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提案書08(1402頁~1600頁)医療技術評価・再評価提案書 (159 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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予想影響額

その根拠

対象疾患に対する手術治療法として人工関節置換術・膝関節(K082 1)が存在する。大腿骨遠位骨切り術と脛骨近位骨切り術の対象疾
患は同じであるが、膝関節の軟骨損傷、骨壊死が関節の片側(内側あるいは外側)に限局することが条件となる。それを評価したうえ
で、高い活動性および社会活動への復帰を希望する患者の意思を反映した治療法として、大腿骨遠位骨切り術と脛骨近位骨切り術が手
術治療の選択肢として台頭し、良好な結果が証明されている。大腿骨遠位骨切り術と脛骨近位骨切り術においては、変形の部位が大腿
骨に存在するか、脛骨に存在するかによって、適応が別れることになる。重症度の高い疾患、膝関節全域に軟骨損傷がおよぶ変形性膝
関節症や骨壊死に対しては大腿骨遠位骨切り術や脛骨近位骨切り術の手術適応は無く、人工関節置換術・膝関節が必須であり、同手術
が廃れるべき治療法ではない。これまで、人工関節置換術・膝関節が行われていた患者のうち、片側(内側あるいは外側)のみの変形
性膝関節症および片側に限局する膝関節骨壊死の患者において、下肢変形の部位が大腿骨に存在し、術後に労働やスポーツ活動を含め
た高い活動性を望まれる患者、自らの関節の温存を希望する患者が、大腿骨遠位骨切り術の対象患者として振り替わることになるだけ
の為、トータルとして対象疾患に対する手術件数への影響額は大きく変化はない。しかし、人工関節置換術・膝関節の前に一定期間行
われていた再診や投薬、ヒアルロン酸などの関節内腔注射費や運動器リハビリテーション料等の医療費は削減でき、さらには大腿骨遠
位骨切り術と人工関節置換術・膝関節に要する材料費の差分は医療費に影響するものと考えられる。 今後想定される1年間での大腿骨
遠位骨切り術が2,000件とする。大腿骨遠位骨切り術が行われなかった対象疾患においては、変形性膝関節症の診断から平均19.5か月の
ヒアルロン酸の関節内注射、リハビリや消炎鎮痛剤内服などの保存治療を経て、人工関節置換術・膝関節が行われることになる。まず
は、変形性膝関節症の診断から約19.5か月間程度の通院治療費が削減できる。大腿骨遠位骨切り術が行われなかった対象疾患の一患者
あたり、月に2回の通院治療を19.5か月(39回)行ったと仮定すると、外来通院治療費500点(再診料79+投薬料70+関節内注射80+ヒ
アルロン酸注射材料費81+運動器リハビリテーション(1)185)×39×2,000×10= 390,000,000円の医療費を削減できる。また、手
術で使用する償還できる材料費を比較すると、人工関節置換術・膝関節の材料費が約55万、大腿骨遠位骨切り術の材料費が約22.3万で
あり、材料費のみで(550,000-223,000)×2,000=654,000,000円の医療費を削減できる。次に、人工関節置換術・膝関節の術後に発
症する一定数の合併症である非感染性loosening(弛み)や骨融解による設置関節の弛みや感染症に対する人工関節・膝関節抜去術、人
工関節再置換術・膝関節の再手術を鑑みると、大腿骨遠位骨切り術に振り替わった分だけ、再手術の件数が減少するうえに、材料費の
観点からも、医療費の削減に大きく繋がると判断される。ここでは、具体的な数値の報告が渉猟できない非感染性loosening(緩み)や骨
融解による合併症は考慮せず、文献的に報告される感染症についてのみで算定するが、感染症は一般的に1~2%生じるとされる(星野
孝ほか:人工関節置換術後感染症例の検討(全国調査)、日整会誌1987,61:S690/Morrey BF. Long-term results of various
treatment options for infected total knee arthroplasty. Clin Orthop 1989,248:120-8)。仮に約1.3%にあたる約26件の感染症が
発生したとすると、その後の手術となる人工関節再置換術・膝関節(K082-3 1:54,810点)、人工関節・膝関節抜去術(K082-2 1:
30,230点)がなくなり、(54,810+30,230)×26×10=22,110,400円の医療費の軽減に繋がると想定される。以上より、1,066,110,400
円の医療費削減となる。

備考

特になし

⑪提案される医療技術において使用される医薬品、医療機
器又は体外診断薬
大腿骨用骨端プレート(内側用)、大腿骨用骨端プレート(外側用)、キャニュレイテッドロッキングスクリュー
(主なものを記載する)
⑫提案される医療技術の海外における公的医療保険(医療
保障)への収載状況
※ 該当する場合、国名、制度名、保険適用上の特徴
(例:年齢制限)等

2)調べたが収載を確認できない

特になし

⑬提案される医療技術の先進医療としての取扱い
⑭その他

d. 届出はしていない
特になし

⑮当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

⑯参考文献1

1)を選択した場合は、下の欄に詳細を記載。

外保連共同提案学会:日本整形外科学会

1)名称
2)著者
3)雑誌名、年、月、号、ページ

【変形性膝関節症】診療ガイドライン
変形性膝関節症診療ガイドライン 2023 策定組織、日本整形外科学会診療ガイドライン委員会
日本整形外科学会誌、2023年5月発刊予定

4)概要

膝周囲骨切り術は身体活動性が高い、あるいは比較的年齢の低い膝OA症例に特に有用と考えられる。下肢外反変形を伴った外側型変形
性膝関節症に対しては大腿骨遠位内反骨切り術の成績は良好であり、若い患者や活動性の高い患者には有効な手段である。

1)名称
2)著者
3)雑誌名、年、月、号、ページ

Ten‑year survival rate of 89% after distal femoral osteotomy surgery for lateral compartment osteoarthritis of the knee
Faiz S. Shivji, Aaron Foster, Michael J. Risebury, Adrian J. Wilson, Sam K. Yasen
Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy. 2021; 29: 594–599

4)概要

外側型変形性膝関節症に対する大腿骨遠位骨切り術におけるレトロスペクティブコホート研究である。合併症率は4.7%と低く、10年の
生存率は89%であった。外側型変形性膝関節症に対する大腿骨遠位骨切り術は安全で、長期的に人工膝関節置換術を予防できる関節温
存手術である。一方、正確な矯正を行うための手術手技の洗練が必要である。

1)名称
2)著者
3)雑誌名、年、月、号、ページ

Return to Sport and Work Following Distal Femoral Varus Osteotomy: A Systematic Review
Hassaan Abdel Khalik, Darius L. Lameire, Luc Rubinger, Seper Ekhtiari, Vickas Khanna, Olufemi R. Ayeni
The Musculoskeletal Journal of Hospital for Special Surgery. 2022; 18(2): 297–306

4)概要

外側型変形性膝関節症に対する大腿骨遠位骨切り術後の仕事復帰とスポーツ復帰に関して検討したシステマティックレビューである。
仕事復帰は 81.8% ± 23.3%、スポーツ復帰は 87.2% ± 10.7%であり、 外側型変形性膝関節症に対する大腿骨遠位骨切り術は、安全
で、若く活動的な患者に有効な術式である。

1)名称
2)著者
3)雑誌名、年、月、号、ページ

The Cost-Effectiveness of Surgical Treatment of Medial Unicompartmental Knee Osteoarthritis in Younger Patients
Joseph F. Konopka, Andreas H. Gomoll, Thomas S. Thornhill, Jeffrey N. Katz, Elena Losina
J Bone & Joint Surgery. 2015; 97(10): 807–817

4)概要

片側内側型変形性膝関節症の外科的治療での費用対効果の検討から、高位脛骨骨切り術の有用性、優越性について。対費用効果の治療
法となる確率を人工膝関節全置換術で24%であったのに対し、高位脛骨骨切り術では57%にも及んだ。膝周囲骨切り術の1つである大腿
骨遠位骨切り術も同様の費用対効果が得られるものと思われる。

1)名称
2)著者
3)雑誌名、年、月、号、ページ

ゼロからはじめる! Knee Osteotomyアップデート
日本Knee Osteotomyフォーラム
全日本病院出版会, 2018年

4)概要

大腿骨近位骨切り術および脛骨近位骨切り術を含む“膝周囲骨切り術”について日本Knee Osteotomyフォーラムが編集・執筆した本邦
での膝周囲骨切り手術の教科書的指導書。患者個々にオーダーメイドの治療をするため、歴史、解剖、術前計画、各種手術方法、術後
後療法、評価法、バイオメカニクス、軟骨再生の基礎知識に至るまで膝周囲骨切り術に関する知識や診療技術を網羅している。

⑯参考文献2

⑯参考文献3

⑯参考文献4

⑯参考文献5

※⑮については、1.の「主たる申請団体」および「上記以外の申請団体」以外に、提案される医療技術に関する研究、会合、論文発表等を実施している学会等の関連団
体や研究者等の名称を記載すること。

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