提案書10(1802頁~2002頁)医療技術評価・再評価提案書 (139 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
329101
自己血貯血(全血200mLごとに)(保存前白血球除去)
一般社団法人
日本自己血輸血・周術期輸血学会
30整形外科
25産婦人科・産科
関連する診療科(2つまで)
24泌尿器科
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
「実績あり」の
自己血貯血(液状保存)(保存前白血球除去)
提案当時の医療技術名
場合、右欄も記
載する
無
令和4年度
追加のエビデンスの有無
有
提案される医療技術の概要
(200字以内)
血液長期保存中の白血球崩壊に伴い1)凝集塊産生、2)サイトカインによる発熱反応、3)エルシニア菌汚染」のリスクが
ある。※「これらのリスクは自己血と日赤の血液製剤とで同じであるが、」これらはいずれも血液保存前に白血球除去する
ことにより防止可能である。ベッドサイドでの白血球フィルターを利用した輸血では防止できない。
追加のエビデンスには※「エビデンスを示す文」を付記。
文字数: 183
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)
・凝集塊産生防止:白血球の多い患者で妊婦の帝王切開時や関節リウマチの人工関節手術患者が対象
・エルシニア菌感染防止:自己血を長期保存する患者や1ヶ月以内に下痢があった患者者
同種血輸血では、凝集塊による目詰まりの問題は保存前白血球除去フィルター使用で解決した。エルシニア菌汚染はフィル
ターに菌が吸着することから汚染リスクが軽減することが立証され、※赤血球液-LR「日赤」の有効期間が21日間から28日
間へ変更された。
自己血輸血患者は産科症例を除けば身体条件は献血者とほとんど差がないことから、※献血者と同様に除去フィルターの有
効性が期待できる。また、※産科患者でもフィルターにより凝集塊発生率を低下することができた。以上から、保存前白血
球除去フィルターが保険収載されれば、より安全な自己血輸血を推進することが可能である。追加のエビデンスには※「エ
ビデンスを示す文」を付記。
文字数: 300
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等
整形外科、産科手術などに際し自己血貯血を実施する患者。特に高齢者や動脈硬化を有する患者、慢性関節リウマチなどに
より慢性炎症があり血漿フィブリノーゲンが高値の患者や妊婦など採血バッグ内の凝集塊を産生しやすく、臨床的にも血
栓・塞栓症を起こしやすい患者。
②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)
自己血貯血時に白血球除去フィルター付き採血バッグで採血し、貯血した血液を採血当日に白血球除去フィルターを通すこ
とによって、保存障害や有害反応の原因となる白血球や血小板のほとんどを除去して自己血として手術まで適正な温度で保
管する。現在、年間10万人近い手術前の患者に対して自己血貯血が行われているが、その中の約6割の整形外科手術患者や
妊婦に対して保存前白血球除去操作をして貯血を実施する(平成30年度血液製剤使用実態調査結果より算出)。
区分
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)
K
番号
医療技術名
K920 3
自己血貯血(液状保存)
既存の治療法・検査法等の内容
手術を予定している患者から通常の自己血採血バッグを用いて採血を行い、その血液を適切な温度の保冷庫で保存し、手術
時に輸血する。
④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム
研究結果
保存前白血球除去を行っていない赤血球濃厚液(RC-MAP)と保存前白血球除去を行った濃厚赤血球(RCC-LR)において保存中
(3ヶ月、6ヶ月)の大凝集塊の重量を測定したところ、RC-MAPでは0.4±0.5g(3ヶ月後)および0.8±0.2g(6ヶ月後)と2倍に
増加したのに対し、保存前白血球除去をしたRCC-LR群では全例で大凝集塊の形成は認めなかった(参考資料2)。さらに保存
前白血球除去を行うことで、エルシニア菌などの低温増殖可能な細菌の増殖を抑制する効果が示されている(参考資料
2)。
自己血輸血患者でも貯血した自己血で保存前白血球除去フィルターにより凝集塊産生が抑制されたことを示すfirst report
が」出されている。凝血塊の発生頻度を白血球除去フィルター使用前後で検討(参考資料3)。
産科症例の凝血塊発生率はフィルター使用前66.7%→使用後0%(p=0.00081)
他科症例の凝血塊発生率はフィルター使用前5.6%→使用後0%(p=0.00083)
後ろ向き調査であったが、患者における自己血貯血の凝結予防に白血球除去フィルターの有用性が示唆された。
また、自己血輸血患者(4名の整形外科患者)でもエルシニア菌汚染によるエンドトキシンショックが報告されている(参
考資料4)。
参考資料2:赤血球濃厚液(RC-MAP)と保存前白血球除去を行った濃厚赤血球(RCC-LR)において保存中(3ヶ月、6ヶ月)の大
凝集塊の重量を測定したところ、RC-MAPでは0.4±0.5g(3ヶ月後)および0.8±0.2g(6ヶ月後)と2倍に増加したのに対し、保
存前白血球除去をしたRCC-LR群では全例で大凝集塊の形成は認めなかった(エビデンスレベル1b)。
参考資料3:参加自己血輸血患者において凝血塊の発生頻度を白血球除去フィルター使用前後で検討(参考資料3)。
産科症例の凝血塊発生率はフィルター使用前66.7%→使用後0%(p=0.00081)
他科症例の凝血塊発生率はフィルター使用前5.6%→使用後0%(p=0.00083)(エビデンスレベル2b)
参考資料4:13歳の側攣症手術患者はエンドトキシンショックにより両下肢切断を余儀なくされている。長期保存した血液
中のエルシニア菌増殖によるものと考えられる。(エビデンスレベル5)
⑤ ④の根拠と
なる研究結果等
1940