【資料No.1】2.5_臨床に関する概括資料 (8 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29325.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会(令和4年度第5回 11/22)、医薬品第二部会(令和4年度第13回 11/22)(合同開催)《厚生労働省》 |
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2.5 臨床に関する概括評価
心血管系疾患,呼吸器疾患,腎疾患,糖尿病,肥満,免疫不全症などを有するハイリスク患者
では重症化しやすく,急速に肺炎が進行し,息切れ,呼吸困難等に陥り,酸素吸入やさらには
人工呼吸器や体外式膜型人工肺 (ECMO) による治療が必要となることもある [1].
本邦のガイドライン (新型コロナウイルス感染症 COVID-19 診療の手引き 第 6.2 版 2022 年
1 月 27 日改訂) における重症度分類を,図 2.5.1.2-1 に示す [9].SARS-CoV-2 の潜伏期間は 1~
14 日間であり,SARS-CoV-2 の曝露から 5 日程度で発症することが多く,オミクロン株ではお
よそ 3 日間で発症することが報告されている [10].大多数の患者は軽症から中等症 I に分類さ
れ,一般的に発症から 1 週間程度で治癒に向かうが,一部の患者は重症化し,そのうち約 20%
の患者では酸素投与が必要になるとされる.COVID-19 の重症化のリスク因子として,65 歳以
上の高齢者,高血圧,肥満,喫煙などが特定されており [9, 11],60 代から年齢が高くなるに従っ
て致死率も高くなっている [9].一方,感染したものの,無症状のまま経過する者も一定数存在
し,その割合は 20%~30%と考えられている [12].小児においては,主な症状は成人と変わら
ないが,無症候又は軽症で経過することが多いとされている [9, 13].また,回復後も COVID-19
症状が遷延することがあり,期間や症状は様々であるが,短期的及び長期的な健康へ影響を及
ぼす (post-acute COVID-19 syndrome) ことが知られている [14].
SARS-CoV-2 に感染したヒトからヒトへの伝播期間は発症 2 日前から発症後 7~10 日間程度
と考えられており,発症から間もない時期の高い伝播性が市中感染の原因と考えられている [9].
COVID-19 発症初期の病態形成の原因がウイルス増殖による炎症反応であること [15],及び発
症初期の伝播性が高いことを踏まえると,SARS-CoV-2 の感染後早期に抗ウイルス薬による薬
物治療を開始することで,ウイルス増殖を速やかに抑制し,ウイルス感染に起因する過剰な炎
症や免疫反応を抑えることが症状改善に有益であり,加えて伝播抑制も期待できる.
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