが必要である。
性や経験年数等)
その他
専門医によって、点滴関連反応(Infusion associated reaction;IAR)が抑えられているなど、在宅酵素補充療法可能と判断された患者に対し
(遵守すべきガイドライン等その他の て行うこと。専門医、かかりつけ医(在宅医)、訪問看護師の連携により、有効性及び安全性を担保することが必要である。
要件)
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