提案書10(1802頁~2002頁)医療技術評価・再評価提案書 (84 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
※事務処理用
327101
提案される医療技術名
子宮腺筋症病巣除去術
申請団体名
日本産婦人科手術学会
25産婦人科・産科
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
00なし
関連する診療科(2つまで)
00なし
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無
有
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年度)
「実績あり」の
場合、右欄も記 提案当時の医療技術名
載する
令和4年度
子宮腺筋症病巣除去術
追加のエビデンスの有無
有
提案される医療技術の概要
(200字以内)
子宮腺筋症は子宮内膜類似組織が子宮筋層内にでき、月経痛・過多、不妊、流産、早産等の妊孕能低下をきたす疾患で、3040代女性が罹患する。子宮腺筋症病巣が正常筋層内に複雑に入り込み正常筋層と分離除去が難しく従来子宮摘出が唯一の手術
法である。本技術は挙児希望を有する腺筋症患者に対し妊孕能温存を目的として行うものであり、開腹下に子宮腺筋症病巣を
除去したのち子宮を縫合・修復して子宮温存を行うものである。
文字数: 199
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)
文字数: 292
子宮腺筋症
本手術は月経症状改善および妊孕能改善に寄与する。子宮腺筋症病巣除去は、高周波切除器などの各種の手術機器を用いて行
われており、使用器機によらず有効性が報告され、本手術の本質が使用器機によらず病巣除去にあるといえる。子宮破裂の罹
患率は本手術後妊娠例の3.6%と推計される一方、国内データでは子宮破裂症例においても新生児死亡・脳性麻痺は認められ
なかったことから、本手術後妊娠の周産期管理を高次周産期施設で行うことで周産期リスクに対応できる。本手術以外に子宮
腺筋症の症状と低下した妊孕能を改善できる治療法はなく、挙児希望を有する子宮腺筋症患者にとって必須の治療であるた
め、保険収載を提案する。
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等
妊孕能温存を強く希望する子宮腺筋症患者。閉経後の患者は除外する。
②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)
入院し、手術室で麻酔下に開腹し、子宮周囲に癒着があれば剥離、子宮腺筋症病巣を直視下に同定する。病巣と正常筋層の境
界部分を指で探りながら病巣を切除・除去する。病巣除去後、子宮創部を縫合・修復する。閉腹し手術を終了する。術後1週
間程度で退院可能である。
区分
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)
K
番号
K877、K877-2
医療技術名
子宮全摘術、腹腔鏡下腟式子宮全摘術
既存の治療法・検査法等の内容
開腹・腟式・腹腔鏡下に子宮を摘出する手術が子宮腺筋症の根治療法として通常行われ、以後の妊娠・出産は不可能になる。
また子宮腺筋症に対する保険適用されていない治療として、子宮動脈塞栓術やMRIガイド下集束超音波治療は子宮温存が可能
であるが、治療後の妊娠に関する安全性は確立していない。なお、国内では代理懐胎や子宮移植は行われていない。
④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム
子宮腺筋症に対する手術は従来から子宮摘出術である。病巣が正常筋層内に複雑に入り込み、正常筋層と分離除去が困難とさ
れてきたためである。本疾患は30代以降が好発年齢であり、現代女性のライフサイクルの変化により、妊孕能の温存を希望す
る子宮腺筋症患者が増加しており、子宮温存を目的とした子宮腺筋症治療が必要になった。このような社会背景より子宮温存
(妊孕能温存)を目的として子宮腺筋症病巣のみを除去する子宮腺筋症病巣除去術が行われるようになった(Fertil Steril
2014;101(2):472-87、Fertil Steril 2018;109:406-417)。本手術のために高周波切除器を用いる方法は、術後の症状改善と
妊孕能の改善が示された(日本エンドメトリオーシス学会誌 2013; 34: 71-76、日本エンドメトリオーシス学会誌 2018; 39;
98-103、産科と婦人科 2019;86: 767-771、参考文献4)。高周波切除器を使用しないその他の方法でも、本手術は妊孕能と症
状の改善に寄与することが示された(Fertil Steril 2014;101(2):472-87、Reprod Biomed Online 2011;22(1):94-9、
Gynecol Obstet Invest 2004;57:132–138、日本エンドメトリオーシス学会誌2018;39:87-97、参考文献1、参考文献5)。本
技術の再発率と再治療率は、子宮動脈塞栓術よりも低く、再治療率はMRIガイド下集束超音波治療よりも低いことから、他の
子宮温存治療よりも長期的効果が高いことが示されている(参考文献2)。日本産婦人科手術学会が行った子宮腺筋症病巣除
去術に関する国内調査では、当該手術施行施設61施設の75%以上が高周波切除器を用いない方法を用いて手術を行っていた
(産婦人科手術 2020; 31: 101-105)。高周波切除器を用いない方法が多くなっている理由としては、腺筋症切除に用いるパ
ワーデバイスの進歩による部分が大きいと考えられ、手術手技の習得が以前よりも容易になってきていることが推測される。
本技術の本質が使用器機によらず病巣除去にあると考えられ、デバイスによらず病巣除去に対して保険適用が考慮されるべき
ものと考える。また、本手術後妊娠の際の子宮破裂リスクが懸念されているが、子宮破裂の国内調査の結果、脳性麻痺や新生
児死亡は起こっておらず(J Obstet Gynaecol Res 2019;45(4):763–765)、同様に術後妊娠の適切な周産期管理により新生児
の有害事象がなかったことから(参考文献3)、本手術後妊娠の妊娠管理を高次周産期施設で行うことで対応できる。本手術
以外に子宮腺筋症の症状と低下した妊孕能を改善できる治療法はなく、挙児希望を有する子宮腺筋症患者にとって必須の技術
である。
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