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提案書08(1402頁~1600頁)医療技術評価・再評価提案書 (43 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項

K047-3 超音波骨折治療法(一連につき) 4,620点 注) 骨折観血的手術等が行われた後に本区分が行われた場合に限り算定する。
通知
(1)超音波骨折治療法は、四肢(手足を含む)の観血的手術、骨切り術又は偽関節手術を実施した後に、骨折治癒期間を短縮する目的で、当該骨折
から3週間以内に超音波骨折治療法を開始した場合に算定する。なお、やむを得ない理由により3週間を超えて当該超音波骨折治療法を開始した場
合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由を詳細に記載すること。
(2)当該治療を開始してから3ヶ月間又は骨癒合するまでの間、原則として連日、継続して実施する場合に、一連のものとして1回のみ所定点数を
算定する。なお、算定に際しては、当該治療の実施予定期間及び頻度について患者に対して指導した上で、当該指導内容を診療報酬明細書の摘要
欄に記載すること。
(3)当該治療法を1回行った後に再度行った場合又は入院中に開始した当該療法を退院した後に継続して行っている場合であっても、一連として1
回のみ算定する。
(4)本手術の所定点数には、使用される機器等(医師の指示に基づき、患者が自宅等において当該治療を継続する場合を含む)の費用が含まれる。
(5)本手術に併せて行ったJ119消炎鎮痛等処置、J119-2腰部又は胸部固定帯固定又はJ119-4肛門処置については、別に算定できない。



診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)

K047-3

医療技術名

超音波骨折治療法(一連につき)
文献2では、根井らが下肢疲労骨折を治療した。脛骨疲労骨折は9.9週(3-16)、大腿骨骨幹部疲労骨折8.4週(3-17)、中足骨疲労骨折が6.7週(4-10)
と、脛骨・大腿骨・中足骨の疲労骨折全てにおいて、保存的加療に比べ治癒期間が有意に短縮し、超音波骨折治療の有効性を示した。文献3で
は、Uchiyamaらは、平均22才の若年者跳躍型の脛骨疲労骨折5例に対して20分/日連日超音波治療を行ったところ、発症からスポーツ復帰までの期
間が平均3ヶ月、骨折部の疼痛が完全に消失するのに3.8ヶ月と従来の保存的治療に比べ、統計学的に有意に治療期間が短縮することを示した。従
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 来の保存的治療に比べ、統計学的に有意に良好な治療成績であった。文献4では、Heckmanらは、超音波骨折治療法33例、非使用34例の脛骨骨折骨
後等のアウトカム
癒合までの期間を比較したところ使用96日、非使用154日と骨癒合までの期間が有意に短縮した。治療期間が短縮することは、医療経済的な効果
も示しているが、文献5では、疲労骨折を含む第5中足骨遷延癒合30例に対するレトロスペクティブ研究では、(30症例のうち、Jones骨折が13
例)LIPUS使用による手術回避で、年間7,765ポンド(1,252,482円)の節約となる効果があったと高いエビデンスレベル(level4)で報告してい
る。

③再評価の根
拠・有効性

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

超音波骨折治療法に関しては、既に橈骨骨折ではガイドラインでその有効性が示されてい
る。(橈骨遠位端骨折診療ガイドライン 2012第3章治療3.4.その他の骨折,治療法)
■ Clinical Question 30 超音波パルスや電気刺激は骨癒合の促進に有効か
推奨【Grade B】超音波パルスは有効である。【Grade C】電気刺激は行うことを考慮して
もよい。
解説:超音波パルスや電気刺激は骨癒合を促進し、遷延治癒例や新鮮骨折の治療に使用され
ている。橈骨遠位端骨折に使用する場合には、創外固定法やギプスなどの外固定除去時期
を早める効果があるが、橈骨遠位端骨折では骨折部位が海綿骨の豊富な骨幹端であり、遷
延癒合となる症例自体が少ない。
サイエンティフィックステートメント:超音波パルスは橈骨遠位端骨折の骨癒合を促進し、
ギプス固定期間中の整復状態の悪化を減少させるという高いレベルのエビデンスがある(EV
level I-2)。創外固定使用時の掌側骨皮質の適合できない症例でも電気刺激を併用するこ
とで転位がなく、骨皮質の癒合に有利に働くという低いレベルのエビデンスがある(EV
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す level III-2)。エビデンス: 徒手整復・ギプス固定で治療した橈骨遠位端骨折の骨癒合期
る。)
間はプラセボ群(98±5日)に比べて超音波群(61±3日)が有意に短かった(p<0.0001)。 X線
で観察される骨癒合の各過程も、プラセボ対照群に比べて超音波治療群で有意に促進され
た。プラセボ対照群に比べて超音波治療群では、X線評価での掌側屈曲変形の角度によって
決定される整復不良の程度が有意に少なく(超音波群:20±6%,プラセボ群43±8%;
p<0.01)、同様に整復状態の悪化が停止するまでの時間も有意に短縮した(超音波群:12±4
日,プラセボ群25±4日;p<0.04)。超音波パルスは橈骨遠位端骨折の骨癒合を促進し、癒合
期間中の整復状態の悪化を減少させる(RF00687,EV level I-2)。徒手整復・ギプス固定で
治療した橈骨遠位端骨折の骨癒合期間はプラセボ群に比べて超音波群が喫煙者、非喫煙者
ともに有意に短かった(RC00050,EV level I-2)。創外固定を使用した不安定型橈骨遠位端
骨折の治療で掌側骨皮質不適合群(A群)21例と掌側骨皮質適合群(B群)30例に分けて、それ
ぞれ骨交流電気刺激装置を使用。手関節可動域と握力に有意差なし。Mayo wrist
score(Cooneyの評価法)ではA群83±9点,B群85±9点で有意差なし。掌側骨皮質の適合でき
ない症例でも電気刺激を併用することで転位がなく、骨皮質の癒合に有利に働いた
(RJ01521,EV level III-2)。

再評価によって対象患者数が変化するものではない。年間対象患者については、政府統計e-Stat令和2年度年患者調査によると、年間約11,000名
の疲労骨折患者が計上されている。従って,実際の実施回数に関しては、年間11,000回を下回る。

見直し前の症例数(人)

0人

見直し後の症例数(人)

11,000人

見直し前の回数(回)

0人

見直し後の回数(回)

11,000回

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

医療技術の成熟度は、超音波骨折治療法に関してのエビデンスの蓄積から既に保険収載されており十分成熟した医療技術である。学会等における
位置づけは、日本整形外科学会の関連団体である超音波骨折治療研究会(http://lipus.jp/)でもその有効性が評価された。実臨床でもその有効性
が示され更なる研究が進んでいる(骨折に対する積極的保存療法(骨折治癒促進)I-04-24当院における低出力超音波パルス(LIPUS)の使用経験 横
浜市立市民病院 整形外科)(高齢者橈骨遠位端骨折に対する積極的保存療法(低出力超音波パルス(LIPUS)の併用)の工夫 森川整形外科医院)。難
易度(専門性)手技自体は容易であるが、疲労骨折の診断や超音波骨折治療の適応に関しては、高度な医学的判断が必要で、整形外科専門医が実施
する医療技術である。

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 整形外科を主として標榜する診療科(開業医・病院)
制等)
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 医師1名、看護師1名、整形外科専門医程度の経験を必要とする。
性や経験年数等)
超音波治療器 取扱説明書 使用目的又は効果
1.使用目的:身体の骨の部位にパルス低強度超音波を与えることによって骨折時等の骨の形成を促進し、治癒の促進を行う。
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 使用方法等:詳細は取扱説明書を参照
1.用法及び用量:本装置による治療は、1日に1回実施する(治療時間20分)。
要件)
2.使用方法:取説

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

不具合・有害事象(発生率 0.01%以下)
(1)その他の有害事象
●下記のような症状または異常が現れた場合は、使用を中止し、適切な処置を行うこと。
・筋肉の痙攣・こわばり・浮腫・腫脹・疼痛・皮膚異常(湿疹、発赤等)・しびれ・熱感
●骨折部近傍に骨化性筋炎を認める場合、使用を中止し、骨化性筋炎に対する適切な処置を行うこと。

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