提案書11(2003頁~2199頁)医療技術評価・再評価提案書 (124 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
整理番号
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
338102
褥瘡電気刺激療法管理料
一般社団法人
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
日本褥瘡学会
33形成外科
23皮膚科
関連する診療科(2つまで)
01内科
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した
医療技術の提案実績の有無
過去に提案した年度
「実績あり」の (複数回提案した場合は、直近の年
場合、右欄も記 提案当時の医療技術名
載する
追加のエビデンスの有無
提案される医療技術の概要
(200字以内)
文字数: 198
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)
文字数: 290
無
リストから選択
無
褥瘡に対する電気刺激療法は、日本褥瘡学会作成の「褥瘡予防・管理ガイドライン第5版(2022)」において、推奨度が最
も高い(1A)に判定された。しかしながら、褥瘡に対しての電気刺激療法は、現在の診療報酬では評価されていない。次期
改定では、褥瘡の中でも治癒期間が長期となる皮下組織に至る褥瘡(DESIGN-R2020分類のD3及びD4)に対して、専門家の管
理下で実施する電気刺激療法の新設を要望する。
褥瘡
褥瘡に対する電気刺激療法は、「治療期間を65.7%に短縮する(34.3%の短縮)」有効性のエビデンス等により、「褥瘡予
防・管理ガイドライン第5版(2022)」では、推奨度の最も高い(1A)となったが、現在の診療報酬では評価されていない。
本提案の電気刺激療法で使用する医療機器は、リハビリテーション機器の一つである既存の低周波治療器でも刺激条件の設
定は可能である。ただし、強度、周波数、電極配置等の電気刺激に関する知識に加え、褥瘡に対する専門的な知識も必要で
ある。よって、電気刺激療法と褥瘡の両方の専門的知識を有する理学療法士の管理下で電気刺激療法を実施することへの評
価を要望する。
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等
電気刺激療法開始時に皮下組織に至る褥瘡(DESIGN-R2020分類のD3及びD4)を保有し、以下の要件を全て満たす入院および
外来患者
・敗血症など全身的な感染状態(DESIGN-R2020分類のI9)にない褥瘡
・褥瘡局所が感染状態(DESIGN-R2020分類のI3)にない褥瘡
②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)
上記の褥瘡を有する患者に対して、日本褥瘡学会作成の「褥瘡予防・管理ガイドライン第5版(2022)」(文献1)に基づ
き、下記の電気刺激治療プロセスを褥瘡および物理療法/電気刺激療法の専門知識を有する理学療法士の管理下で実施す
る。
・刺激強度については、ガイドライン推奨度判定用のメタアナリシスで用いられた解析元論文において、有効かつ有害事象
発生件数がなく、刺激により痛みを生じない微弱電流刺激を実施する。
・電極の配置(極性)は褥瘡の治癒段階に応じて選択する。
・刺激後の放電による副次的影響を除外するために通電終了後に両電極間を電気コードで短絡する。
・治療は壊死組織除去が完了し(部分的な残留は可)、感染がコントロールされた段階以降に開始する。
・1日1回20分以上、合計14回まで算定する。
区分
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)
J
番号
医療技術名
J001-4
重度褥瘡処置
既存の治療法・検査法等の内容
現在、D3以上の重度褥瘡には、外用薬や創傷被覆材による保存的局所治療が実施され、処置料としての重度褥瘡処置
(J001-4)は、2ヶ月までは算定できる。また、類似項目として局所陰圧閉鎖処置(J003)は最長4週間までは算定可能であ
る。しかし、「褥瘡治癒期間 褥瘡学会誌2001 調査委員会報告2」の文献によると、D3の平均治療期間は90日、D4では182
日であるため、重度褥瘡は前述の保険算定期間中に治癒することは少なく、以降は創傷処置(J000)に切り替え、処置を継
続している実情がある。よって、重度褥瘡については、治療期間そのものを短縮できる治療方法とそれに対する診療報酬上
の評価が急務の課題とされていた。
日本褥瘡学会作成の最新のガイドライン「褥瘡予防・管理ガイドライン第5版(2022)」では、褥瘡に対する電気刺激療法
は創閉鎖までの治療期間を65.7%に短縮する(34.3%の短縮)等のエビデンスによって、(1A)と推奨されているものの、
現在の診療報酬では評価されていない。
④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム
研究結果
⑤ ④の根拠と
なる研究結果等
電気刺激療法は、既存の治療との競合技術ではなく、単独または既存治療との併用により有効性を発揮するものである。
「褥瘡予防・管理ガイドライン第5版(2022)」におけるメタアナリシス解析用の原著論文において、標準治療群と比較し
て標準治療+電気刺激治療群では創面縮小率([介入前面積-介入後面積]/[介入前面積])が1.9倍高く、治癒に要する期間
は65.7%に減少していた(文献2、他)。
褥瘡予防・管理ガイドライン(第5版)*褥瘡会誌, 24(1):29-85, 2022
CQ5:褥瘡に対して電気刺激療法は有効か?
推奨文:褥瘡の治癒促進に対して、電気刺激療法を行うことを推奨する。
推奨の強さ:1A
解説:電気刺激療法に関する報告は近年増加しており、本ガイドライン第4版以降もその有用性を示すレビューやメタアナ
リシスが複数報告されている。NPIAP(NPUAP)/EPUAP/PPPIAのガイドラインにおいてもその治癒効果は認められているた
め、本ガイドラインでも電気刺激療法の褥瘡治癒効果について検討すべきと考え「褥瘡に対して電気刺激は有用か」をCQと
して設定した。治癒効果を検討するためアウトカムは「創治癒率」と設定し、システマティックレビューを行った。褥瘡に
対する電気刺激療法の効果を比較したランダム化比較試験は6編あり、標準治療群、もしくはシャム刺激群と電気刺激群で
創治癒率を比較していた。電気刺激療法と標準治療で創治癒率に有意差を認めなかった文献は1編あったが、その他はいず
れも電気刺激療法での創治癒率は有意に高かった。メタ解析の結果、電気刺激による創治癒率の改善は有意であり、(95%
CI:0.88-1.44,SMD:1.16,p< 0.00001)電気刺激療法の褥瘡治癒効果を認める結果であった。対象となる褥瘡だが、5編
の文献でNPIAP(NPUAP)分類ステージⅡ以上(D2~D4相当)の褥瘡を対象としており、いずれも治癒効果を認めていること
から、電気刺激療法の対象は上皮化や肉芽形成が必要である褥瘡が推奨される。
1a
ガイドライン等での位置づけ
⑥普及性
年間対象患者数(人)
国内年間実施回数(回)
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)
27,000
378,000
2126
上記の研究内容が2022年の「日本褥瘡学会ガイドライン第5版
(2022)」に記載されている。また、2019年の国際ガイドライン
(文献3)においてもエビデンスレベルAで推奨されている。