提案書04(0599頁~0801頁)医療技術評価・再評価提案書 (189 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
256102
顆粒球のフローサイトメトリーによるCD16測定
日本小児神経学会
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
22小児科
20小児外科
関連する診療科(2つまで)
12神経内科
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
有
療技術の提案実績の有無
過去に提案した年度
令和4年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
「実績あり」の
先天性グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)欠損症のスクリーニング検査
提案当時の医療技術名
場合、右欄も記
載する
追加のエビデンスの有無
有
提案される医療技術の概要
(200字以内)
末梢血顆粒球をCD16に対する抗体で蛍光ラベルし、フローサイトメーターでその発現量を測定する。発現量低下を確認でき
た症例で、遺伝子パネル解析を行う。2019年からSRL社に委託し、正常者および患者検体の値からカットオフ値を決定し
た。症状から疑った患者382人で施行し18人(4.7%)の新規症例を診断、また遺伝子解析により検出された変異の機能解析
として施行し、37人の確定診断を行った。
文字数: 193
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)
先天性グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)欠損症
本疾患は指定難病、小児慢性特定疾病に認定され、診断基準に顆粒球のCD16の発現低下と遺伝子解析による遺伝子変異の同
定が記載されている。フローサイトメトリー検査は2019年よりSRL社に技術移転をして委託し、カットオフ値を決めて患者
検体のみで診断が可能となった。遺伝子パネル検査が昨年保険収載されたが、希少疾患である上に、知能低下、てんかんな
ど症状が他の疾患とオーバーラップしており、本検査でスクリーニングして陽性例を絞り込むことにより初めて遺伝子パネ
ル検査が有効に活用できる。当疾患はピリドキシン(ビタミンB6)の補充療法が有効な場合が多く、早期診断が重要で保険
収載の必要性があると考えられる。
文字数: 297
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等
対象疾患:先天性グリコシルホスファチジルイノシトール欠損症(IGD)
病態・症状:GPI生合成に関わる遺伝子は30個あり、これらの遺伝子変異による潜性遺伝性疾患であるIGDが24種報告され
ている。GPIアンカー型タンパク質(GPI-AP)は150種以上知られており、それぞれ酵素や受容体など重要な役割を担ってい
る。GPIの完全欠損は胎生致死なので患者の多くは部分欠損で、GPIアンカー型タンパク質の発現低下や構造異常により、知
能低下や運動発達の遅れ、てんかんなどの神経症状を主症状とし、重症例は多臓器奇形を呈する。生後早期から症状は見ら
れるが、症状のみでは他疾患との鑑別が困難で、血液のフローサイトメトリー検査による顆粒球上のGPI-APであるCD16の発
現低下がスクリーニング検査として有用である。
②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)
末梢血をヘパリン加採血管に3ml(最低1ml)採取し、血漿を除いた後に赤血球を溶血し、残りの血球を蛍光ラベルのついた
抗CD16抗体で染色する。フローサイトメーターで染色した顆粒球分画を解析し、CD16bの発現量を平均蛍光強度で表示す
る。正常者および患者検体の値から決めたカットオフ値を基準値とし、IGD probable(異常低下)、IGD possible(ボー
ダーライン)とする。測定機械の設定は毎回蛍光ビースで調整し、精度管理を行う。スクリーニングは患者一人につき1度
行うが、まれに再検が必要な場合もある。現在はSRL社に委託して検査しておりヘパリン採血の患者検体のみで検査が可能
で2日程度で結果を返すことができる。当検査は診断基準による診断に必要な検査である。
区分
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)
D
番号
7
医療技術名
IGD遺伝子パネル検査
既存の治療法・検査法等の内容
高ALP血症を呈する症例があるが、小児は正常でもALP値が高く、偽陽性例が非常に多く疾患マーカーとしては有効でない。
昨年よりIGDの責任遺伝子の遺伝子パネルが保険収載されたが、希少疾患なので当検査で疾患を絞り込まなければ、遺伝子
パネル検査を有効に活用できない。全エキソーム解析を実施した際に、まれにGPI生合成遺伝子に変異が見つかることで、
既知変異の場合は診断されるが新規変異であると本検査によって機能解析をしなければ病的な変異か判断できない。治療と
しては対症療法(抗けいれん剤投与など)が行われるが、IGDの診断の確定例ではビタミンB6(ピリドキシン)の投与が痙攣
発作に有効な症例があるので早期診断が重要である。
④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム
血清アルカリホスファターゼ(ALP)活性
発達の遅れやてんかんなど症状で疑いがあれば、少量の血液のSRL社への提出で2日程度で結果が出る。CD16の発現量が
カットオフ値以下で、該当する症状があれば診断基準により、IGDの診断が確定する。この方法で陽性例を絞り込んでから
責任遺伝子同定のためにIGD遺伝子パネル検査をする。この顆粒球のCD16測定によるスクリーニング法は村上らが開発した
もので、論文により海外の研究者にも広まり、現在はIGD遺伝子変異の機能解析法としても多くの論文で使用されている。
症例によってはピリドキシン投与など、補充療法が有効であるので、本検査によって早期に診断し、早期治療により発達の
予後が改善する可能性がある。
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