提案書06(0999頁~1199頁)医療技術評価・再評価提案書 (32 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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本邦の研究として、バイオバンクジャパン等により大規模ケースコントロール研究の結果、遺伝性腫瘍症候群原因遺伝子検
出率(BRCA1/2 vs. 多遺伝子パネル検査)は、乳癌(4.2% vs. 5.7%)、卵巣癌(11.8% vs. 17.8%)、前立腺癌(1.3% vs.
5.1%)、膵癌(3.4% vs. 6.7%)、大腸癌(0.5% vs. 3.3%)であり、日本人でも海外と同様に当該技術の有効性が検証されてい
る(Momozawa Nat Com 2018, Hiraswa Oncotarget 2017, Mizukami Ebio 2020, Momozawa JNCI 2020, Fujita Clin
Gastero hepato 2021 )
3
⑤ ④の根拠と
なる研究結果等
ガイドライン等での位置づけ
⑥普及性
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)
年間対象患者数(人)
約15万人
国内年間実施回数(回)
150,000回
遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療ガイドライン2021年版 BQ6 ス
テートメント:既往歴・家族歴等からHBOCの遺伝学的検査が推奨
されるケースでは,BRCA単独の遺伝学的検査に比べてMGPを行う
ことにより遺伝性腫瘍症候群の原因遺伝子の病的バリアント検出
率が上がることは確実である。これにより新たな疾患リスクへの
対策を行うことができる場合があり,将来的にはわが国において
も標準的な検査方法となることが予想される。しかし,検索する
遺伝子にはリスクや医学的管理のエビデンスが不十分な遺伝子が
含まれること,検査費用,VUS検出率の多さ等に配慮し,適切な
施行時期を含め十分な遺伝学的アセスメントを経て施行すること
が推奨される。また,多様な症候群を呈する遺伝子に対応が可能
な各診療部門および遺伝部門と緊密に連携を行う体制での施行が
望まれる。
※患者数及び実施回数の推定根拠等
バイオバンクジャパンのサンプルを用いた10万人以上の大規模症例対照の家族歴(発端者と同じ癌罹患歴の有無)は、家族
例無しが13.9%であった(Momozawa JAMA Oncol. 2022)。また、本邦のAYA世代がん発症者は癌是隊の約2.5%である。両者
は重複している可能性もあるため癌罹患者(2022年年度癌罹患予測数1,019,000人)の約15%を対象とした。
⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)
HBOCを疑いBRCAに病的バリアントが無かった場合(遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構 HBOC診療ガイドライン2021年
版)、BRCA陰性の相同組換え修復不全(HRD)の卵巣癌(日本婦人科腫瘍学会)に対して当該医療技術の施行が推奨されてい
る。
医療技術は遺伝学的検査の精度管理(CLIAやISO)や病原性判定のガイドラインを順守した検査会社で行われており容易で
ある。検査結果については、一部の症例では病原性判定不能(VUS)など遺伝医学、検査医学の専門的な知識を必要とするこ
とが予想される。
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)
施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体
制等)
検査施行施設:遺伝性腫瘍の専門家による遺伝カウンセリングの施行が可能な遺伝診療部門、臨床検査の精度管理を行う部
門、各診療科が連携可能な施設
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門
性や経験年数等)
遺伝性腫瘍の専門家: 臨床遺伝専門医等
検査医学の専門家: 臨床検査専門医
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の
要件)
遺伝性大腸癌診療ガイドライン 2020年版
小児・成人のための若年性ポリポーシス症候群診療ガイドライン
小児・成人のためのCowden症候群/PTEN過誤腫症候群診療ガイドライン
小児・成人のためのPeutz-Jeghers症候群診療ガイドライン
リー・フラウメニ症候群の診療ガイドライン
神経繊維症1型(レックリンハウゼン病)診療ガイドライン
多発性内分泌腫瘍症候群の診療ガイドライン
フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病診療ガイドライン
日本婦人科腫瘍学会 卵巣癌患者に対してコンパニオン診断として相同組換え修復欠損(homologous recombination
deficiency:HRD)の検査を実施する際の考え方
⑧安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度
本医療技術は一般の採血検査と同様であり副作用等のリスクの可能性は低い
⑨倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)
全体としてはVUS検出率が高いため、遺伝性腫瘍の専門家による臨床対応が可能な施設で行われる必要がある。遺伝性腫瘍
症候群の医学的リスク管理は診療科横断的であり、標的臓器関連診療科と遺伝診療部門の連携体制が必要である。
D
妥当と思われる診療報酬の区分
⑩希望する診療
報酬上の取扱い
点数(1点10円)
20,200
その根拠
NGSの検査技術により低価格で複数の遺伝子の解析が可能なためBRCA1/2遺伝子検査(サンガー法)の点数に準じる
区分
関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(③対象疾
患に対して現在
行われている医
療技術を含む)
D
番号
006-18
技術名
BRCA1/2遺伝子検査
具体的な内容
今後、本医療技術がオラパリブのコンパニオン診断薬として承認された場合、現存のBRCA1/2遺伝子検査は不要となること
が予想される。
プラスマイナス
減(-)
予想影響額(円)
1.遺伝性腫瘍症候群を疑う全ての癌罹患者(上記⑥の数値を用いて)に当該医療技術を施行
150,000(人)x20,200(点)=303億円
2.保険既収載の乳癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌のBRCA1/2検査件数
100,000(人)x20,200(点)=202億円は当該医療技術がBRCA1/2検査に置き換わる形で相殺
3.
当該医療技術により同定された遺伝性腫瘍症候群約15万人の次の癌の浸透率を50%とした場合の医療費削減予測
75,000(人)x200,000(円)=150億円
現状の保険収載状況と比較:1-2-3=-49億円
その根拠
癌全体の平均の医療費は約20万(医療給付実態調査より)とした。原因遺伝子による浸透率の違いや、癌種により癌治療費
の違いがあるため、概算に留まる。
備考
特になし
予想影響額
1030