提案書08(1402頁~1600頁)医療技術評価・再評価提案書 (187 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
314101
不可逆的全脳機能不全管理料
日本救急医学会
32救急科
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
29脳神経外科
関連する診療科(2つまで)
38その他(診療科名を右の空欄に記載する。)
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無
有
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年度)
令和2年度
提案年度(西暦):2017年度、2020年度
提案当時の技術名:脳死判定(診断)料
「実績あり」の
提案当時の医療技術名
場合、右欄も記
載する
有
追加のエビデンスの有無
提案される医療技術の概要
(200字以内)
文字数: 196
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)
集中治療科
瞳孔散大かつ深昏睡患者に対し、不可逆的機能不全確認の為の検査(脳波、聴性脳幹反応、脳血流診断等)を実施、判定記録
書を作成し、終末期治療方針の決定、家族へ情報提供を行う。算定には患者や家族への適切な支援や臓器提供の選択肢提示を
行う。これには重症患者メディエータがチームに構成され、多職種カンファレンス等で終末期の診断から臓器提供の選択肢提
示を行ない、家族に結果を説明し記録した場合に算定される。
集中治療室で治療を行う重篤患者のうち深昏睡、脳幹反射が消失している患者
患者終末期を的確に診断し、患者家族に正確な予後を伝え、希望に沿う治療選択肢を提示する。これにより患者家族との十分
な話し合いのもと、無為な治療や侵襲的治療をも控えることも可能となり、患者家族の心的、経済的負担の軽減となる。また
神経学的終末期状態、脳死とされうる状態の判定において、診断のための医療機関の経済的負担が、その後に続く選択肢提示
と脳死下臓器提供への移行の弊害ともなっている。不可逆的全脳機能不全診断のための各種検査に支援を行うことで、不可逆
的全脳機能不全の積極的な診断から治療選択肢提示までの道程を包括的かつ弾力的に推進することで、臓器提供におけるポテ
ンシャルドナーの増加をも期待される。
文字数: 298
【評価項目】
不可逆的全脳機能不全が疑われる、以下のすべてを満たす患者。①深昏睡(JCS300あるいはGCS3)かつ瞳孔散大②血液検査等
により代謝性疾患や内分泌疾患を除外している③器質的脳障害の原疾患が確実に診断されている④原疾患に対して行い得るす
べての適切な治療を行ったが病状の改善が得られないもの。
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等
不可逆的全脳機能不全が疑われた場合、脳波、聴性脳幹反応検査などの生理学的検査、脳血流診断等の頭部画像検査(脳血管
撮影・DSAを用いた評価・ラジオアイソトープ、CTアンギオグラフィ、Perfusion CT、Dynamic CT、Xenon-CT MRアンギオグ
ラフィ、頸動脈ドップラーエコー検査(TCD)などを行い、いわゆる脳死とされうる状態の診断を行う。終末期ガイドライン
を基にした議論を、重症患者対応メディエータ等を中心とした家族支援チーム(FST)を含む多職種カンファレンス内にて行
い、議事録を作成し、診療録に保存する。また重症患者対応メディエータや院内コーディネーター等を中心としたFSTの同席
のもと、医師は患者家族への十分な結果説明を行ない、患者が不可逆的全脳機能不全状態にある可能性があることを説明し、
適切な予後予測のために必要な各種検査の施行についての同意を得る。各種検査と診察の後、患者が不可逆的全脳機能不全の
状態にあるかを改めて多職種で議論し、書類を完成させる。その結果を、FSTを交えて患者家族に説明する。その際、積極的
治療の継続・中止など治療選択肢の提示や、臓器提供の機会などの情報を家族に提示し、その結果を遺漏、遅延なくカルテに
記載する。なお、患者家族との合議による治療方針決定後においても、FSTの時宜を得た患者支援を行い、記録を診療録に保
存する。また不可逆的全脳機能不全の診断に至らなくとも、その結果を家族に提示し、必要な患者家族支援を継続する。
②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)
番号
医療技術名
その他
該当なし
なし
既存の治療法・検査法等の内容
不可逆的全脳機能不全の診断や臓器提供の情報の提示に関する既存の診療報酬はない。
区分
④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム
⑤ ④の根拠と
なる研究結果等
研究結果
不可逆的全脳機能不全と診断された場合、終末期としての対応を行う。すなわち、患者本人の事前意思や家族の理解に応じ
て、下記ガイドラインに則った対応から患者本人の尊厳を維持しつつ、家族の意思を十分反映した対応が可能となる。また、
脳死下臓器提供の意思を確認する機会を選択肢の提示として提供することができる。二次的効果として脳死下臓器を希望する
患者の権利を守ることで、本邦における移植医療の推進に寄与する。
本人の事前意思や家族対応に関しては、いわゆる救急・集中治療の終末期の対応、例えば「救急・集中治療における終末期医
療に関するガイドライン ~3学会からの提言~」(平成26年11月4日公表)を参考とする。また、世界の令和元年の人口100万
人あたりの臓器提供者数はスペインで49.6人、アメリカで36.9人、しかし日本では0.99人で、諸外国に比べ十分な臓器の確保
ができていない状況である。更なる臓器移植対策にむけて厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会の提言が取りまとめら
れ(令和4年3月)、「医療機関でふさわしい局面において確実に家族に臓器提供の情報の提示(選択肢提示)がなされるよ
うな仕組みの構築を検討するべき」とされた。一方、令和4年7月に実施された日本救急医学会の全国の救命センターを対象
にしたアンケート調査(日本救急医学会 脳死・臓器組織移植に関する委員会 脳死下臓器提供におけるアンケート調査 日
本救急医学会雑誌 Vol.33.issue 8 2022)では、選択肢提示の前段階である不可逆的全脳機能不全の診断のための経済的負
担が、その後に続く選択肢提示を実施しない要因の一つになっていることが明らかになった。医療現場において、不可逆的全
脳機能不全という患者終末期を的確に診断することで患者家族に正確な予後を伝え、救急集中治療医における看取りの医療の
質改善にもつながる。
3
ガイドライン等での位置づけ
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載する。) 厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会
1588
提言