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提案書11(2003頁~2199頁)医療技術評価・再評価提案書 (194 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項

J043-6 人工膵臓療法において、対象とする患者は、次の療養が必要な糖尿病等の患者であって、医師が人工膵臓療法以外による血糖調整が困難
であると認めたものとされている。
ア 高血糖時(糖尿病性昏睡等)における救急的治療
イ 手術、外傷及び分娩時の血糖管理
ウ インスリン産生腫瘍摘出術の術前、術後の血糖管理
本医療技術の内容は、周術期における血糖コントロール等を目的として、血管内に留置した二重腔カテーテルから吸引した血中のグルコース値を
連続して測定し、持続的な血糖管理を行う技術である。
点数は、1日につき3,500点(3日を限度)。
算定の留意事項としては、以下が示されている。人工膵臓療法と同一日に行った血中グルコース測定は別に算定できない。穿刺部位のガーゼ交換
等の処置料及び材料料は別に算定できない。人工膵臓療法を4日以上実施した場合の費用は、3日目までの所定点数に含まれ別に算定できない。


診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)

043-6

医療技術名

人工膵臓療法
消化器外科分野における周術期の目標血糖値とそのアウトカムに対する臨床エビデンスが明らかとなった(参考文献1)。日本外科感染症学会の
「消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン2018」(参考文献2)によると、SSI予防に有効な周術期の血糖管理目標として低血糖を回
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 避するために、より安全性が見込まれる150mg/dL以下が望ましいとされている。一方で同ガイドラインでは、メタアナリシスに含めたエビデンス
後等のアウトカム
の一つにおいて、人工膵臓装置を用いた結果、低血糖が生じなかったとの報告も引用されている。心臓外科分野でも新たな臨床エビデンスが出て
きている(参考文献3)。

③再評価の根
拠・有効性
ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

前述のように「消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン2018」(日本外科感染
症学会)(参考文献2)では、SSI予防のために血糖管理が必要であることが言及されてお
り、厳格な血糖管理の有効性を認めたうえで、副作用として低血糖に留意する必要性があ
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
るとしている。血糖管理に対して人工膵臓装置を用いた場合、低血糖イベントは起こらな
る。)
かったとのエビデンスも示されている。最新の米国糖尿病学会ガイドラインにおいても、
重症、非重症を含めた入院患者に対する血糖管理目標が明確に示されており、適切な血糖
管理の重要性は広く認知されている(参考文献4)。

人工膵臓療法の潜在的な対象症例数は、厚生労働省の統計データから以下のように推計され、合計546,096症例となる。
消化器外科
275,280例
心臓血管外科
263,364例
気管支、肺外科
7,452例
合計(潜在的対象症例数)
546,096例
出典:令和3年度社会診療行為別統計 一般開腹等で集計
上記の潜在的対象症例のうち5%が、高血糖や血糖変動を伴う重症例や糖尿病等合併症併発例など、人工膵臓療法が実際に適用されると仮定した
場合には27,305例となり、上限3日までの治療が実施されると推察し、年間実施回数を81,915回と見込む。

見直し前の症例数(人)

27,305

見直し後の症例数(人)

27,305

見直し前の回数(回)

3,780

見直し後の回数(回)

81,915

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

日本外科感染症学会発出のガイドラインでは、低血糖発生リスクを懸念するものの、血糖管理による感染症発生頻度低減については十分に広く認
知されている。同ガイドラインでは人工膵臓装置を用いることで、低血糖なく安全に厳格血糖管理が可能であるエビデンスも引用されている(参
考文献2)。
外保連試案における技術度はBであり、機器の取り扱いに習熟する必要がある。

チーム設置の基準:人工膵臓療法を実施する際のリーダー医師1名と人工膵臓の運用を行う看護師3名、技士2名によりチームを設置。タスクシェ
アするための運用マニュアルが整備されていること。
チームメンバーには人工膵臓装置運用のための教育研修がされていること。外部研修としては日本人工臓器学会の「人工膵臓療法ハンズオンセミ
施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 ナー」がそれにあたり、受講修了した者にはCertificateが与えられ、Certificateを持つ者により教育され認められた者でチーム内メンバーが構
成されることを施設の要件とする(2022年11月現在、10施設が受講済み)。教育研修は、年1回もしくはメンバーが入れ替わった際に行う。院内
制等)
の研修内容の精査はチームのリーダー医師が行うこととする。
人工膵臓療法の施設基準は別途J043-6で表記の通り。
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 人工膵臓療法を適用する際のリーダー医師1名と人工膵臓の運用を行う看護師3名、技士2名によりチームを設置。
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の なし
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

血糖管理における副作用として低血糖があげられるが、人工膵臓の過去約30年以上の臨床使用実績において、当技術採用時に低血糖が発生した経
験・報告はない。
当該申請による見直しで、使用回数の増加は見込まれるが、当該技術の内容自体には変更がないため、安全性に悪影響が及ぶ可能性は低い。一方
で、人の手による厳格血糖管理は低血糖のリスクを伴うことが報告されており、本技術の適用により、前述の通り低血糖リスクを低減できること
が考えられる。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

問題なし

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