提案書11(2003頁~2199頁)医療技術評価・再評価提案書 (42 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項
K533-3 内視鏡的胃静脈瘤組織接着剤塞栓術
・対象とする患者:門脈圧亢進症による胃静脈瘤および異所性静脈瘤
・医療技術の内容:出血した静脈瘤に、消化器内視鏡下に、鉗子孔から挿入した穿刺針を介して、組織接着剤と非イオン系造影剤の混合液を速や
かに注入し、出血部位を塞栓する治療である。
・点数:8,990点
・算定の留意事項:
(1) 治療上の必要があって初回実施後1週間を経過して実施した場合は改めて所定点数を算定する。
(2) 一連の期間内において、区分番号「K533」食道・胃静脈瘤硬化療法、区分番号「K533-2」内視鏡的食道・胃静脈瘤結紮術、区分番号「K621」
門脈体循環静脈吻合術(門脈圧亢進症手術)又は区分番号「K668-2」バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術を実施した場合は、主たるもののみ算
定する。なお、「一連」とは1週間を目安とする。
(3) マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。
K
診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)
533-3
医療技術名
内視鏡的胃静脈瘤組織接着剤塞栓術
日本消化器病学会肝臓学会肝硬変ガイドラインによると、胃穹隆部静脈瘤に対するcyanoacrylate系薬剤注入法後の2年後の非出血率は87%,非治
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 療群55%と有意に非出血率を改善させると示されている。またcyanoacrylate系薬剤注入法群の2年生存率は90%、非治療群72%と有意に予後も延
後等のアウトカム
長することを示している。
③再評価の根
拠・有効性
ガイドライン等での位置づけ
④普及性の変化
※下記のように推定した根拠
年間対象者数の
変化
年間実施回数の
変化等
平成29年社会医療診療行為別調査によると、「食道・胃静脈瘤硬化療法」「内視鏡的食道・胃静脈瘤結紮術の実施患者数は584人、1,249人で、実
施回数は796回、1,370回であった。平成3年は実施患者数は395人、929人、実施回数は529回、1,009回であった。対象患者数は減少傾向である。
肝硬変における、食道静脈瘤と胃静脈瘤の出現比率は明らかになっていないが、東京医科大学病院の2018年度単施設調査(1年間)では治療件数
は(104:24)件であった。そのことから、平成3年社会医療診療行為別調査を元に算出した国内実施患者数は(395+929)×24/(104+24)=
248人、実施回数は(529+1,009)×24/(104+24)=288回と推定される。なお、2016年から2017年の2年間に日本の主たる治療施設で、日本門
脈圧亢進症学会評議員が在籍する34病院からのアンケート調査で112例、1年換算で56例であった(in press)ので、おおむね妥当な症例数と推測
される。(文献1)
見直し前の症例数(人)
248人
見直し後の症例数(人)
248人
見直し前の回数(回)
238回
見直し後の回数(回)
238回
⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)
日本消化器病学会肝臓学会肝硬変ガイドライン2020出血例に対する推奨
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
アメリカ肝臓学会Practice Guidanceにて推奨(Hepatology 2017;65:327-328)ヨーロッパ
る。)
肝臓学会コンセンサスペーパーBavenoⅥ J Hepatol 2015;63:743-752にて推奨
日本消化器病学会の肝硬変ガイドライン2020に記載。日本消化器内視鏡学会監修 消化器内視鏡ハンドブックに記載。日本門脈圧亢進症学会編集
門脈圧亢進症診療マニュアル2015に記載。日本門脈圧亢進症学会の教育セミナーにて毎年講義。日本門脈圧亢進症学会の技術認定医制度により第
三者審査を行っているが、緊急止血法であるため、すべての内視鏡医ができることが望ましい。
施設の要件
消化管静脈瘤治療に関連する十分な知識・経験を有する医師により、本品を用いた治療に伴う合併症への対応ができる体制が整った以下の医療機
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 関。日本消化器内視鏡学会の指導施設が望ましい。
制等)
上記に掲げる医師が適応を遵守し、講習の受講等により本品を用いた治療に関する十分な知識や技能や手技に伴う合併症等に関する十分な意識を
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 得た上で本品が用いられるよう必要な措置を講ずること。出血例であるため、生命の危険が高く、外保連試案では難易度E、医師3名 看護師2名
検査技師1名 消化器内視鏡認定専門医が望ましい。
性や経験年数等)
日本消化器病学会・日本肝臓学会 編 肝硬変ガイドライン2020 CQ 4-7
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 消化器内視鏡ハンドブック(日本消化器内視鏡学会監修)の食道・胃静脈瘤に対する治療の項目
門脈圧亢進症診療マニュアル2015(日本門脈圧亢進症学会編集)
要件)
⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度
日本門脈圧亢進症学会評議員に対して行った、門脈亢進症治療における偶発症の実態調査(2016-2017年)では、緊急EISの術中偶発症は出血9例
(12%)、門脈血栓1例(1.3%)、術後偶発症は腹水5例(6.7%)、肝細胞障害4例(5.3%)、黄疸3例(4%)、肝性脳症3例(4%)、発熱3例(4%)、疼痛3例(4%)、
胃静脈瘤出血1例(1.3%)、敗血症1例(1.3%)、肺炎1例(1.3%)、胸水1例(1.3%)、腎不全1例(1.3%)であった。偶発症が原因と考えられた死亡例は、
緊急EISにて1例(1.3%)に認め、術後腎不全が原因であった。(文献1)
⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)
出血例に対して行われる最も有効である治療として、本法を行わない場合は内科治療を行うことになる。本法と内科治療の比較においては、多変
量解析にて、ハザード比0.106(P=0.016)で有意に本法を行うことで再出血が減少した(文献2)。
⑧点数等見直し
の場合
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)
見直し前
見直し後
その根拠
8,900点
8,900点
本提案書は特定保険医療材料の算定を希望するものであり、本項に該当しない。
区分
区分をリストから選択
番号
技術名
該当なし
該当なし
具体的な内容
該当なし
減(-)
プラスマイナス
⑩予想影響額
予想影響額(円)
3,078,720円
その根拠
本提案書は特定保険医療材料の算定を希望するものであるため、本法と同一の技術料であるK533 食道・胃静脈瘤硬化療法と比較した場合に特定
保険医療材料として算定した費用が増額となる。
一方、K533 食道・胃静脈瘤硬化療法における再出血率は50%(文献2)であるため、少なくとも2回施行しなければならない。本法は1回の処置で
完結することから、入院期間は6日間、硬化療法ではおよそ2倍の12日と見積もることができる。DPCでは060300xx97100xが該当することがおお
く、入院が5日以内の場合は28,840円/日、6-11日が20,460円/日、12-30日が17,390円/日である。硬化療法を行うと本法より延長した入院期間6日
間の費用119,690円(20,460×5日+17,390×1日=119,690円)と2回目の治療費用 89,900円が加算されるため、合計209,590円である。
本法にて組織接着剤を特定保険医療材料として算定し、3本/回あたり使用した場合、(償還価格)66,300円×3本=198,900円の増額となるが、硬化
療法を2回施行するよりも10,690円(209,590-198,900=10,690)減額となる。年間実施件数である288回を乗じた場合、3,078,720円の減額とな
る。
備考
再出血を防止し、輸血量も減少するので、さらなる医療費削減と救命を生むと期待される。
2044