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提案書07(1200頁~1401頁)医療技術評価・再評価提案書 (83 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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医療技術評価提案書(保険未収載技術用)
整理番号

※事務処理用

提案される医療技術名
申請団体名

294101
特定薬剤治療管理料対象薬として「ブスルファン注射液」を追加
日本造血・免疫細胞療法学会

主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科

22小児科
07血液内科

関連する診療科(2つまで)
リストから選択

提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医

療技術の提案実績の有無
過去に提案した年度
令和4年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
「実績あり」の
特定薬剤治療管理料対象薬として「ブスルファン注射液」を追加
提案当時の医療技術名
場合、右欄も記
載する


追加のエビデンスの有無
提案される医療技術の概要
(200字以内)
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)
文字数: 234

血中ブスルファン濃度のモニタリング(Therapeutic Drug Monitoring:TDM)に基づく個別化投薬管理。
具体的にはブスルファン点滴投与患者における血中ブスルファン濃度を測定し、投与量を適切に個別管理する。
造血幹細胞移植の前治療としてブスルファン注射液が投与される疾患
ブスルファン注射液は造血幹細胞移植前治療の標準薬であり、体重当たりの用量にて投与されているが、有効域が狭くかつ
個体間での血中濃度のバラツキが大きい。2016年にAmerican Society for Blood and Marrow Transplantation (ASBMT)よ
り発表されたブスルファンの個別化投与のガイドラインではTDMに基づく投与が推奨されており、本邦におけるブスルファ
ンの個別化投薬管理の実践と普及に向けて、TDMの保険収載は必須と考える。

【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等

ブスルファン注射液が造血幹細胞移植前治療として投与される患者

②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)

ブスルファン注射液投与において、体重に基づき算出された投与量での初回投与時に最低3回の採血を行い血中ブスルファ
ン濃度を測定する。血中濃度値から台形法によりArea under the concentration-time curve(AUC)を算出し、目標AUC値
(1日4回6時間毎投与:900-1350 µM·min、1日1回投与:5260 µM·min)より低かった患者では増量にて、高かった患者で
は減量にて以降の投与を行う。もしくは初回投与時の2点採血による血中濃度値をもとに母集団解析ソフトを用いて次回投
与量を算出する。

区分
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)

その他(右欄に記載する。)

番号

なし

医療技術名

なし

既存の治療法・検査法等の内容

患者の体重に基づき算出された用量のブスルファンが4日間投与されている。承認用法・用量は、成人A法では1回0.8mg/kg
を6時間毎に1日4回、成人B法では1回3.2mg/kgを1日1回、小児では実体重に基づき設定された体重当たりの投与量(9kg未
満:1.0mg/kg、9kg以上16kg未満:1.2mg/kg、16kg以上23kg以下:1.1mg/kg、23kg以上34kg以下:0.95mg/kg、34kg以上:
0.8mg/kg)を6時間毎に1日4回投与である。なお、ブスルファンのTDMが保険対象ではない現在においても、小児では全症例
の2~3割程度の症例でブスルファンのTDMが実施されている(測定は自施設薬剤部あるいは東レリサーチセンター)。

④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム

研究結果

移植生着率の上昇、拒絶反応発現率の低下、再発率の低下などの移植の有効性が向上し、移植前治療に起因する移植後合併
症である類洞閉塞症候群の発現率が低下する。
造血幹細胞移植の前治療として投与されるブスルファンの血中濃度は個体間のバラつきが大きく、血中濃度の低い患者では
移植後再発率の高いことが報告されている(参考文献1)。またブスルファン投与時にTDMに基づく用量調節が行われた患
者では、TDMが実施されなかった患者に比べて移植生着率が有意に高かった(参考文献2)。
米国のブスルファン注射液(商品名:BUSULFEX)の添付文書にはPediatric Useの項目に「Therapeutic drug monitoring
and dose adjustment following the first dose of BUSULFEX is recommended」という記載があり、小児投与時のTDMが推
奨されている(添付文書1)。なお日本のブスルファン注射液(商品名:ブスルフェクス)の添付文書にはTDMに関する記
載はない。
2a

⑤ ④の根拠と
なる研究結果等

ガイドライン等での位置づけ

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)

1282

2016年にAmerican Society for Blood and Marrow
Transplantation (ASBMT)が発表したブスルファンの個別化投与
に関する実践ガイドラインにおいて、個別化投与により移植生着
率の上昇、拒絶反応発現率の低下、再発率の低下などの移植の有
効性が向上し、移植後合併症である類洞閉塞症候群の発現率が低
下することが解説されており、TDMの実施が推奨されている(参
考文献2)。
日本造血・免疫細胞療法学会による原発性免疫不全症(参考文献
3)および小児急性骨髄性白血病ガイドライン(参考文献4)で
は、ブスルファンを造血細胞移植前処置に用いる場合は、できる
限り前もってブスルファンの試験投与を行って血中濃度を測定
し、目標AUC値となるように用量設定することが推奨されてい
る。
2023年に日
本造血・免疫細胞療法学会雑誌においてブスルファン血中濃度測
定の意義についての総説が掲載され、より安全かつ有効な造血細
胞移植を実施するためにも、ブスルファンの血中濃度測定が広く
なされる体制整備が必要と記載されている(参考文献5)。