提案書08(1402頁~1600頁)医療技術評価・再評価提案書 (157 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
312101
大腿骨遠位骨切り術
一般社団法人日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)
30整形外科
00なし
関連する診療科(2つまで)
00なし
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無
無
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年度)
リストから選択
「実績あり」の
場合、右欄も記 提案当時の医療技術名
載する
有無をリストから選択
追加のエビデンスの有無
提案される医療技術の概要
(200字以内)
膝の変形を伴う変形性膝関節症、骨壊死のうち、大腿骨に変形のある患者を対象とする。大腿骨遠位部の骨切りにより変形を矯正し、
正常な膝アライメントに改善させることで、健康な軟骨・骨が残存する関節外側あるいは内側に負荷を移行する再建手術である。強固
な内固定器具により早期社会復帰が可能で、消失した軟骨の再生が期待でき、自らの膝関節が温存されるため、高い活動性が獲得で
き、労働やスポーツへの復帰が可能になる。
文字数: 199
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)
変形性膝関節症、膝関節骨壊死、大腿骨変形(先天性、外傷性)
変形性膝関節症、膝関節骨壊死に対する人工膝関節置換術は、破壊された関節を器械に置換し、痛みを改善する術式であり、すでに保
険収載されている。しかし、耐久性の問題から術後愛護的な生活が余儀なくされ、労働やスポーツは強く制限される。一方、脛骨近位
骨切り術は、下肢変形のうち脛骨の変形に対して行われる矯正骨切りであり、術後高い活動性と早期社会復帰が期待できる関節温存手
術であり、令和4年に保険収載されるに至った。しかし、下肢変形のうち大腿骨の変形に対して行われる矯正骨切りである大腿骨遠位骨
切り術は、脛骨近位骨切り術と同等に有効な関節温存手術であるにもかかわらず、現在保険収載されていない。
文字数: 291
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等
医療技術の対象・疾患:片側(内側あるいは外側)の軟骨・骨に原因がある変形性膝関節症および膝関節骨壊死であり、下肢変形の中
でも大腿骨の変形がある患者が対象である。先天性あるいは外傷後の大腿骨の様々な変形の存在する患者も対象となる。病態および症
状:膝の変形、年齢的な変化、使い過ぎ、体重、過去の外傷や手術などが病因となり発症した膝関節の片側(内側あるいは外側)のみ
の軟骨損傷、骨壊死、あるいは大腿骨変形が直接の病因となって、膝関節の強い痛みにより、立ち上がること、歩くこと、階段昇降な
どの動作が困難になり、労働、趣味、スポーツ活動を含めた日常の社会生活に支障を来たすようになる。症状が悪化すれば、歩行は困
難となり、フレイル、引きこもり、寝たきりにもなりえる。あるいは医療技術の対象年齢:手術対象者に年齢の制限はない。
②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)
手技:患者個々の膝関節の変形の方向や程度、関節可動域、膝関節の前後および内外不安定を考慮し、種々の大腿骨遠位骨切り術(内
側閉鎖型骨切り術、内側開大型骨切り術、外側閉鎖型骨切り術、外側開大型骨切り術、ハイブリッド型骨切り術、アーチ式骨切り術、
逆V字型骨切り術、回旋骨切り術など)より適切な術式を選択し、患者個々に応じてオーダーメードで適切な矯正骨切り量を決定する。
大腿骨遠位で手術計画に沿った適正量の骨切りを行い、下肢の矯正をする。矯正後、強固な内固定器具、人工骨や骨移植を行って固定
する。大腿骨だけでなく、脛骨にも変形のある下肢変形の高度な患者には、大腿骨遠位骨切り術と脛骨近位骨切り術を組み合わせた術
式を選択する場合がある。実施時間等:手術は約180分、入院期間は3週間前後、退院後は外来通院にてX線検査、リハビリ指導を行い、
2~3カ月の治療期間を経て、患者は社会復帰する(職務内容に依っては、3週間の入院加療直後より職務復帰が可能)。
区分
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)
K
番号
医療技術名
K082 1、K054-2
人工関節置換術(肩,股,膝)、脛骨近位骨切り術
既存の治療法・検査法等の内容
人工関節置換術;変形性膝関節症、膝関節骨壊死に対して、人工関節置換術・膝関節が既存手術として保険収載されている(K082
1)。同手術は軟骨・骨組織の損傷のある膝関節を構成する大腿骨、脛骨、膝蓋骨の関節面を削り、金属製あるいはセラミック製の人工
の関節に自らの関節を置き換える手術である。手術翌日から全荷重歩行のリハビリが可能であり、筋力の弱い患者、術後の高い活動性
を望まない患者、除痛を主目的とする患者には同手術が推奨される。年齢制限は手術に耐えうる体力があれば制限はないが、若く活動
的な患者には適応となりにくい。入院期間は一般的には約2週間であり、退院後はリハビリテーションおよびX線検査を主とした通院に
よる定期的な検査となる。脛骨近位骨切り術;変形性膝関節症、膝関節骨壊死に対して、脛骨近位骨切り術が既存手術として保険収載
されている(K054-2)。膝関節の片側(膝関節内側あるいは外側)のみに限局する変形性膝関節症、膝関節骨壊死に対して、下肢変形
のうち脛骨の矯正骨切りを行い、健康な軟骨・骨が残存する関節外側あるいは内側に負荷を移行する関節温存手術である。内固定器
具、人工骨の開発により早期社会復帰が可能で、消失した軟骨は再生され、自らの膝関節が温存されるため、高い活動性が獲得でき、
労働やスポーツへの復帰が可能になる。年齢制限はない。入院期間は2週間前後、退院後はリハビリテーションおよびX線検査を主とし
た通院による定期的な検査となる。
④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム
大腿骨遠位骨切り術と脛骨近位骨切り術は、膝関節の片側(膝関節内側あるいは外側)のみに限局する変形性膝関節症、膝関節骨壊死
を対象とするのに対し、人工関節置換術は疾患の病巣部位に制限はない。従って、膝関節全域に軟骨・骨損傷が及ぶ患者では人工関節
置換術のみが適応になる。人工関節置換術は、傷んだ関節をすべて人工の関節に置き換えるため、除痛を主目的とする患者には有効で
ある。しかし、耐久性の問題のため、将来的な人工関節の破損や緩みによる人工関節再置換術のリスクがあり、術後は愛護的な生活が
余儀なくされ、労働やスポーツが強く制限される。そのため、若く活動的な患者には適応となりにくい。また、器械であるが故に、手
術後の関節可動域には限界があり、正座は不可能である。更には、器械の内部には血行が再建されないため、約1-2%の割合で感染が生
じ、複数回の手術を要する可能性はある。一方、大腿骨遠位骨切り術と脛骨近位骨切り術は、O脚やX脚などの下肢の変形矯正により、
傷んだ関節面から軟骨・骨が残存する健康な関節面に負荷を移行することで、除痛と変形性関節症の進行を予防する関節温存手術であ
る。下肢の変形のうち、脛骨に変形がある患者には脛骨近位骨切り術を選択し、大腿骨に変形がある患者には大腿骨遠位骨切り術を選
択する。O脚による内側型変形性膝関節症では脛骨近位骨切り術が選択される場合が多く、X脚や半月板切除術後による外側型変形性膝
関節症では大腿骨遠位骨切り術が選択される場合が多い。本手術は残存する軟骨、靭帯、半月板などの自らの組織が温存され、消失し
た軟骨の再生が期待できるため、膝関節の機能性は維持される。もともと正座が可能であった患者では、術後に、再度正座を行うこと
も可能となる。健康寿命が叫ばれる現在、高い活動性、労働やスポーツ活動を望まれる患者には大腿骨遠位骨切り術や脛骨近位骨切り
術が推奨される。また、人工物を関節内に入れる手術ではないため、再手術や感染のリスクも低い。大腿骨遠位骨切り術と脛骨近位骨
切り術ともに良好な長期成績が報告されており、関節温存が期待できることがメリットである。仮に変形性関節症が将来的に進行した
場合にも人工関節置換術を選択することが可能である。
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