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提案書10(1802頁~2002頁)医療技術評価・再評価提案書 (85 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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研究結果

⑤ ④の根拠と
なる研究結果等

病巣除去により術前に認められた月経困難症および月経過多は著明に改善する(参考文献1)。術後の症状再発と再度のイン
ターベンションの可能性は他の子宮温存治療と比べて低い(参考文献2)。術後妊娠率も約50%とされ、流産率が低下するな
ど、妊孕能改善が得られる(参考文献4、参考文献5)。子宮腺筋症病巣除去術後の子宮破裂の頻度は3.6%と推測されており
(Fertil Steril 2018;109:406-417)、術後妊娠における子宮破裂のリスクが懸念されているが、子宮破裂症例の国内データ
では過去5年の子宮破裂症例の2%が子宮腺筋症病巣除去術後妊娠例であったが新生児死亡・脳性麻痺は認められなかったこと
(J Obstet Gynaecol Res 2019;45(4):763–765)、同様に術後妊娠の適切な周産期管理により新生児の有害事象がなかったこ
とから(参考文献3)、本手術後妊娠の妊娠管理を高次周産期施設で行うことで周産期リスクに対応できる。日本産婦人科手
術学会が行った子宮腺筋症病巣除去術に関する国内調査では、当該手術施行施設61施設の75%以上が高周波切除器を用いない
方法を用いて手術を行っていた(産婦人科手術 2020;31:101-105)。高周波切除器を用いない方法が多くなっている理由とし
ては、病巣除去に用いるパワーデバイスの進歩による部分が大きいと考えられ、手術手技の習得が以前よりも容易になってき
ていることが推測される。以上より、本技術は子宮腺筋症患者の症状と妊孕能の改善に寄与するものであるといえる。
3

ガイドライン等での位置づけ

⑥普及性

年間対象患者数(人)
国内年間実施回数(回)

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)

産婦人科診療ガイドライン—婦人科外来編2020(日本産科婦人科学
会/日本産婦人科医会編、腫瘍 CQ217 子宮腺筋症の診断と治療の
項)には、子宮腺筋症の治療について、「子宮温存を目的として子
宮腺筋症病巣を切除する手術療法(子宮腺筋症病巣除去術、子宮腺
筋症核出術などと称される)が試みられている。症状の改善が得ら
れ、術後妊娠例も報告されている。妊娠時には子宮破裂を起こす可
能性もある。この術式に保険適用はない。根治療法としては子宮摘
出術(子宮全摘出術,腟上部切断術)が行われる。」と記載されて
いる。

440
440

※患者数及び実施回数の推定根拠等

平成25年度の日本産科婦人科学会内分泌小委員会の調査によると、子宮腺筋症の推定受療者は13.2万人、手術を受ける患者は
約2万2千人である。子宮腺筋症手術患者のうち2%程度については当該手術を施行することが推定される。従って、22,000×
0.02=440人となる。実施回数は通常1人1回であるため、年間実施回数は440回とした。

⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

術者は、①産婦人科専門医、②当該手術に3年以上の経験を有し、③主として当該手術を実施する医師として5例以上の症例を
実施していること。

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

①産婦人科を標榜していること。②実施診療科において、常勤の医師が2名以上配置されていること。
③麻酔科標榜医が配置されていること。④臨床工学技士が配置されていること。⑤病床を有していること。⑥当直体制が整備
施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体制 されていること。⑦緊急手術体制が整備されていること。⑧24時間院内検査を実施する体制が整備されていること。⑨医療機
器保守管理体制が整備されていること。⑩医療安全管理委員会が設置されていること。⑪当該手術に関し3例以上の症例を実
等)
施していること。
人的配置の要件
①婦人科手術の恒常的な実績を有すること。②施術にあたる医師・医療チームは、手術手技に関する知見に習熟すること。③
(医師、看護師等の職種や人数、専門性 緊急時に適切な処置(開胸、開腹等)が実施可能な体制にあること。
や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の要 ①術後妊娠時の母体の妊娠管理及び周産期管理は高次周産期施設で行うこと。
件)

⑧安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

周術期偶発症は通常の婦人科開腹手術と同様に、術中・術後の大量出血、膀胱・尿管・消化管・腟壁・血管などの他臓器損
傷、腹腔内・尿路・創部の感染、創部離解、術後腸閉塞、腹壁瘢痕ヘルニア、血栓・塞栓症、月経瘻、薬物アレルギー、無気
肺や肺炎等の呼吸器合併症などが挙げられる。偶発症に対して、自己血輸血以外の輸血、人工肛門造設(0%)、消化管修復
術(0.2%)、尿路修復術(0.1%)、子宮全摘、イレウス管・尿管ステント挿入、術後腸閉塞手術(0.1%)、各種薬物治療、お
よびこれらの処置・手術に伴う入院延長などが挙げられる(数値は日本エンドメトリオーシス学会誌 2013;34:71-76より引
用)。これらの周術期偶発症の頻度は他の開腹手術と同等である。術後妊娠の周産期リスクとして子宮破裂が3.6%と推定さ
れている。国内データでは過去5年の子宮破裂症例の2%が本手術後妊娠例であり新生児死亡・脳性麻痺は認められなかったこ
とや、海外データでも術後妊娠の適切な周産期管理により新生児の有害事象がなかったことから(参考文献3)、本手術後妊
娠の周産期管理を高次周産期施設で行うことで周産期リスクに対応できると考える。また令和5年度から日本産科婦人科学会
の生殖内分泌委員会小委員会で子宮腺筋症病巣除去術の患者レジストリ作成研究を計画しており、日本産科婦人科学会と連携
し、術後妊娠の患者管理体制の構築を進めている。

⑨倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

問題なし


妥当と思われる診療報酬の区分
点数(1点10円)

⑩希望する診療
報酬上の取扱い
その根拠

関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(③対象疾
患に対して現在
行われている医
療技術を含む)

予想影響額

59,862
子宮腺筋症病巣除去術は、病巣の適切な除去およびその後の子宮修復の点において、同様に子宮筋層から病変を除去する腹式
子宮筋腫摘出(核出)術(K872 24,510点)よりも技術的に難しい(可及的に病変を切除し子宮を形成・修復する技術は難度
が高い)。この点を勘案して手術料(59,862点=人件費+償還できない費用)を算出した。
①外保連試案点数:59,862点
②別途請求が認められていない必要材料と価格(定価):67,026円
外保連試案2022掲載ページ:254-255
外保連試案ID(連番):S81-0307500
技術度:D 医師(術者含む):3 看護師:2 その他:0 所要時間(分):180

区分

その他(右欄に記載する。)

番号
技術名

該当なし
該当なし

具体的な内容

該当なし

プラスマイナス
予想影響額(円)

124,544,640円

その根拠

特になし

増(+)

・当該技術の実施にかかる医療費:786,836円/人
1日あたり入院費18,920円×10日+出来高(手術料598,616円)=
787,816円/人➡当該技術導入後の医療費:787,816円/人×440人/年=346,639,040円/年
・当該技術の保険収載に伴い、現在当該手術の代替として行われている子宮全摘術および腹腔鏡下腟式子宮全摘術が減少す
る。各々の手術が半数行われている。各手術にかかる医療費は下記となる。子宮全摘術:1日あたり入院費18,920円×10日+
出来高(手術料282,100円)=471,300円/年/人 腹腔鏡下腟式子宮全摘術:1日あたり入院費19,620円×6日+出来高(手術料
420,500円)=538,220円/年/人➡現在かかっている医療費:471,300円/人×220人/年+538,220円/人×220人/年=
222,094,400円/年
影響額
346,639,040円/年-222,094,400円/年=124,544,640円/年
特になし

備考

1886