提案書06(0999頁~1199頁)医療技術評価・再評価提案書 (172 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 した治療抵抗性うつ病患者151例を対象とした結果、115例(76.2%)が治療完遂した。HAMD-17、MADRS、PHQ-9はベースラインと比べて、3週目、6
週目で有意な改善が得られた。また、治療6週目でHAMD-17の反応率は、52.8%、寛解率は44.4%であった。有害事象は多くの患者で軽度の刺激痛
後等のアウトカム
を認めたが、重篤な有害事象は見られなかった。(⑭参考文献5)
③再評価の根
拠・有効性
ガイドライン等での位置づけ
④普及性の変化
※下記のように推定した根拠
年間対象者数の
変化
年間実施回数の
変化等
再評価(施設基準の緩和)によって、全国の対象施設数は318から約600施設に拡大する見込みだが、rTMS療法の対象患者数は変化しない。また、
3週目(およそ15回目)の評価を20回目に変更することで、実質のひとり当たりの実施回数は増加すると推測されるが、見直し前後ともに算定可
能な最大数は30回と変わらない。見直し前後の年間対象者数は、令和2年患者調査より、成人うつ病患者数は約126万人、内、薬剤抵抗性患者は3
割と推定し、38万人と考える。見直し前の年間実施回数は、社会医療診療行為別統計より、408回(単月34回×12か月)と推計される。見直し後
は、対象施設数が約2倍となり、点数の見直しによって経済的な制限が緩和されることで施設あたりの実施件数が2-3倍に増加する推察され(平均
実施件数が2人/日、1日当たりの実施可能な件数は4~6名)、見直し後の回数は2,040回(408回×5倍)と推計される(対象施設数が2倍になること
も考慮し、見直し後の回数は5倍と算定)。
見直し前の症例数(人)
38万人
見直し後の症例数(人)
38万人
見直し前の回数(回)
408回
見直し後の回数(回)
2,040回
⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)
日本うつ病学会の高齢者うつ病治療ガイドラインでは、うつ病(ただし、精神病症状を伴
うものは除く)に対して、rTMS療法は偽刺激と比較し、うつ症状の軽減に有効であると記
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す 載されている。また、刺激部位に痛みが生じることがあるが、rTMS療法は認知機能障害を
伴わない。したがって、高齢者のうつ病に対して、rTMS療法は有用である。
る。)
(日本うつ病学会治療ガイドライン ~高齢者のうつ病治療ガイドライン 2020年7月1日
作成、2022年7月1日 改訂)
rTMS療法は、海外の既承認国では薬物療法に反応しないうつ病に対して、延べ80,000人以上の患者に対して実施されている。わが国でも、2017年
9月、NeuroStar TMS 治療装置が承認され、2019年6月から保険診療として導入されている。日本精神神経学会が当該医療技術の適正使用を目的と
した指針を作成、公表し、講習会を開催、また機器製造者または販売代理者が実施する実技講習会(ハンズオン形式)も開催している。以上よ
り、技術的成熟度は十分であると考える。
1名以上の日本精神神経学会認定精神科専門医が常勤または非常勤として全ての診療日に勤務していること。
施設の要件
rTMS禁忌事項の事前評価を適切に行うことが可能であること。
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 rTMS療法によって誘発されたけいれん発作やその併発症への迅速な対応ができる院内連携体制あるいは連携医療機関を有すること。
制等)
うつ病の経過中において切迫した希死念慮が出現した場合に迅速な精神科入院を行える医療連携を有すること。
人的配置の要件
rTMS療法を使用するためには、うつ病の治療に対する十分な知識と経験を有する精神科専門医であり、rTMS療法に関する知識、技術に習熟してい
(医師、看護師等の職種や人数、専門 ることが求められるため、rTMS療法の実施者は適正使用指針に基づき講習会の受講が求められる。
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 前述の適正使用指針(反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)適正使用指針;日本精神神経学会)
要件)
⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度
当該医療技術である、左前頭前野への高頻度(10Hz)の反復経頭蓋磁気刺激では、20-40%の頻度で、頭痛、刺激部位の疼痛、刺激部位の不快感、
筋収縮が認められる。これらの副作用は、磁気刺激中にみられ刺激終了とともに消退する。まれに、0.1%未満の頻度でけいれん発作が生じること
がある。現在市販後調査を行っているが、重大な有害事象の報告は確認されていない。
⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)
問題なし
⑧点数等見直し
の場合
見直し前
見直し後
1,200点
3,000点
その根拠
本邦におけるrTMS療法の費用対効果分析の結果(⑭参考文献4)よりrTMS療法の経済的有用性が示唆されており、ICERの基準値である500万円を
下回る診療報酬の閾値は30,800円であることが報告されている。また、外保連試案に基づき当該技術に掛かる費用を算出した結果(詳細は後述)
48,069円であった。そのため、医療経済的な観点を考慮し、当該技術の点数を3,000点に増点することが妥当と考える。
以下、外保連試案等より専門医の人件費及び医療機器の使用に掛かる費用を算出したため参考までに提示する(1~3の合計が48,069円)
1.精神科専門医1名および看護師1名で治療する場合、実施者の人件費(外保連試案2022:経験年数10年、C区分 42,130円×40分=25,275円/時
間、看護師 2,960円/時間×70分=3,453円):28,728円
2.60分の施設利用費(外保連試案2022):1,619円
3.機器使用料:17,722円(機器本体:1,200万円を6年間で減価償却費を想定(200万円/年)、年間利用率30%(518時間):3,861円/時間、
3,861円/時間×患者2人=7,722円 ※1日あたり2時間使用(患者2人に相当)、消耗品10,000円/回×患者1人=10,000円)
区分
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)
―
区分をリストから選択
番号
技術名
特になし
特になし
具体的な内容
特になし
増(+)
プラスマイナス
予想影響額(円)
⑩予想影響額
その根拠
56,304,000
【増額要因】
56,304,000円(予想影響額)=61,200,000円(予想される当該技術に係る年間医療費)-4,896,000円(当該技術に係る現行の年間医療費)
予想される当該技術に係る年間医療費(61,200,000円)= 年間実施回数 (2,040回) × 妥当と思われる診療報酬点数(3,000点) × 10円/点
当該技術に係る現行の年間医療費(4,896,000円)= 年間実施回数 (408回) × 現在の診療報酬点数(1,200点) × 10円/点
【減額要因】
本治療によって、うつ病が寛解することにより当該患者のうつ病治療に係る医療費が減額することは想定できるが、明確な統計資料等が得られな
いため予想影響額の計算には含めない。
備考
⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬
特になし
なし
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