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提案書07(1200頁~1401頁)医療技術評価・再評価提案書 (173 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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医療技術評価提案書(保険未収載技術用)
整理番号

※事務処理用

提案される医療技術名
申請団体名

302103
脂肪肝定量MRI撮影加算
日本医学放射線学会

主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科

28放射線科
04消化器内科

関連する診療科(2つまで)
18消化器外科

提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無



過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年度)
「実績あり」の
提案当時の医療技術名
場合、右欄も記
載する

リストから選択
無し



追加のエビデンスの有無

提案される医療技術の概要
(200字以内)

組織内の水分子と脂肪分子のプロトンの共鳴周波数はその分子構造の特徴によって若干異なっている。この水分子と脂肪分
子の共鳴周波数の差を利用して脂肪比率を定量する手法がproton density fat fractionである。本技術は造影剤を必要と
せず、呼吸停止下での撮像が可能であり、簡便かつ非侵襲的に脂肪を定量することができる。

文字数: 165
対象疾患名

保険収載が必要な理由
(300字以内)

脂肪性肝疾患

従来、非アルコール性脂肪肝疾患を含む慢性肝疾患の診断は肝生検が最も信頼される検査とされている。しかし肝生検で得
られた検体は肝組織のごく一部であること、サンプリングエラーがあること、出血などの合併症があること、高コストであ
ることなどの欠点がある。CTによる診断ではX線の吸収値のみの一つのパラメータによる評価のために診断能には限界があ
り、本技術による定量化手法の方が診断能は高い。本技術は造影剤を必要としないため、非侵襲的に診断可能である。さら
に本技術による脂肪定量は日本消化器病学会・日本肝臓学会によるNAFLD/NASH診療ガイドライン2020年版にて推奨されてい
る。

文字数: 285
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等

非アルコール性脂肪肝疾患(非アルコール性脂肪肝炎を含む)

②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)

本技術は専用ソフトウェアを用いてMRIを撮像する手法であり、通常のMRI検査と同時に施行することができる。肝疾患の初
回検査時、肝炎や肝腫瘍の治療前評価時には本技術が施行されることが望ましい。また、慢性肝疾患のサーベイランスとし
て3、4ヶ月に一回から一年に一回程度の画像検査が行われるが、その際のMRI検査に付随して一年に一回程度本技術が施行
されることが望ましい。

区分
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)



番号
医療技術名

412、215-4
経皮的針生検法、超音波減衰法検査

既存の治療法・検査法等の内容

経皮的針生検法(肝生検)は、経皮的に生検針を穿刺し、肝組織を採取する方法である。病理学的に脂肪量を診断すること
ができる。ただし、穿刺という侵襲性のある医療行為に加えて出血リスクもある。さらに肝のごく一部のみの評価であり、
肝全体の脂肪量を評価できているわけではない。
一方、超音波減衰法検査は肝生検と比較して非侵襲的に簡便に脂肪量を測定することが可能であるが、この手法でもサンプ
リングエラーは少なからず存在する。さらに術者の技量に左右されやすい手法である。

④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム

研究結果

肝生検は侵襲性があり、肝組織の一部のみの評価である。本技術は非侵襲的であり、通常のMRIと同時に短時間で施行可能
である。さらに肝組織全体の脂肪量を測定することができる。NAFLD患者の脂肪定量については超音波検査よりも診断能が
優れている。長期予後のアウトカムとして、脂肪量そのものは肝線維化ほど長期予後への影響は少ないとされているが、非
アルコール性脂肪肝疾患を持つ患者は健常者に比べて動脈硬化疾患が多いことが知られている。
非アルコール性脂肪肝疾患を持つ患者は致死的な動脈硬化病変、非致死的な動脈硬化病変のいずれのリスクにもなることが
メタアナリシスの研究で報告されている(参考文献1)。本技術による脂肪定量は病理の脂肪定量と比較して正確であり、評
価者間の一致率も高く(参考文献2)、超音波による脂肪定量よりも診断能が高い(参考文献3)。近年では非アルコール性脂肪
肝炎を含む非アルコール性脂肪肝疾患を対象とした多くの臨床試験の効果判定に用いられている(参考文献4)。

⑤ ④の根拠と
なる研究結果等

1a
ガイドライン等での位置づけ

⑥普及性

年間対象患者数(人)
国内年間実施回数(回)

※患者数及び実施回数の推定根拠等

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)

NAFLD/NASH診療ガイドライン2020(第2版)では肝脂肪量の定量に
おいて本技術は有用と記載されており、推奨されている。(推奨
度:強、エビデンスレベル:A)(参考文献5)

36,000,000人
50,000回
現在本邦の脂肪性肝疾患の有病率は約30%と言われているため、潜在的な脂肪性肝疾患の有病者は最大で約3,600万人存在
する計算となる。このうち、本技術のソフトウェアを有するMRIの台数をMRエラストグラフィを有する台数とほぼ同数と仮
定すると全国に約60施設存在する。これらの施設における年間の肝臓MRIの検査件数は約50,000件程度であると予想され
る。

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